カテゴリー「バイク、旅」の記事

2024年9月 8日 (日)

カティサーク

 ウイスキーの銘柄ともなったカティサークは、19世紀に建造された快速帆船(クリッパー)だ。当時、ヨーロッパと中国の貿易には帆船が使われ、特にイギリスの上流階級に人気の紅茶の輸送には最新鋭の帆船(ティークリッパー)が投入された。カティサークはその中でも最速の座をめざして建造されたティークリッパーで、中国からイギリスまで107日間で紅茶を輸送することができた。しかし、カティサークの進水直前にスエズ運河が開通、高性能な蒸気船の登場もあって、帆船の時代は急速に終焉を迎えることになる。カティサークはその後、羊毛輸送に使われたり、ポルトガルに売却されたりしたが、20世紀になってイギリスに買い戻され、第2次世界大戦後、グリニッジに保存展示されることになった。2007年には火災が発生するという事故もあったが、2012年から再び一般公開されている。

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2024年9月 7日 (土)

O2アリーナ

 グリニッジのテムズ川沿いにあるO2アリーナは、ミレニアム・ドームとして2000年1月1日にオープンした。直径365mの天幕は高さ100mの12本のマストに吊られていて、ここがグリニッジ標準時の場所であることを象徴している。スポーツやコンサートなどに使用されていて、2万人を収容できるという。007映画第19作「ワールド・イズ・ノット・イナフ」では、ボンドが追った女暗殺者シガー・ガールが、完成したばかりのミレニアム・ドームで気球を乗っ取って逃亡を図るが、ボンドはQのパワーボートごと大ジャンプして気球に飛び移る。

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2024年9月 6日 (金)

ハーシェルの望遠鏡

 イギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルは、天王星の発見で有名だ。ハーシェルはもともとは音楽家だったが、数学や天文学に興味を持ち、自ら天体望遠鏡を製作するまでになった。そして月や二重星などを観測するうち、天王星を発見することになった。ハーシェルが製作した望遠鏡のうち、最も有名なのが40フィート反射望遠鏡(口径120㎝)で、50年間にわたって世界最大だった。現在は、鏡筒の一部がグリニッジに展示され、主鏡がロンドンのサイエンス・ミュージアムに展示されている。

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2024年9月 3日 (火)

グリニッジ・パーク

 グリニッジ天文台のあるグリニッジ・パークは、緑豊かな公園だ。市民や観光客の憩いの場となっていて、リスも走り回っている。天文台に向かう坂道を登っていくと、シティ・オブ・ロンドンやカナリーワーフの高層ビル群がよく見える。テムズ川沿いにある建物は、旧王立海軍大学だ。映画「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」では、グリニッジを中心に地球やアスガルドを含む9つの世界の惑星直列が発生し、ソーとダーク・エルフが激闘を繰り広げた。

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2024年9月 2日 (月)

本初子午線

 19世紀半ばにグリニッジ天文台長を勤めたジョージ・ビドル・エアリーは、天文台に新たな子午環を設置、ここを通る子午線が本初子午線と定められた。エアリーの子午環が入る建物の壁には、本初子午線の表示があり、地面には線が引かれている。この線から東は東半球、西は西半球ということで、観光客はみな東西両半球をまたいで記念写真を撮っている。別の建物の上には、時刻を知らせる報時球という装置もあり、毎日13時になると赤い球が落下する。この赤い球、アイザック・ニュートンのリンゴを思い起こさせるが、ニュートンは人間としてはかなり問題のある性格だったようで、グリニッジ天文台初代台長であるジョン・フラムスティードにも嫌がらせをしたという。

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2024年9月 1日 (日)

グリニッジ天文台

 1675年設立のグリニッジ天文台は、世界の経度と時刻の基準となる本初子午線が通る場所だ。いまはもう使われないが、昔は子午線上のみを動く子午環という望遠鏡を使い、天体の南中時間や高度を測定することによって、各地の緯度や経度、時刻を決めてきた。その際に経度0度としたのが、ここグリニッジを通る子午線だ。その後人工衛星を使ったIERS基準子午線が導入されたが、この基準によると、本初子午線は東に100mほどズレることになった。歴代天文台長としては、「天球図譜」で有名なジョン・フラムスティード、ハレー彗星に名前を残したエドモンド・ハレーなどがいる。

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2024年8月29日 (木)

ロンドン塔

 ロンドン塔は12世紀に築かれた城塞だ。当初は宮殿として使われたが、その後は監獄や死刑場としても使われ、ナチス副総統ルドルフ・ヘスもここに収監された。夏目漱石の小説「倫敦塔」は、もちろんここロンドン塔を題材としたものだ。「余」は2年の留学中ただ一度、着後間もないうちにロンドン塔を見物し、イングランド史上初の女王として即位したが在位わずか9日間で廃位され、後に処刑されたジェーン・グレイの最期を見る。ドラマ「SHERLOCK」では、モリアーティがロンドン塔に侵入、玉座で王冠をかぶってわざと逮捕される。

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2024年8月28日 (水)

ザ・シャード

 ロンドンを歩くと、高層ビルがあまりないことに気づく。高層ビルファンにはちょっと物足りないのかもしれないが、その分周囲がよく見える。そんなロンドンで最も高いビルが、310mのザ・シャードだ。ロンドン・ブリッジ駅に隣接し、ピラミッドを縦に引き伸ばしたような形状は、テムズ川周辺からはよく目立つ。展望台からのながめは当然すばらしいんだろうが、残念ながら昇る機会はなかった。映画「パディントン 2」では、パディントンはルーシーおばさんに誕生日のプレゼントを贈るため、ザ・シャードの窓拭きの仕事をする。

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2024年8月26日 (月)

ミレニアム・ブリッジ

 2000年に開通したミレニアム・ブリッジは、物理学でいう「共振(共鳴)」が実際に起きたことで有名だ。共振とは、物体の固有振動数と等しい振動が外部から加わると、非常に大きな振動が発生するという現象で、19世紀中頃にフランスで発生した吊り橋の落下事故も共振が原因だとされている。ミレニアム・ブリッジでは、開通当日に大勢の歩行者が訪れ、その歩行のペースが橋の固有振動数にそろってしまったという。結局、ミレニアム・ブリッジはすぐに閉鎖され、改修工事を受けることになった。映画「ハリー・ポッター」シリーズでは、デスイーターがミレニアム・ブリッジを破壊し、テムズ川に落下させてしまう。ミレニアム・ブリッジの正面には、7世紀初頭にまで歴史をさかのぼることができるセント・ポール大聖堂のドームがそびえている。

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2024年8月25日 (日)

セント・パンクラス駅

 キングス・クロス駅に隣接するセント・パンクラス駅は、ユーロスターの発着駅だ。ユーロスターはイギリス、フランス、ベルギーを結ぶ高速鉄道で、ブリュッセルまで1時間51分、パリまで2時間15分で行ける。駅舎は宮殿のようなつくりで、立派な時計塔がある。映画「ハリー・ポッター」シリーズでは、ホグワーツ特急に乗り遅れたハリーとロンが、空飛ぶクルマでセント・パンクラス駅の上空を飛ぶ。主要ターミナル駅2つが別々の駅として並んでいるのはちょっと変な気もするが、数分歩くとユーストン駅というこれまた大きな駅がある。鉄道発祥の国であるイギリス、どの駅もいろんな歴史があるんだろう。

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