« 2025年2月 | トップページ | 2025年4月 »
一般的に、春はシーイングはいいが、透明度は低い。気流が安定する一方で、大気中の水蒸気が増えるのだ。おまけに、花粉やら黄砂まで大気中を漂っている。星がキラキラまたたく華やかな冬の星空に比べ、春の星空がどんよりしているのはそのせいもある。月は5日上弦、13日満月、21日下弦、28日新月だ。22日は4月こと座流星群が極大となる。出現数は1時間当たり10個程度だが、1945年に90個出現したという記録があるなど、過去に何度か突発的に出現したことがある。水星は22日に西方最大離角となるが、日の出前の高度が低く観察は難しい。3月23日に内合となった金星は明けの明星に転じ、27日に最大光度に達する。だんだん高度を上げていくので、早起きの人は目にすることがあるだろう。火星は宵の南西から西の空、木星は宵の西の空にあり、まだ観察が可能だが、だんだん太陽に近づいていく。土星は日の出前の東の低空にあり、観察は難しい。国立天文台HPより。
これまでAskar FMA135のバックフォーカスが正しくなかったので、接続リングを別の組み合わせにしてテスト撮影。ただし、架台はSkyーWatcher AZーGTiマウント経緯台モードにしたので、周辺像が視野回転で流れてしまった。まあしかし、よく見ると、以前は左上隅のみ星像が大きく流れていたのが、四隅とも似たような感じになっている。となると、まあこれで正しいんだろう。それはそうと、ホットピクセルがずいぶん日周運動しているなぁ。中心にあるのがしし座のトリオ銀河だが、光害のヒドい東京で口径3㎝なのでかすかにしか写らない。
2025年3月22日撮像 Askar FMA135+ZWO ASI294MC+ASIAIR PRO+サイトロンIR640 PRO Ⅱフィルター、露出30秒を20枚スタック
以前Askar FMA135で撮影したとき、なんか隅の星像が流れてるなぁと思ったことがある。今回、自分の機材のバックフォーカスを点検したところ、FMA135のバックフォーカスが正しくないことに気づいた。ちょっと初歩的なミスだ。正しくはスターベースブログの写真のとおり。また試写してみないと。
火球観測用に使っている防犯カメラ ATOM Cam 2の調子が悪くなった。これまでちゃんと作動していたMicroSDカードが認識されなくなり、録画がされなくなったのだ。ちょうど「(無償)クラウドモーション検知録画」サービスが終了したタイミングであり、なんか関係あるのだろうか。カードを入れたり出したりしたところ、2台のカメラは復旧できたが、1台は復旧できない。カードを交換したら復旧するのだろうか。
3月29日、部分日食が起こる。見られるのはヨーロッパからアフリカの一部、グリーンランド、カナダの一部あたりで、日本からは見られない。カナダ東部では最大食分0.938と9割以上が欠ける。今年は日食・月食は外れ年で、日食は部分日食が2回のみ、しかも日本からはいずれも見られない。ただ、近年は世界中の天文ファンがライブ中継してくれるので、日本からも楽しめるだろう。図は国立天文台暦計算室より。
補正レンズを使う場合、補正レンズからカメラのセンサーまでの距離(バックフォーカス)をメーカー指定値に合わせる必要があるが、フィルターを使う場合、さらに細かい調整が必要となる。補正レンズを出た光がフィルター内部を通過することにより、光路長が少し伸びるのだ。この伸びはフィルターの厚さとフィルターに使われるガラスの屈折率などによって決まり、近似的にはフィルターの厚さ×(1−空気の屈折率≒1/ガラスの屈折率)で求められるという。例えば、屈折率1.5で厚さ1.5㎜なら、光路長の伸びは0.5㎜と計算される。したがってZWOマウントアダプターを使う場合、4枚付属しているシムリングのうち、0.5㎜のシムリングを組み合わせる。サイトロンのCBPフィルターやQBPフィルターならこれでよさそうだ。図は「天文学辞典」(日本天文学会)より。
土星の環は1枚の板ではなく、たくさんの氷の粒の集まりだ。環の直径は最大27万㎞にも及ぶが、これは地球と月の距離38万㎞の3分の2に相当する。一方で、厚さは数十mしかない。したがって、地球から見て環がちょうど横向きになったり、太陽から見て環がちょうど横向きになったりすると、環が消失したように見える。土星の公転周期は30年なので、だいたい15年ごとに環の消失が見られる。今回、環の消失が起こるのは3月24日だが、土星は12日に合になったばかりで、観察は難しい。ただ、5月7日にも環の消失が起こるので、こちらは明け方の東の空で観察することができそうだ。
ここまでバックフォーカスを検証してきたのは、ZWO Camera Angle Adjuster(CAA)を導入できるかどうか調べたかったからだ。CAAは光路長16.5㎜で、同じ長さのエクステンダーリングがあるくらいだから、光路長の点は問題ない。問題はネジ径だ。FC-100DZ+FC-35レデューサー0.66×+CAリング102の先はM54メス、CAA対物側もM54メスなので、M54オス-M54オスアダプターで接続することになる。CAA接眼側はM48オスまたはM54オスとなるので、ASI294MCのM42に変換しつつ、全体の光路長が56.2㎜になるよう接続リングを組み合わせる。実際に適当な製品があるかどうかはわからないが。なお、カメラがASI2600MC Proの場合も同じだ。
タカハシFC-100DZ+FC-35レデューサー0.66×+ZWO ASI294MCのバックフォーカスを、別の組み合わせで検証してみる。FC-35レデューサー0.66×のバックフォーカスは68.8㎜だ。ここに光路長19㎜のCAリング102を接続するが、重複部分があり、CAリング102からのバックフォーカスは56.2㎜となる。ここから、
ZWOタカハシ接続リングM54-M48 光路長1.2㎜
ZWO M42-M48エクステンダーリング 光路長16.5㎜
ZWO M42-M42エクステンダーリング 光路長21㎜
ASI294MC フランジバック(マウント面からセンサーまでの距離)17.5㎜
ということで、1.2+16.5+21+17.5=56.2㎜となる。写真はスターベースブログより(写真はFSQ-85EDの場合だが、レデューサーから先はFC-100DZの場合と同じ)。
次に、タカハシFC-100DZ+FC-35レデューサー0.66×+ZWO ASI294MCの場合。FC-35レデューサー0.66×のバックフォーカスは68.8㎜だ。ここに光路長19㎜のCAリング102を接続するが、重複部分があり、CAリング102からのバックフォーカスは56.2㎜となる。ここから、
タカハシカメラマウントDX-WR 光路長12.2㎜
ZWO EOS-EFマウントアダプターⅡ 光路長26.5㎜
ZWO ASI294MC フランジバック(マウント面からセンサーまでの距離)17.5㎜
ということで、12.2+26.5+17.5=56.2㎜となる。写真はスターベースブログより(写真はFSQ-85EDの場合だが、レデューサーから先はFC-100DZの場合と同じ)。
タカハシFS-60CB+レデューサーC0.72×+ASI294MCのバックフォーカスを、別の組み合わせで検証してみる。レデューサーC0.72×のバックフォーカスは56.0㎜だ。ここから、
スターベースオリジナルタカハシ-ZWO接続リング60W 光路長1.0㎜
ZWO M42-M48エクステンダーリング 光路長16.5㎜
ZWO M42-M42エクステンダーリング 光路長21㎜
ASI294MC フランジバック(マウント面からセンサーまでの距離)17.5㎜
ということで、1.0+16.5+21+17.5=56㎜となる。写真はスターベースブログより。
屈折望遠鏡にフラットナーやレデューサーなどの補正レンズを組み合わせる場合、補正レンズからカメラのセンサーまでの距離(バックフォーカスまたはメタルバック)は、補正レンズのメーカー指定値に合わせる必要がある。これが狂っていると、周辺像が補正不足になったり、補正過多になったりで、いずれにしても像は悪化する。通常はメーカーのシステムチャートどおりに組めば問題ないが、一度検証しておくといい。というわけで、自分の機材について検証してみよう。まずは、タカハシFS-60CB+レデューサーC0.72×+ZWO ASI294MCの場合。レデューサーC0.72×のバックフォーカスは56.0㎜だ。ここから、
タカハシカメラマウントDX-60W 光路長12㎜
ZWO EOS-EFマウントアダプターⅡ 光路長26.5㎜
ZWO ASI294MC フランジバック(マウント面からセンサーまでの距離)17.5㎜
ということで、12+26.5+17.5=56㎜となる。写真はスターベースブログより。
3月14日、ハワイから南北アメリカにかけて、皆既月食が見られる。日本では部分食が終わる頃に月が昇るので、ほとんど見られない。東京での月の出は17:49、部分食の終わりは17:48だ。その後も19:01まで半影食が続くが、半影食は肉眼ではわからないだろう。NASA HPには、今回の月食の予報が図示されている。最近の天文現象はたいていライブ中継されるので、見たい人は探してみるといい。
ZWO ASIAIR導入以来、劇的に便利になった撮影システムだが、唯一不便なのが、カメラの回転が手動だということだ。宇宙には上下左右があるわけではないが、天体写真は北を上にするという暗黙のルールがあり、これを守ろうとすれば、カメラの角度をきちんと調整しなければならない。ASIAIRの場合、Plate Solveが決まると星図上にカメラの角度も表示されるが、これを調整するのはあくまで手動なのだ。回転装置に角度目盛りがついていればかなり精度よく調整することができるが、それでも完全に調整することは難しい。そんな悩みを解決してくれそうなのが、ZWO Camera Angle Adjuster(CAA)だ。CAAでカメラの角度も精密に調整することができれば、毎回同じ構図を再現することも可能になり、コンポジット撮影がラクになりそうだ。しかし、ZWO HPによると、予想以上の需要があるため、入手できるのはまだ先になりそうだ。
イギリスの作家フレデリック・フォーサイスの小説「ジャッカルの日」を、舞台を現代に移し、エディ・レッドメイン主演でドラマ化した「ジャッカルの日」は、なかなかスリリングな物語だ。これまでのイメージとはうって変わって、冷酷非情な殺し屋を演じるレッドメインの風貌は、ダニエル・クレイグにちょっと似ている感じだ。ジャッカルの仕事ぶりはゴルゴ13並に完璧だが、一方で家族を愛するという一面も持ち合わせている。ラシャーナ・リンチ演じるMI6のビアンカは、現場で銃撃戦を繰り広げる一方で、家庭との両立に四苦八苦するという一面も持ち合わせている。2人ともワーク・ライフ・バランスで悩むというのも、現代らしい設定だ。ヨーロッパ各地で撮影した映像もきれいで、実際に行ったことのある場所が出てくるのも興味深い。
イギリスの作家ジェイムズ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」は、傑作SF小説だ。月面で深紅の宇宙服をまとった死体が発見され、それがなんと5万年前のものだったというできごとから、われわれの月がかつて、「ミネルヴァ」という惑星の衛星だったことが解き明かされる。さらに、「ガニメデの優しい巨人」、「巨人たちの星」へと続くシリーズでは、2500万年前に地球の生命の進化に介入した巨人たち「ガニメアン」の謎が解き明かされていく。この「巨人たちの星」シリーズはその後、「内なる宇宙」を経て、「ミネルヴァ計画」で完結をみることになった。3作目まではたいへんおもしろく読んだが、4作目「内なる宇宙」はまだ読んでないので、まずはこれから読まなきゃ。
88日周期で太陽の周りを回る水星は、動きが速い。地球から見ると太陽から大きく離れることがないので、見つけやすいのは東方・西方最大離角の前後数日間だ。東方最大離角から西方最大離角まで(またはその逆)の間隔は44日で、したがって観察するチャンスがめぐってくるのは1ヶ月半毎だ。その水星が3月8日、東方最大離角となる。今回は近くに金星が輝いているので、これを目印にすれば肉眼でも見つけられるかもしれない。双眼鏡があるとわりと簡単に見つけられる。
Apple M4チップ搭載のMacBook Airが登場した。まもなく日本語に対応予定のApple Intelligenceのために設計されたという触れ込みで、外観はほとんど同じながら、中身は大きく進化しているということなんだろう。生成AIの分野ではちょっと出遅れているアップルだが、いよいよ追撃態勢を整えたということだろうか。ぼくは長年PowerBook〜iBook〜MacBookを愛用してきたが、個人用としては軽量なMacBook Airが一番だ。
去年、天文関係の機材をちょっと整理した。中古天体望遠鏡専門のCATという業者が買い取りをしてくれるので、そこにけっこうな数の機材を送って買い取ってもらった。今ごろは誰かほかの天文ファンが使ってくれているのだろうか。しかし、古いMacやiPadは、そうはいかない。10年以上も前のモデルだと、下取り対象外だろう。特に、iPad(第1世代)はほとんど使い道もなく、記念碑的モデルではあるが、いつまでも残しておくこともできない。まあしかし、Apple Trade Inにデバイスを出すと、下取りの対象にならないものでも無料でリサイクルしてくれるそうだ。この際いくつかまとめて整理することにしよう。
3月5日夜、上弦前の月がプレアデス星団を隠すプレアデス星団食が起こる。プレアデス星団は光害があるところでもなんとか存在がわかるが、プレアデス星団食を観察するには双眼鏡か天体望遠鏡が必要だ。プレアデス星団の星にはギリシア神話のプレイアデス7姉妹と両親の名前がつけられているが、東京では22時18分頃、3番目に明るいエレクトラから次々と月に隠されていく。その後、プレアデス星団食が終わる前に月が沈む。
イギリスの作家フレデリック・フォーサイス原作の映画「ジャッカルの日」は、フランスのシャルル・ド・ゴール大統領暗殺を請け負ったプロの暗殺者ジャッカルと、フランス警察当局との戦いを描いた物語だ。1963年フランス、アルジェリア戦争に終止符を打ち、独立を認めたドゴール大統領は、保守過激派の秘密軍事組織OASに命を狙われていた。しかし、OASの暗殺計画は失敗を重ね、実行したメンバーは処刑されていく。生き残ったメンバーはやむなく、フリーランスの暗殺者ジャッカル(エドワード・フォックス)にド・ゴール暗殺を依頼する。一方、OASの動向を監視していた警察当局は、OASがジャッカルと呼ばれるプロを雇ったことを探り出す。警察当局は経験豊富なクロード・ルベル警視(マイケル・ロンズデール)に捜査を任せ、ルベルはジャッカルを追い詰めていく。フォックスは007シリーズ番外編「ネバーセイ・ネバーアゲイン」でMを、ロンズデールは007「ムーンレイカー」でボンドの敵を演じているが、本作のジャッカル役にはロジャー・ムーアも候補に挙がっていたそうだ。
地球に衝突する可能性が指摘されていた小惑星2024 YR4は、その後の観測によって、地球に衝突する確率はほぼゼロになった。2024 YR4の観測精度向上に寄与したすばる望遠鏡は、超広視野主焦点カメラ ハイパー・シュプリーム・カム(HSC)で、2024 YR4が放つかすかな光をとらえた。24.3等級というその暗さは、大型望遠鏡でなければ観測することはできない。とにかく一安心だが、長い目で見れば、地球が天体衝突に見舞われるのは避けられそうにない。