スパイたちの遺産
イギリスの作家ジョン・ル・カレの最新作「スパイたちの遺産」は、東西冷戦真っ盛りの東ドイツを舞台にした「寒い国から帰ってきたスパイ」と「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の後日譚だ。MI6を引退したピーター・ギラムはある日、MI6から呼び出され、「寒い国から」で遂行された「ウィンドフォール作戦」の全容を明らかにするよう求められる。本来なら永久に秘密のままにすべき話だが、ベルリンの壁で犠牲となったMI6のアレック・リーマスとその恋人エリザベス・ゴールドの子どもたちが、MI6を相手に訴訟を起こそうというのだ。しかも「透明性」とか「説明責任」とかいう言葉が大好きな議会までもが騒ぎ出すという、スパイたちにとっては悪夢のような展開になりつつあった。厳しい追及によって、どんどん不利な立場に追い込まれていくギラム。作戦の全容を知るはずのジョージ・スマイリーの行方も杳として知れない。というわけで、現代というのはやはりスパイにとってはやりにくい時代なんだろうな。「冷戦が懐かしい」。そんな声も聞こえてきそうだ。
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