ザ・レポート
スパイ映画ファンには大人気のアメリカCIAだが、共和党のブッシュ政権下で水責めなど残酷な拷問を行っていたことが発覚し、大問題になったことがある。映画「ジェイソン・ボーン」なんかを観ていると、そんなの当たり前にやってるんだろうなと思うが、もちろん現実には国際法上許されない手法だ。しかし、「強化尋問テクニック」という名の拷問による成果は、実際のところたいしたものではなかったということで、そうなると当然のことというべきか、隠蔽やもみ消し工作が行われることになる。映画「ザ・レポート」は、CIAの妨害を受けながら、疑惑を調査する上院情報委員会調査チームの活躍を描いた物語だ。2009年、民主党のファインスタイン上院議員によって調査チームのリーダに選ばれたFBI出身のダニエル・J・ジョーンズ(アダム・ドライバー)は、CIA職員との接触を禁じられる中、600万ページを超える文書を調査し始める。何年もかけた調査によって、CIAの拷問の実態が少しずつ明らかになっていくが、CIAは事実が暴かれることをおそれ、ジョーンズにハッキングの罪を着せて刑事告発しようとする。終盤、ジョーンズがまとめた6000ページにも及ぶ報告書が、至るところぬりつぶされるシーンがあるが、日本でも同じことが平気で行われているので、笑うことはできない。古今東西、権力者というものは自らに都合の悪い事実は隠すのだ。後日談だが、拷問への関与が取り沙汰されたCIA高官のジーナ・ハスペルは、共和党のトランプ大統領によって、CIA初の女性長官に指名された。
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