誰でもない女
かつてナチスドイツは、ドイツ民族増加のためレーベンスボルン(生命の泉)という収容所を設置したそうだ。レーベンスボルンはドイツ国内のみならず、ノルウェーでも設置され、ドイツ兵とノルウェー人女性との間に生まれた子どもが大勢いたという。映画「誰でもない女」は、そのレーベンスボルン出身の女の運命を描く物語だ。カトリーネ(ユリアーネ・ケーラー)は出生後に母親から引き離され、東ドイツの施設で育てられたが、東ドイツからの脱出に成功、ノルウェーで家族とともに平和な日々を送っていた。そんな中、ベルリンの壁が崩壊、まもなくカトリーネのもとに1人の若い弁護士がやってくる。その弁護士は、ドイツ兵の子どもを産んだ女性たちを迫害したノルウェー政府に対する訴訟の証人を探していた。しかし、カトリーネはこれを拒否、ドイツへと向かう。実はカトリーネは、母親や夫にもいえない秘密を抱えていた。スパイものの愛好家にはピンとくるだろうが、東ドイツといえばシュタージ(国家保安省)による相互監視社会として有名だろう。歴史の表舞台に登場しない無名の人々の中には、このような悲劇に見舞われた人もいたのかもしれない。
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