日本の歴史⑥ 王朝と貴族
集英社版「日本の歴史」シリーズ第6巻「王朝と貴族」は、平安時代後半、摂関政治から院政へと移行し、武者の世になる直前までが舞台だ。中臣鎌足が藤原姓を賜って以来、藤原氏は常に政治の中心で活躍していたが、藤原道長の時代に全盛期を迎える。かの有名な「この世をばわが世とぞ思う望月の 欠けたることもなしと思へば」は、道長が53歳のときに詠んだ歌だそうだ。しかし、人間はみないつかは死ぬ。道長死後は摂関政治が衰え、代わって院政が盛んになる。天皇が退位し、上皇として政治を行う「院政」という言葉は、いまでも政治用語として比喩的に使われるほどだ。政治の安定が続いた時代は、文化芸術が花開くことが多い。道長の時代には清少納言や紫式部などの才女が活躍、「枕草子」や「源氏物語」という歴史に残る作品が生み出された。しかし、世の中はいつも平和なわけではない。災害や飢饉が続いた時代には深刻な社会不安が広がり、末法思想が流行したこともある。そして院政末期には源頼朝が「日本国第一の大天狗」と皮肉った後白河法皇が登場、皇室と摂関家、平氏と源氏が入り乱れて保元・平治の乱が起きる。この戦いに勝利した平清盛が平家に全盛期をもたらすが、その時代も長くは続かない。諸行無常が世の常だ。平将門の乱後、地方で着々と力をつけていた武士が、いよいよ表舞台に登場する。
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