人類、宇宙に住む
日系アメリカ人の物理学者ミチオ・カクは、もともとは超弦(ひも)理論の研究者だが、いまでは科学技術の未来を語る「未来学者」として有名だろう。カクはテレビやラジオの科学番組に積極的に出演していて、さまざまな分野の専門家にインタビューしていることから、カバーする範囲は広範だ。そのカクが最新のテーマとして選んだのは、人類が宇宙に移住する道だ。われわれの母なる星 地球は、いまは確かに地球上の生命を守るゆりかごとなっているが、この平和な時代はいつかは終焉を迎える。そのきっかけは巨大噴火かもしれないし、天体の衝突かもしれないし、太陽の爆発かもしれない。人類が絶滅を免れるためには、宇宙のどこかに移住するしかない。カクが書いた「人類、宇宙に住む」は、それを実現するための3つのステップを解説している。もちろん、いまの科学技術ではほとんど非現実的だが、まったく荒唐無稽というわけでもない。具体的に克服しなければならない問題はある程度見えているので、何世紀もかけて一歩一歩克服していくしかない。今年はアポロ11号の月面着陸からちょうど半世紀後にあたる。アポロ計画を成功させたNASAは再び月に行こうとしているし、アマゾンのジェフ・ベゾスやスペースXのイーロン・マスクといった民間人も宇宙をめざしている。人類がこの宇宙で長く繁栄する種となるのか、ほんの束の間咲いてあえなく散っていく徒花となるのか、自らの選択にかかっている。

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