虹の解体
アイザック・ニュートンが光をプリズムで7色に分解し、虹の正体を明らかにしたとき、詩人のジョン・キーツはニュートンを非難したという。「虹の持つ詩情を破壊した」と。虹という神秘的な現象の仕組みを科学が解明したことによって、虹の神秘性が失われてしまったという趣旨だろう。一方で、科学に対しては、役に立つかどうかという、実利的な面ばかりに注目する向きもある。イギリスの生物学者リチャード・ドーキンスはの書いた著書「虹の解体」は、科学に対するそのような見方を一刀両断にし、科学に対する純粋なセンス・オブ・ワンダー(畏敬の念)こそが、科学の最大の魅力であると説く本だ。テーマはドーキンスの本業である生物学・進化学のみならず、物理学や天文学にも及ぶ。本書の中でも言及されているが、ドーキンスは科学の啓蒙に努めたカール・セーガンに大きな影響を受けたようで、それがこの本を執筆する動機となったようだ。ライバルであるスティーヴン・ジェイ・グールドとの論争も見物だ。
« チタン | トップページ | キャノンPowerShot G9 X Mark Ⅱ ① »
「天体写真、天文学、科学」カテゴリの記事
- アトラス彗星(C/2024 S1)(2024.10.07)
- 二十四節気・寒露(2024.10.06)
- 10月りゅう座流星群(2024.10.04)
- 紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)(2024.10.01)
- 三鷹・星と宇宙の日2024(2024.09.30)
コメント