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かつてイギリスとアイルランドは北アイルランドの領有をめぐって激しく対立、北アイルランド独立を求めるIRAによるテロ事件も発生した。ジャッキー・チェン&ピアース・ブロスナン主演の映画「ザ・フォーリナー/復讐者」は、両国が和平に向かおうとする中、なおもテロ行為が続いている時代のロンドンが舞台だ。ロンドンで中華料理店を経営するクァン・ノク・ミン(チェン)はある日、ただ1人の家族である愛娘を爆破テロで失う。犯行声明を出したのは、アイルランド独立を求める武装組織UDIだった。警察の捜査が遅々として進まないことに業を煮やしたクァンは、ベルファストに乗り込み、かつてUDIのメンバーでいまはアイルランドの副首相となっているリーアム・ヘネシー(ブロスナン)のもとに押しかける。しかし、ヘネシーもその真相は知らなかった。ベトナム戦争時、米軍特殊部隊に所属していたクァンは、復讐の鬼と化し、あらゆる手段で犯人を追い詰めようと動き出す。すべてが終わり、ドラゴンにはまた静かな日々が訪れたが、いつかまたドラゴンが目を覚ます日がくるのだろうか。
春分の日を過ぎ、昼の時間がだんだん長くなっている。天文ファンにとって、観測時間が短くなるのは残念だが、北海道では特に、寒さも和らいで体はラクになっていく。まだ虫はあまりいないが、ヒグマは冬眠からさめてウロウロしているので、要注意だ。月は4日下弦、12日新月、20日上弦、27日満月だ。22日は4月こと座流星群が極大となる。見頃は22日深夜から翌日未明で、1時間当たり5個程度の出現が見られるかもしれない。普段は出現数は少ないが、ときどき突発的な出現もある流星群だ。水星と金星は太陽に近く、観測は難しい。火星は宵の西空、木星と土星は明け方の南東の低空にある。GW中は満月に近い明るい月があるが、最近は月明かりをカットするフィルターもあるので、これらを使って春の銀河を撮影するのもいい。国立天文台HPより。
大学生のとき、教科書として「宇宙地球科学」(杉本大一郎、濱田隆士著)という本があった。これは半分が天文学、半分が地学という内容だが、字ばかりで写真もあまりなく、当時はおもしろいとはいえない本だった。特に地学の方は、字だけ読んで理解するというのは難しい。幸いいまは、カラー写真や図版を多用した本やウェブサイト、さらにはGoogle Earthというすばらしいソフトがあり、世界中の特徴的な地形が簡単に見られるようになった。中でも平朝彦+海洋研究開発機構の「地球科学入門」は、単なる1冊の紙の本ではなく、動画や補足写真などもリンクさせたマルチメディア本だ。こういう本を読んで視覚的イメージをつかんでおけば、字ばかりの専門書を読んでもすっと理解できるんじゃないだろうか。ちょっと脱線するが、子どもの砂場遊びもなかなか興味深い。富士山に代表される成層火山がどう形成されるかは、砂場で実験してみるとよくわかる。宇宙もおもしろいが、地球もおもしろいのだ。
土星の環の傾きは、地球から見ると15年周期で変わっていく。最も傾いて見えるときは、土星本体が環の中にすっぽり入り込んでしまうし、環を真横から見るときは、まったく見えなくなる。ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影したこの画像は、2018年と2019年、2020年の同じ時期の土星の姿だ。2025年の環の消失に向かって、年々環の傾きが小さくなっているのがわかる。
NASAが開発したアメリカ海洋大気庁(NOAA)の人工衛星DSCOVR(Deep Space Climate Observatory)は、太陽と地球のラグランジュ点L1にある。ラグランジュ点とは、特殊な条件下で3つの天体の重力がつり合う点で、L1からL5まで5つある。そのうちL1は、地球から150万㎞ほど太陽に向かったところにある。DSCOVRはここから毎日、地球表面を撮影し、ウェブサイトに画像をアップしていて、過去のある日の地球の画像を調べることもできる。3年前の今日の地球の画像を見ると、北海道から東北、北陸は雲が多いが、関東から西は晴れていたようだ。
ヒュー・ジャックマン&ユアン・マクレガーのスーパーヒーローコンビ主演の映画「彼が二度愛したS」は、愛と金と欲望が渦巻くニューヨークで、セクシーな弁護士とさえない会計士の2人がだまし合いを繰り広げる物語だ。会計士のジョナサン・マコーリー(マクレガー)は、クライアント企業の会議室で深夜まで会計監査をする地味な毎日を送っていた。そんなある夜、ワイアット・ボーズ(ジャックマン)といういかにもやり手の弁護士が親しげに話しかけてくる。2人はすぐに意気投合し、飲みに行ったりテニスをしたりするが、お互いの携帯電話を取り違えたことから、マコーリーの生活は大きく変わっていく。ボーズの携帯電話には、毎夜のように何人もの女性から誘いの電話が入るのだ。実はボーズは、会員制の秘密交際クラブに入っていたのだ。孤独で退屈な生活を送ってきたマコーリーはたちまちそれにのめり込むが、それはあまりにも危険な罠だった。というわけで、セクシーで狡猾なワルを演じるジャックマンに対し、純粋だが気弱なマクレガーも最後は大胆な行動に打って出る。
いまの天体望遠鏡での写真撮像には、コンバージョンレンズ(補正レンズ)が不可欠なものとなっている。フローライトレンズやED(異常分散)レンズをもってしても、全面にわたって完全に収差をなくすことは困難で、中心部はシャープでも、周辺画像は悪化するのだ。そこで周辺画像を補正するコンバージョンレンズの登場ということになる。コンバージョンレンズには、マスターレンズの焦点距離をあまり変えない「フラットナー」、焦点距離を短くする「レデューサー」、焦点距離を長くする「エクステンダー」があり、撮像対象によって使い分ける。タカハシFSー60CBの場合、本来の焦点距離は355㎜だが、フラットナーで370㎜、レデューサーで255㎜、エクステンダーで600㎜となる。ぼくはだいたいレデューサーを使うことが多いが、銀河撮像用にフラットナーも用意している。コンバージョンレンズは、かなり凝った作りなので、お値段も高い。
一昨年4月、おとめ座銀河団の楕円銀河M87の中心に位置する巨大ブラックホールの撮像に、史上初めて成功したという発表があった。撮像したのは、地球上の8つの電波望遠鏡を結合させたイベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)という国際協力プロジェクトチームだ。その日本チームの代表である本間希樹が書いた「巨大ブラックホールの謎」は、撮像直前の興奮を伝える本だ。ブラックホールには「普通の」ブラックホールと巨大ブラックホールとがあり、巨大ブラックホールというのはまさにケタ違いの存在だ。巨大ブラックホールは銀河の中心にあり、おそるべきエネルギー源となっている。もともとはアインシュタインの一般相対性理論から導かれたもので、SFみたいなものだったが、20世紀半ばに電波望遠鏡による観測が始まり、その存在がだんだん明らかになってきた。われわれの銀河系の中心部にも巨大ブラックホールがあり、その領域はいて座Aスターと呼ばれているが、これもいずれ撮像できるようになるかもしれない。
デジタル一眼レフカメラ移行後、最初に天体写真の画像処理に使ったのは、Adobe Photoshop Elementsだった。その後、キャノン純正のDigital Photo Professional(DPP)もかなり使えることがわかり、現在に至るまでDPPを使っている。しかし、DPPはApple Silicon搭載Macに対応していない、FITS画像を扱えないという問題がある。天体写真専用の定番画像処理ソフトとしてはステライメージがあるが、これはMac版がないという致命的な問題がある。DPPがApple Silicon搭載Macに対応し、FITS画像も扱えるようになればいいのだが、いずれApple Silicon搭載Macに対応するとしても、FITS対応までは期待できないだろう。一方、昔のPhotoshopには、FITSに対応したプラグインがあったが、これはその後FITS Liberatorというスタンドアローンのソフトになり、いまのmacOSにはインストールできないようだ。というわけで、しばらくは古いハード&ソフトのままいかねばならないが、いずれ問題も解決されるだろう。
30年近く前、アメリカの大手タバコメーカーB&Wの不正行為を、元役員ジェフリー・ワイガンドが内部告発するという事件があった。いまやタバコが有害なのは誰もが知ってる常識だが、B&Wはタバコが健康に与える悪影響に関するデータを改ざん、隠ぺいしようとしたのだ。アル・パチーノ&ラッセル・クロウ主演の映画「インサイダー」は、このワイガンド事件を描いた物語だ。CBSテレビの人気番組「60 Minutes」のプロデューサー ローウェル・バーグマン(パチーノ)のもとにある日、タバコの有害性に関する極秘データが送られてくる。バーグマンはB&Wを解雇されたばかりのワイガンド(クロウ)とコンタクトを取り、インタビューを申し込む。ワイガンドを厳重に監視していたB&Wはこの動きを察知、ワイガンドに対しさまざまな手を使って脅しをかける。苦悩するワイガンドだが、次第にバーグマンを信頼するようになり、インタビューを受けることを決意する。しかし、せっかくワイガンドが真実を語ったのに、CBS上層部はB&Wからの訴訟を恐れ、放送をストップしようとする。というわけで、バーグマンは悪徳企業のみならず、社会正義よりも自社の損得を優先する上層部とも戦わねばならなくなる。ひどい話だが、これが訴訟社会アメリカの現実なんだろう。先月死去したクリストファー・プラマーが、「60 Minutes」の看板記者マイク・ウォレスを演じている。
デンゼル・ワシントン主演の映画「ザ・ウォーカー」は、「北斗の拳」や「マッドマックス」のような荒廃した世紀末的近未来が舞台だ。戦争によって文明が崩壊し、強奪が横行する無秩序な世界と化した近未来の北米大陸。世界に1冊だけ残った本を持つイーライ(ワシントン)は、「本を西へ運べ」という心の声に導かれ、30年も旅を続けていた。ある日、砂漠の街の酒場に立ち寄ったイーライは、ならず者たちに因縁をつけられるが、またたく間に全員を倒す。街を牛耳る独裁者ビリー・カーネギー(ゲイリー・オールドマン)はそんなイーライに目をつけ、部下にしようと企むが、イーライはきっぱりと断る。カーネギーはやがて、自らの支配力を高めるために探し求めていた本(聖書)を、イーライが持っていることに気づく。というわけで、カーネギー一味の追跡を受けながらイーライの旅が続くのだが、その途中、「ハリー・ポッター」シリーズでダンブルドアを演じたマイケル・ガンボン演じるあやしげな老夫婦が登場するという、ちょっと笑えるシーンもある。
ASIAIR PROを使った電視観望によるオリオン座大星雲。露出5秒を100枚スタック。ASIAIR PROでは、データはFitsファイルとして保存されるが、これをASI StudioのASIFitsViewでちょこっとレベル補正して、TIFFファイルで書き出した。このTIFFファイルを、Mac純正ソフト プレビューの「カラーを調整」でちょっとハデめに彩度を上げて、JPEGファイルに変換した。いつも使っているキャノンDPPのような自由度の高い画像処理はできないが、これくらいのお手軽画像処理ならできるということがわかった。天体写真の画像処理は奥が深く、やり始めるとキリがないが、こういう手もあるということで。
2021年2月27日撮像 タカハシFSー60CB フローライト屈折望遠鏡+レデューサーC0.72×+ZWO ASI294MC+QBPフィルター、露出5秒を100枚スタック