ベルリン・天使の詩
ベルリンの壁がまだ存在した1987年公開の映画「ベルリン・天使の詩」は、人間界を見守る天使ダミエルと人間の女性マリオンの愛を描いた物語だ。ダミエル(ブルーノ・ガンツ)は今日も、ティーアガルテンの戦勝記念塔でベルリンの街を見下ろしながら、人間の内なる声に耳を傾けている。ある日ダミエルは、サーカスの空中ブランコ乗りマリオンの声を聞き、恋心を抱くようになる。元天使で現在は俳優として活躍しているピーター・フォークとの出会いなどもあり、ダミエルは、親友の天使カシエルに、永遠の命を放棄し、人間になりたいと打ち明ける。そして、念願どおり人間となったダミエルは、ついに人間界に降り立つ。本作は壁崩壊前のベルリン市内のあちこちで撮影されていて、非常に興味深い映像が出てくる。とりわけ、ダミエルが老詩人ホメロスの追憶の声を聞く荒れ地のポツダム広場は、今日の繁栄ぶりからは想像がつかないほどで、なんとも印象的だ。