カテゴリー「天体写真、天文学、科学」の記事

2025年5月 9日 (金)

かんむり座T星

 かんむり座T星は、白色矮星と赤色巨星の連星系で、通常は10等級という暗さだ。このような連星系では、赤色巨星から白色矮星に物質が降り積もり、熱核暴走反応が起こって急激に増光するという現象が発生することがある。地球から見ると、あたかも新しい星が誕生したかのように見えるため、「新星」と名付けられたが、「超新星」と同様、星が誕生したのではなく、寿命を迎えようとしている星に起こる現象だ。かんむり座T星は、これが80年周期で起こると考えられていて、1866年には2等級、1946年には3等級に達している。80年周期ということは、次は2026年ということになるが、昨年には新星爆発の兆候が見られるという報告があり、話題になっていた。新星爆発がいつ起こるか予想は難しいが、明るくなるのはわずか数日間なので、見逃さないようにしないと。

2005年5月2日撮影 キャノンEOS Kiss Digital+キャノンEF50mm、露出196秒

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2025年5月 8日 (木)

コスモス482号

 旧ソ連が1972年に打ち上げた金星探査機コスモス482号は、地球周回軌道への投入後にトラブルに見舞われ、金星に向かうことができなくなった。その後本体部分は1981年5月に地球に落下、着陸船部分は半世紀にわたって地球を周回している。NASAによれば、重量495gのこの着陸船部分は、5月9日から11日までの間、大気圏に再突入する見込みだ。高温高圧の金星着陸にも耐えられる構造のため、大気圏では燃え尽きず、一部が地表に落下する可能性があるという。落下地点は予想が難しいが、北緯52度から南緯52度の間ということなので、日本もその中に含まれる。とにかく、人的被害が出なければいいのだが(写真はコスモス482号と同型のベネラ8号の着陸船)。

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2025年5月 6日 (火)

量子コンピュータ・ディスコ

 日本科学未来館ではいま、量子コンピュータ・ディスコという展示を行っている。現在のデジタルコンピュータとはまったく違う仕組みで動く量子コンピュータがどのように計算をするのかを、DJ体験でつかむというユニークな企画だ。DJになった人は、8曲の中から、ダンスフロアに流すものを量子計算で選ぶ。具体的には、8曲の重ね合わせになっている状態の中から「観測」を実行すると、1曲が選ばれてその楽曲がフロアに流れるそうだ。GWとあってこの展示は行列ができる人気だった。

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2025年5月 5日 (月)

イチョウ

 東京都の木でもあるイチョウは、意外にも絶滅危惧種だという。正確には、野生のイチョウは中国にわずかに存在するだけで、絶滅危惧種に分類されているという。イチョウは恐竜が登場するより前、ペルム紀に出現し、「生きた化石」とも呼ばれている。黄葉したイチョウの葉は実に見事だが、新緑の季節もなかなか見事だ。

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2025年5月 4日 (日)

ヒトツバタゴ

 普段植物にはほとんど興味がなく、立派な木やきれいな花を見てもあまり何とも思わないのだが、ふと見ると見事に白い花を咲かせている木があった。とはいえ、何という花か全然わからない。Googleレンズで調べてみると、どうやらヒトツバタゴという木らしい。別名ナンジャモンジャとも呼ばれるこの木は、希少種でもあり、県によっては絶滅危惧種にも指定されているという。

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2025年5月 3日 (土)

宇宙科学入門

 一言で「天文学」と言っても、非常に幅広い研究分野がある。天文学の教科書の決定版である「シリーズ 現代の天文学」は、天文学のあらゆる分野を網羅しているが、全18巻もあり、専門家でない限り全巻読破するのは到底無理だ。天文が趣味でちょっとアカデミックなこともやってみたいなら、1冊で天文学全般を概観する本を読むのがいいだろう。恒星物理学を専門とする日本の天文学者尾崎洋二が書いた「宇宙科学入門」は、宇宙科学を幅広く網羅し、解説した入門書だ。太陽系から恒星、銀河、宇宙論へと視野を広げる章立てとともに、ニュートリノ天文学など進展著しい分野のトピックも採り上げられている。

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2025年5月 1日 (木)

NGC5335

 ハッブル宇宙望遠鏡(HST)は1990年4月に打ち上げられた。打ち上げ35周年記念として公開された画像の一つが、おとめ座の棒渦巻銀河NGC5335だ。非常に特徴的な姿をしたこのNGC5335、棒状構造が星間ガスを中心方向に引き込み、星形成を促しているという。NGC5335までの距離は2.3億光年だそうだが、ここにはさらに遠くの銀河もいっぱいとらえられている。

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2025年4月30日 (水)

二十四節気・立夏

 二十四節気(にじゅうしせっき)の一つ、太陽黄経45度(おひつじ座)に対応するのが立夏(りっか)だ。夏の気配が感じられるという意味で、春が極まる頃だ。1年で最もさわやかな季節だが、これから先は暑い夏が待っている。気象庁によれば、6〜8月は暖かい空気に覆われやすいため、気温は全国的に高いだろうということで、この夏も猛暑に苦しめられそうだ。今年は5月5日が立夏に当たる。

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2025年4月29日 (火)

スワン彗星

 5月1日に近日点を通過し、地球にも最接近するスワン彗星(C/2025 F2)が、崩壊した可能性があるという。当初は6等級くらいまで明るくなるのではないかと言われていたが、増光が鈍っていた。近日点通過後は南半球で観測しやすくなるため、近いうちにその姿がとらえられるだろう。残念なニュースだ。

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2025年4月28日 (月)

ZWO CAA

 FS-60CBとZWO Camera Angle Adjuster(CAA)を接続するリングができあがったので、組み合わせてみた。鏡筒+レデューサーとCAA(光路長16.5㎜)をコスモ天文工房特注M54-M52接続リング(光路長7㎜)で接続し、CAAとASI294MC(フランジバック17.5㎜)をコスモ天文工房特注M48-M42(光路長15㎜)で接続、これでバックフォーカス56㎜とぴったり合う。接眼側に重量物が偏ってバランスが悪いのが難点だが、電視観望ならまあ問題にならないかな。

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