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ナチス・ドイツ占領下のポーランドでは、ビエルスキ兄弟を中心とするパルチザンが、森の中に共同体を築き、1200名ものユダヤ人を生き延びさせたという。ダニエル・クレイグ主演の映画「ディファイアンス」は、そのビエルスキ兄弟による救出劇を描いた物語だ。1941年、ドイツ軍がベラルーシを占領、ナチス親衛隊と地元警察が苛烈なユダヤ人狩りを始める。両親を殺されたトゥヴィア(クレイグ)らビエルスキ兄弟は、森に逃げ込むが、そこには迫害を逃れた人々が集まっていた。トゥヴィアは父親の親友からピストルを借り、両親を殺した警察署長の住居に侵入、復讐を果たす。そして、トゥヴィアは他のユダヤ人たちを指導し、森の中で共同生活を始める。しかし、共同生活が長引くにつれ、食料の調達も難しくなり、トゥヴィアと弟のズシュ(リーヴ・シュレイバー)が対立するなど、さまざまな困難に直面するようになる。そんな中、ドイツ軍が森を包囲するとの情報が入る。強大なドイツ軍に対し、人間として生きるための抵抗が始まった。戦争を生き延びたトゥヴィアとズシュは戦後、アメリカに移住したという。
梅雨明けで好天が期待された8月も、結局は悪天候続きだった。9月になれば天気も安定するはずだが、どうだろうか。23日は太陽黄経180度となる日、すなわち秋分だ。春分からスタートした太陽が天球を半周したことになる。これからは昼より夜の方が長くなっていく。月は7日新月、14日上弦、21日満月、29日下弦だ。21日は旧暦の8月15日(十五夜)に当たるので、中秋の名月ということになる。水星は14日に東方最大離角となるが、日没後の高度が低く、見つけるのは難しい。宵の明星 金星やおとめ座の1等星スピカを頼りに、双眼鏡で探してみるといい。金星は5日にスピカと接近する。前後数日間観測すると、金星の動きがよくわかるだろう。火星は太陽の近くにあって観測は難しい。8月に衝となった木星と土星は観望好機だ。みなみのうお座の1等星フォーマルハウトとともに、めったに見られない「秋の大三角」を形づくっている。秋の星空は、アンドロメダ銀河を筆頭に見応えのある星雲星団銀河が多い。夜半過ぎには冬の星座も昇り、華やかさも増してくる。国立天文台HPより。
NASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)は、史上最も成功した科学プロジェクトだといってよいだろう。地球大気にジャマされないよう、宇宙空間に大型望遠鏡を打ち上げ、宇宙の天文台から深宇宙を観測しようという壮大なプロジェクトは、数多くの科学的成果をもたらした。その中でも最大の功績は、深宇宙の姿を人々に視覚的に見せたことだろう。HSTによるすばらしい画像は、何冊もの写真集になってるし、NASAのHPでも見ることができる。そのHSTの後継プロジェクトであるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、何度も打ち上げが延期されてきたが、いよいよ最終テストも完了し、打ち上げ準備に入った。JWSTは、地球を周回するHSTと違い、太陽・地球のラグランジュ点に置かれる。観測するのは赤外域で、HSTのように可視光による画像は得られないが、重要な発見をもたらすに違いない。
ハード面のセッティングが終わったら、次はアプリ側のセッティングだ。タカハシEM-11 Temma2Z+ZWO ASIAIR PROを自動導入赤道儀として動かすには、SkySafari(PlusまたはPro)が必要だ。各デバイスの電源をオンにしたら、まずはSkySafariの設定を行う。設定画面に「天体望遠鏡のセットアップ」という項目があるので、ここで「Takahashi Temma2」「自動導入赤道儀(ドイツ式)」を選ぶ。その後はASIAIRを起動、「Telescope Settings」でやはり「Takahashi Temma2」を選んで有効化する。そして「Sync to Mount」をタップした後、「Goto Home Position」の「Start」をタップする。これで赤道儀が動き出すので、止まったら赤緯赤経軸のクランプを緩め、ホームポジション(鏡筒が真上にあり、真北を向いている状態)に合わせる。そしてもう一度SkySafariに戻り、「望遠鏡」メニューの「接続」をタップする。これで自動導入の設定は完了だ。天体の導入は、SkySafariの星図から選んでもいいし、メシエカタログやNGCカタログのナンバーを覚えていれば、ASIAIRからでもできる。
ZWO ASIAIR PROによる天体写真撮影を行う場合、デバイスのセッティングは明るいうちにやっておく方がいい。とにかくケーブルが多いので、暗いところでは手間取るのだ。ただ、完全に組み立てると、機材がクルマに入りきらないかもしれない。積み込める範囲で、完全に近い状態にしておくしかない。まずタカハシEM-11 Temma2Zとの接続だが、これはPCで操作するときと同じく、RS232Cケーブル+USB-シリアル変換ケーブルを使う。電源は、ポータブル電源から直接取るか、ASIAIR PROのDC出力ポートから取る。後者の場合、アプリ側で出力ポートの設定をちゃんとしておかないと、電圧不足になることがあるので注意。そしてガイドケーブルも接続しておく(後から気づいたが、販売店のチャートでは、ガイドケーブルは赤道儀からASIAIR PROではなく、赤道儀からガイドカメラに接続することになっていた。ASIAIR PROに接続しても、オートガイドはできたが、アプリ側でオートガイドをスタートするまでは、EM-11 Temma2Zの恒星時駆動が止まってしまった。もしかしたら、ガイドカメラに接続すれば、EM-11 Temma2Zは常に恒星時駆動し続けるのだろうか?)。ZWO ASI294MCとASI120MM MiniはそれぞれUSBケーブルでASIAIR PROと接続するが、ASI294MCは高速なUSB 3.0ポート(青)の方がいい。ZWO EAFもUSBケーブルで接続するが、電源はASIAIR PROのDC出力ポートから取る。なお、ASIAIR PROのUSBポートは4つしかないので、データをUSBメモリに保存する場合、ハブを使ってポートを増設する。これでハード面のセッティングは完了だ。
イギリスの作家H・G・ウェルズによる古典的SF小説「宇宙戦争」は、何度も映像化されている。映画化される前にはラジオドラマとして放送されたこともあり、オーソン・ウェルズの迫真の演技に、多くの視聴者が本当に火星人が攻めてきたと信じ込んだという逸話まである。イギリスBBCのドラマ「宇宙戦争」は、原作どおり20世紀初頭のイギリスが舞台だ。新聞記者のジョージ(レイフ・スポール)は妻がある身でありながら、エイミー(エレノア・トムリンソン)と駆け落ち、周囲の冷たい視線に耐えながらも幸せに暮らしていた。ある日、正体不明の球体が落下、熱線を発して人々を焼き尽くし始める。軍も出動するがあっけなく壊滅、三本脚の戦闘機械(トライポッド)が現れ、町を破壊していく。というわけで原作に沿ったストーリーが展開されるが、結末はちょっと変更されている。火星のテラフォーミングならぬ、地球の逆テラフォーミングということだろう。
映画「ワンダーウーマン」シリーズ第2作「ワンダーウーマン1984」は、タイトルどおり1984年のアメリカが舞台だ。第1次世界大戦を終戦に導いたワンダーウーマンことダイアナ・プリンス(ガル・ガドット)は、スミソニアン博物館で働きつつ、世のため人のため悪と戦っていた。人々はおのれの欲望を追い求め、世の中は騒然としている。そんな中、FBIが押収した盗品が、鑑定のため博物館に持ち込まれる。博物館で働き始めたばかりでダイアナと親しくなったドクター バーバラ・ミネルヴァ(クリステン・ウィグ)が鑑定を始めるが、ダイアナはある「石」が気になってしまう。一方、TVCMで人気の石油会社マックス・ロード(ペドロ・パスカル)は追い詰められていた。当てにしていた石油は出ず、経営は火の車だった。しかも、起死回生のため探していた「石」が、FBIに押収されてしまったのだ。しかし、「石」が博物館に持ち込まれたことをかぎつけたマックスは純真なバーバラに接近、まんまと「石」を手にする。その「石」こそ、人々の欲望をかなえる代わりに、幾多の文明を滅ぼしてきた禁断の「石」だったのだ。第1次世界大戦で戦死したダイアナの永遠の恋人スティーブ・トレバー(クリス・パイン)も思わぬ形で復活、揺れ動くダイアナを勇気づける。
北海道の田舎町とはいえ、街中では光害はけっこうヒドい。光害の少ない山に行けばいいのだが、機材の運搬は大変だし、クマも出没するエリアなので、撮影までの準備が大変だ。その点、光害カットフィルターを使った電視観望なら、山まで遠征する必要もないので、あらかじめ組んでいた撮影機材を外に出すだけで準備OKだ。この日はペルセウス座流星群が極大となる日だったが、夜半前は晴れ、深夜から曇りという予報だったため、ペルセウス座流星群狙いではなく、星雲星団銀河の電視観望をやってみた。まずは北アメリカ星雲。各種デバイスをちゃんと稼働させるまで時間がかかったが、システムが正常に動き出してからは、こんな画像が出てきてちょっとオドロキだった。
2021年8月12日撮像 タカハシFSー60CB+レデューサーC0.72×+ZWO ASI294MC+ASIAIR PRO+CBPフィルター、露出120秒を3枚スタック
10月15日公開予定の映画「DUNE/デューン 砂の惑星」のUS版本予告編が公開された。傑作SF小説としてストーリーは知られているだろうから、あの小説をどうやって映像化しているのかが注目点だが、原作のイメージにたがわない壮大な作品となっているようだ。登場人物は、大別するとアトレイデス家、ハルコンネン家、フレメンに分けられるが、いずれも個性派俳優ぞろいだ。特にアトレイデス家の宿敵ハルコンネン男爵は、原作では極めて気味の悪い男なのだが、これをスウェーデンの怪優ステラン・スカルスガルドが演じるということなので、イメージどおりじゃないだろうか。まあとにかく公開が楽しみだ。
ペルセウス座流星群が活動期に入っている。今年の極大は13日未明(4:00過ぎ)で、月明かりもなく、観測条件は最良だ。12日夜半過ぎから日の出前の薄明が始まるまでの間、光害のないところでは1時間当たり50個程度の流星が見られるかもしれない。北海道では日の出は4:30なので、3:00頃には薄明が始まる。明るい流星ならば、薄明の中でも見えるかもしれない。2001年のしし座流星群は、薄明の中で多数の流星が出現して驚いたもんだ。流星群の流星は、空のどこにでも出現するが、放射点と呼ばれる一点から放射状に出現するように見える。ペルセウス座流星群の放射点は、その名のとおりペルセウス座にあり、未明には北東の空に高く昇っている。観測には望遠鏡や双眼鏡を使う必要もなく、寝転がって肉眼で見るのが一番だ。写真撮影するなら、できるだけ広角レンズを使い、タイムラプス動画にするといい。あとは好天に恵まれるかどうかだ。
8月2日は土星が衝(しょう)となる。衝というのは、ちょうど太陽と正反対の位置にくるということで、一晩中見ることができる。また、地球との距離が最も近くなるので、最も明るく、最も大きく見える。土星があるのはいて座の隣、やぎ座だ。土星より遅れること18日、8月20日には、みずがめ座にある木星が衝となる。昨年の夏は木星と土星の位置関係が逆だったが、昨年末に木星が土星を追い越していった。木星の公転周期は12年、土星の公転周期は30年なので、木星の方が動きが速いのだ。木星と土星があるあたりは明るい星が少なく、とても目立つだろう。しばらくは、木星と土星、みなみのうお座の1等星フォーマルハウトでつくる「秋の大三角」を楽しめそうだ。
子どもたちにとって楽しいはずの夏休み、2年続けての不自由な生活にさぞかしガッカリしているだろう。国立天文台では、そんな子どもたちに、このご時世でも楽しめるコンテンツを用意している。一つは、インターネットを利用した、「夏休み、おうちで楽しむ国立天文台コンテンツ」の提供だ。国立天文台YouTubeチャンネルでは、だいたい10分でわかる「小学生向け天文ミニレクチャー」を配信していて、8月のテーマはペルセウス座流星群だ。もう一つは、「この夏、望遠鏡で惑星を見ようーどこでも、いつでも、誰とでもー」ということで、国立天文台望遠鏡キットなどの小型望遠鏡を使い、金星や木星、土星を見ようというキャンペーンだ。天の川やペルセウス座流星群を見るには光害の少ない田舎に行かなければならないが、明るい惑星なら都会でもよく見える。国立天文台望遠鏡キットはとても良心的に作られているという評判なので、初めて天体望遠鏡を買うならこれがいいんじゃないだろうか。