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地球のすぐ外側の軌道を回っている火星は、2年2ヶ月毎に地球に接近する。地球も火星も太陽を回る軌道は楕円だが、地球軌道が円に近いのに対し、火星軌道はちょっとゆがんでいて、地球と火星との距離も0.6〜1億㎞くらいまで変化する。今回の接近は大接近といえる近さで、10月6日に6207万㎞まで接近する。一昨年の大接近時は、5759万㎞まで近づき、火星の視直径は24.3″だったが、今回は22.6″と、それよりはほんのちょっと小さい。ちなみに、木星の視直径は40″ほどだ。最接近時は木星より明るいので、さぞかし大きく見えるんじゃないかと期待する人もいるだろうが、残念ながらそうではない。表面の模様を見るには、それなりの口径の天体望遠鏡が必要だ。地球のお隣さんとはいえ、はるか彼方にある星なのだ。
今月は満月が2回ある。月は2日満月、10日下弦、17日新月、23日上弦、31日満月だ。月の満ち欠けは平均すると29.5日周期なので、ときどきこういうことが起きる。2回目の満月を「ブルームーン」と呼ぶこともあるが、月が青くなるわけではない。1日は旧暦の8月15日(十五夜)に当たり、この日の月は「中秋の名月」と呼ばれる。水星は2日に東方最大離角となり、夕方の西空に見えるが、超低空なので見つけるのは難しいだろう。金星は明けの明星として輝いていて、3日にはしし座の1等星レグルスと大接近する。火星は6日に地球と最接近し、14日に衝となるので、いまが一番の見頃だ。普段は木星の方が明るいが、いまは火星の方が明るい。木星と土星はだいぶ西に傾いてきたが、火星よりずっと遠くにあるので、見え方はそんなに変わらない。8日頃は10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)、10日頃はおうし座南流星群、21日頃はオリオン座流星群が極大となるが、いずれも出現数は少ない。国立天文台HPより。
国立天文台 三鷹キャンパスでは、毎月2回、定例観望会を開催しているが、今年は2月末から休止していた。それが8月22日にオンライン定例観望会として再開、9月26日には第2回オンライン定例観望会が開催される。オンライン観望会は定員がなく、事前申し込みも不要なので、通常の観望会と違って誰でも見られるのがいい。いまは木星や土星、火星が見頃なので、惑星めぐりということになるんじゃないだろうか。
Linux(Ubuntu)をインストールしたMacを仕事に使う場合、最大の問題はオフィススイートをどうするかだろう。多くの企業ではMicrosoft Officeを使ってるんじゃないかと思うが、これはLinuxに対応していない。というわけで、他のソフトを使うしかないが、UbuntuにはLibreOfficeが用意されている。LibreOfficeはフリー、オープンソースのソフトウェアで、ワードプロセッサのWriter、スプレッドシート(表計算)のCalc、プレゼンテーションのImpress、図形のDraw、データベースのBase、そして数式編集エディタのMathからなる。もちろんMicrosoft Officeとも互換性があるので、シンプルな仕事なら対応できるんじゃないだろうか。ぼくもしばらく試してみようっと。
催眠術によって他人を意のままに操り、犯罪を行わせることは可能なのか。映画「ガーディアン・エンジェル 洗脳捜査X」は、実際にあった事件を元にした物語だそうだ。第2次世界大戦終結から6年後のデンマーク コペンハーゲン。連続銀行強盗事件が発生し、2人を射殺した犯人パーレが逮捕された。犯人逮捕に関わったアンダース刑事(ピルー・アスベック)は、捜査を進めるうち、パーレがナチスに協力した戦争犯罪で服役中、同房だったニールセン(ジョシュ・ルーカス)の過激思想に影響を受けたことを知る。ニールセンを事件の黒幕とにらみ、逮捕したアンダースだったが、自信満々のニールセンは隙を見せることもなく、保釈せざるを得なくなる。しかも、保釈されたニールセンはアンダースの妻マリーに近づき、彼女をも操ろうとする。アンダース刑事は、犯人の脅しに簡単にビビって逃走を許してしまうなど、ちょっと見かけ倒しだが、執念で犯人を追いつめていく。
富士フイルムのブランド フジノンの双眼鏡は、特に大型双眼鏡では天文ファンに絶大な人気を誇る。口径150㎜のLB150シリーズは多くのコメットハンターが愛用していて、ファン垂涎の双眼鏡だが、最も安いモデルでも100万円はくだらない。まあこれは別格として、スターウォッチングに向いているのは防振システム搭載のTSーX1440(14×40)かFMTシリーズだろう。FMTシリーズはオーソドックスなモデルで、7×50、10×50、10×70、16×70が用意されている。口径70㎜の双眼鏡を選ぶなら、ニコンかフジノンかの二者択一ということになるだろう。スターウォッチング向きの大型双眼鏡としては、一時はミヤウチも人気があったが、いまはもう製造してないようだ。
シングルボードコンピュータRaspberry Pi(ラズベリーパイ)には、Raspberry Pi OS(旧称Rasbpian)というOSが用意されているが、これ以外にもいろんなLinuxディストリビューションをインストールすることができる。先日、古いMacBook Pro(Mid2009)にUbuntu(ウブントゥ)をインストールしたので、Raspberry Pi 4にもUbuntu MATE(ウブントゥ マテ)をインストールしてみた。Ubuntu MATEはUbuntuの公式派生品で、Raspberry Piでもデスクトップ環境が使えるのだ。実際に使ってみるとけっこう快適で、コストパフォーマンス抜群のPCになれそうなくらいだ。しばらくMacBook Pro+Ubuntuと並行して使ってみよう。
天文ファンに昔から人気のある双眼鏡といえば、やはりニコンだろう。その最高峰はWXシリーズだが、これは70万円以上とベラボーに高いので、もうちょっとリーズナブルなのをと思ったら、その下のEDGシリーズも20万円以上とかなりお高い。その次が10万円台のMONARCH HGシリーズ、そして7×50SPへと続く。7×50SPは昔ながらの高級機で、これと10×70SPは、スターウォッチング向き双眼鏡の最高峰とされていた。EDGシリーズはED(特殊低分散)ガラスを使用したダハプリズム式で、7×42、8×42、10×42が用意されている。MONARCH HGシリーズもダハプリズム式で、スターウォッチングには8×42か10×42かのどちらかがいいだろう。手持ちで星空を流すように見るなら軽い方がいいが、三脚を使うなら、思い切って大口径の10×70SPを選ぶのもいいかも。まあ両方持つのがベストなんだろうが。
英米日の研究者チームが、チリにある国立天文台アルマ望遠鏡などによる観測で、金星にリン化水素であるホスフィン(PH3)分子を検出したと発表した。ホスフィンは地球や木星の大気にもあるが、金星のケースを詳しく調べたところ、大気内での化学反応などでは十分な量のホスフィンが作り出せず、生命由来の可能性も捨てきれないという。金星は地球とほぼ同じ大きさだが、気圧が92気圧、気温が460℃とまさに地獄のようであり、大気の成分もまったく違う。こんな環境下で存在する生命がいるとは思えないが、100%いないと断言できない以上、もっとよく調べてみる必要があるだろう。
3代目007ロジャー・ムーアが主演し、007シリーズ制作スタッフが手がけた映画「ゴールド」は、実際に起こった事件をもとにした物語だそうだ。南アフリカにある世界最大級の金鉱である日、崩落事故が発生、現場の総監督をはじめ多数の死傷者を出す。専務のスタイナーは後任にロドニー・スレーター(ムーア)を抜擢するが、この裏には、大がかりな陰謀があった。実は、事故はある国際的なシンジケートが仕組んだもので、スタイナーはその一味だったのだ。スタイナーらは故意に事故を起こし、さらに大きな事故で金鉱を水没させようと企んでいた。事故によって金鉱の株価が暴落し、金価格が急騰することを見越して、巨額の利益を得ようというのだ。そうとは知らぬスレーターは総監督を引き受け、さらには金鉱オーナーの孫娘であるスレーター夫人に夢中になってしまう。というわけで、007とは立場が変わっても、プレーボーイぶりはまったく一緒だ。
星空の美しさを味わいたいなら、天体望遠鏡より双眼鏡の方がおすすめだ。天文ファンならほぼ全員が双眼鏡を持っていると思うが、ぼくも天体写真撮影中は双眼鏡で星空をながめていることが多い。もう40年くらいタカハシ・アストロノーマー双眼鏡7×50を使っているが、ずっと気になっている双眼鏡がある。それがキャノンの光学式手ブレ補正機構搭載双眼鏡だ。このうち最もスターウォッチング向きと思われるのが10×42 L IS WPというモデルで、定価18万円とお高いが、評価も高い。手持ちで星空を流すように見る場合、手ブレ補正機構がついているのは大きなメリットだ。もちろん、双眼鏡を三脚に固定するなら手ブレ補正機構がなくてもいいわけだが、その場合気軽にながめるというわけにはいかない。なお、本機の重量は1㎏を越えるので、もうちょっと口径が小さくてもいいから軽い方がいいという人は、32㎜のモデルを選んでもいいだろう。逆にもっと口径が大きい方がいいなら、50㎜のモデルもある。
来年公開予定の映画「ザ・バットマン」の予告映像が公開されている。本作はバットマン=ブルース・ウェインの若き日の姿を描いた物語ということで、どのような作品になるのかおおいに楽しみにしている。1989年の映画「バットマン」以降、バットマンを演じた俳優はマイケル・キートン、ヴァル・キルマー、ジョージ・クルーニー、クリスチャン・ベール、ベン・アフレックの5人がいるが、本作ではイギリスの俳優ロバート・パティンソンがバットマンを演じる。パティンソンは、映画「ハリー・ポッター」シリーズにも出演しているが、売れっ子俳優のようだ。バットマンシリーズには個性的なヴィラン(悪役)がたくさん登場するが、本作でもペンギン、リドラー、キャットウーマンの登場が予定されている。ゴッサム市警のジェームズ・ゴードンを演じるのは、007映画でCIAのフェリックス・ライターを演じるジェフリー・ライトだ。それにしても、あのみにくい姿のペンギンをコリン・ファレルが演じるとは、いったいどのような特殊メイクを施すのだろうか。
日本天文学会は昨年から、歴史的に貴重な天文学・暦学関連の遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えその普及と活用を図るために、日本天文遺産を認定している。第1回日本天文遺産に認定されたのは、会津藩の藩校・日新館に付属した天文台跡と藤原定家(1162〜1241)の日記「明月記」だった。「明月記」には超新星やオーロラと思われる天文現象が記録されていて、いまはかに星雲として知られる1054年の超新星爆発も記載されている。今回、第2回日本天文遺産に認定されたのは、キトラ古墳天井壁画と明治20年皆既日食観測地および観測日食碑、そして6mミリ波電波望遠鏡だ。6mミリ波電波望遠鏡は、1970年に東京大学東京天文台(現国立天文台)三鷹キャンパス内に設置され、その後水沢キャンパス、野辺山キャンパスを経て鹿児島県の錦江湾公園に移設、2018年に三鷹の地に戻ってきた。現在は三鷹キャンパスの一般見学エリアで保存・公開されているので、いつでも見学することができる。
第2次世界大戦後、ホロコーストに関与したナチス幹部に対する厳しい追及が行われた。中でも有名なのは、アルゼンチンに潜伏していた親衛隊将校アドルフ・アイヒマンが、イスラエル諜報特務庁(モサド)に捕らえられた事件だろう。ヘレン・ミレン主演の映画「ペイド・バック」は、ナチス幹部を追うモサド工作員の活躍を描いた物語だ。モサドの工作員だったレイチェル(ミレン)とその夫ステファン・ゴールド(トム・ウィルキンソン)は、ナチスで人体実験を繰り返していた医師ディーター・フォーゲルを暗殺、祖国の英雄として尊敬されていた。2人は30年前、デヴィッド・ペレツを加えた3人のチームで東ベルリンに潜入、フォーゲルを見つけ出し、イスラエルに連行しようとするが、抵抗されたため、レイチェルが射殺したのだ。ここで物語は、30年前の東ベルリンへと巻き戻され、若きレイチェル・シンガー(ジェシカ・チャステイン)とステファン、そしてデヴィッド(サム・ワーシントン)の回想シーンが展開される。そして明らかになる、30年前の秘密。というわけで、祖国の英雄のはずの3人の苦悩も明らかになる。俳優陣も有名映画に出演している俳優ばかりで、緊迫感ある物語だ。
10年ほど前、ドイツでネオナチによるトルコ系移民連続殺人事件が明らかになり、ネオナチと警察や情報当局との不透明な関係が浮上して大きな政治問題となったそうだ。ドイツの映画「女は二度決断する」は、そのような事件を下敷きにした物語だ。ハンブルクで夫のトルコ系移民ヌーリ、息子ロッコと暮らすドイツ人女性のカティヤ(ダイアン・クルーガー)。ヌーリはかつて、麻薬ビジネスに手を染めていたが、いまは更生し、まじめに働いていた。ある日、カティヤがヌーリにロッコを預け、外出したところ、ヌーリのオフィスが爆破されてしまう。やがて容疑者2人が逮捕され、裁判が始まるが、カティヤにとっては耐え難い展開となっていく。日本でも、犯罪によって苦しめられた被害者やその家族が、その後他の要因で二重に苦しめられるという痛ましい事件が散見されるが、こんなときでもカティヤの最後の決断が全否定されるべきなのか、意見が分かれるところだろう。
Mac上の仮想環境VirtualBoxにUbuntuをインストールしたら、Linuxが使えるようになる。WindowsやMacはGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)であるのに対し、LinuxはCUI(キャラクタ・ユーザ・インターフェース)ということだが、最近のLinuxはGUIも使えるので、見た目はWindowsやMacとけっこう似ている。CUIはその昔、BASICやMS−DOSを使ったことがある人ならよく知ってるだろうが、キーボードからコマンドを打って操作する。Linuxの本領はCUIで発揮されるが、せっかくなのでGUIも使ってみよう。Ubuntuにはたくさんのソフトウェアがパッケージされていて、ブラウザにはFirefox、メールソフトにはThunderbirdが用意されている。さらに、オフィススイートのLibreOfficeまで用意されているので、Windows PCやMacと同じようなことが、これだけでできてしまう。繰り返しになるが、PC本体を除けばこれがぜんぶタダでできるのだ。昔はPCもソフトも高かったなぁ〜。
スウェーデン出身のMIT(マサチューセッツ工科大学)教授マックス・テグマークは、数学的宇宙仮説を提唱する物理学者だ。数学的宇宙仮説とは、数学的に存在できるものは、物理的に実在するというもので、いわゆる多元宇宙論に分類される。テグマークは、「数学的な宇宙 究極の実在の姿を求めて」という著書でこの仮説を論じているが、難しそうなので、ぼくもまだ読んでいない。そのテグマークだが、最近はAI研究に軸足を移しているらしく、「LIFE 3.0 人工知能時代に人間であるということ」という本を書いた。AIといえば、SiriやAlexa、GoogleアシスタントといったAIアシスタントが急速に普及しているところだが、この本で取り上げているのは、人間のレベルを超える超人的なAIだ。そういったAIが出現することはあるのか、もし出現したら、人類の未来はどうなるのかという問題を、いろいろな面から論じている。映画「ターミネーター」では、「スカイネット」というAIが「自我にめざめ」、人類抹殺に向かって暴走するが、まちがってもそんなことにならないようにしないと。
マイルス・デイヴィスが音楽を担当した映画「死刑台のエレベーター」は、フランス ヌーベル・ヴァーグ初期の代表作の一つだ。パリの高層ビルにある土地開発会社に勤めるジュリアン・ダヴェルニエ(モーリス・ロネ)は、社長夫人のフロランス・カララ(ジャンヌ・モロー)と愛人関係にあった。2人は社長を自殺に見せかけて暗殺する完全犯罪を計画、ダヴェルニエは首尾よく実行する。しかし、侵入用ロープを置き忘れ、現場に戻ろうとしたところでビルの電源が切られ、エレベーターに閉じ込められてしまう。しかも、ダヴェルニエのクルマが不良少年に盗まれ、挙げ句の果てにその不良少年は、ダヴェルニエの名をかたって殺人を犯してしまう。姿を消したダヴェルニエを探して、夜のパリをさまようフロランス。マイルスのトランペットが、パリの暗闇に響き渡るのが実に印象的だ。