スクールボーイ閣下
イギリスの作家ジョン・ル・カレの「スクールボーイ閣下」は、「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の続編で、MI6のジョージ・スマイリーの活躍を描いた「スマイリー3部作」の第2弾だ。前作でスマイリーは、MI6内の「もぐら」の正体を暴き、「もぐら」を操っていたモスクワセンター(KGB)のカーラの陰謀を粉砕する。しかし、カーラの陰謀はMI6のみならず、香港にも及んでいた。カーラは香港の実業家に資金提供する見返りとして、その弟を二重スパイとして中国情報機関に送り込んでいたのだ。MI6の工作員で新聞記者のジェリー・ウェスタビーは、カーラの陰謀に迫っていくが、ウェスタビーは次第にスマイリーの指揮下を離れ、独断で動くようになる。というわけで、本作の主役はスマイリーというよりウェスタビーだが、組織の命令を無視した工作員には当然のことながら非情な結末が待っていた。本作にはイギリスの同盟国アメリカのCIAも登場するが、MI6には「カズンズ」と呼ばれている。なるほど、いとこか。
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