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2020年12月14日 (月)

コリーニ事件

 ドイツの弁護士にして作家でもあるフェルディナント・フォン・シーラッハ原作の映画「コリーニ事件」は、ナチス・ドイツ崩壊後も残る戦後ドイツの法的暗部をあぶり出した物語だ。新米弁護士カスパー・ライネン(エリヤス・エンバレク)は、財界の大物経営者が殺された事件の国選弁護人を打診される。しかし、事件の詳細を知らされたライネンは、衝撃を受ける。被害者ハンス・マイヤーは、少年時代に世話になった恩人だったのだ。逡巡したライネンだったが、弁護士として独立した以上、仕事を引き受けるしかないと決意する。加害者ファブリツィオ・コリーニ(フランコ・ネロ)は長年ドイツで模範的な市民として働いてきたイタリア人だが、弁護人であるライネンに対しても、一切口を閉ざして何も語らない。まったく打つ手なしのライネンだったが、コリーニの生い立ちなどを調べるうちに、隠されたマイヤーの過去が浮かび上がってくる。戦争が残す傷は、何十年経とうが癒えるものではない。日本人としても、ちょっと他人事とは思えない話だ。

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