ゴヤの名画と優しい泥棒
スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤの「ウェリントン公爵の肖像」は、イギリスの将軍、初代ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーを描いた名作だ。1961年にロンドンのナショナル・ギャラリーに展示されたこの肖像画は、1ヶ月も経たないうちに何者かによって盗まれ、4年近く行方不明となった。映画「ゴヤの名画と優しい泥棒」は、「ウェリントン公爵の肖像」盗難事件を描いた物語だ。イングランド東北部の地方都市でタクシードライバーとして働く60歳のケンプトン・バントン(ジム・ブロードベント)は、妻ドロシー(ヘレン・ミレン)や次男ジャッキーと3人暮らし。ケンプトンは貧困や孤独に苦しむ高齢者を救済するため、公共放送BBCの受信料をタダにするための活動も行っていた。そんな中、ナショナル・ギャラリーから「ウェリントン公爵の肖像」が盗まれる事件が発生、ケンプトンはゴヤの名画の身代金で高齢者の受信料を肩代わりしようと考える。しかし、この事件には、もう一つの隠された真相があった。「ウェリントン公爵の肖像」盗難事件があった翌1962年公開の007第1作「ドクター・ノオ」には、ドクター・ノオに捕まったボンドが、「ウェリントン公爵の肖像」が飾られているのを見て驚くシーンがある。本作にもそのシーンが登場するので、ボンドファンはニヤリとするだろう。

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