日本の歴史③ 古代王権の展開
集英社版「日本の歴史」シリーズ第3巻「古代王権の展開」は、継体朝の成立から持統天皇の時代までが舞台だ。大阪の百舌鳥(もず)・古市古墳群には応神天皇陵や仁徳天皇陵とされる超大型古墳があるが、6世紀初め、仁徳系の血統が途絶え、応神天皇の5世にあたる継体天皇が即位する。これは、桓武天皇の5世にあたる平将門が即位するのと同じような話で、かなり大きな「事件」だったろう。継体天皇陵は茨木市の太田茶臼山古墳とされているが、近年では高槻市の今城塚古墳の方が有力視されている。ぼくも一度訪れたことがあるが、ちゃんと学術調査をしたらいいと思う。その後は蘇我氏が台頭し厩戸皇子(聖徳太子)が活躍する時代を迎えるが、最近は「『聖徳太子』は実在しなかった」説が学校の教科書にも波及しているようだ。さらに大化の改新、壬申の乱へと続いていくが、この時代の政治情勢は、中国や朝鮮などの国際情勢に大きな影響を受けていたという。壬申の乱は古代史最大の事件で、主役の大海人皇子(天武天皇)をめぐっても大きな謎があるとされている。まさに古代史のハイライトだろう。なお、「日本」や「天皇」という言葉は、この時代、7世紀後半に成立したと考えられている。「古事記」や「日本書紀」も編纂され、文字によって後世に歴史を伝えるという文化が本格化するが、惜しむらくは、蘇我入鹿がそれより古い書物を燃やしてしまったことだ。なんともったいない。
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