理・工基礎 解析学
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天文ファン憧れのニコンは、今年で創立100周年となるそうだ。かつてはアマチュア向け小型望遠鏡も製造していたが、いまアマチュア天文家が手にできるのはカメラと双眼鏡、天体望遠鏡のアイピースくらいだ。そのニコンが、100年積み上げてきた光学技術を注ぎ込んだという天体観測用超広視界双眼鏡WXシリーズを発売した。7×50IFが64万円、10×50IFが67万円という目の玉が飛び出るような価格だが、ニコンの最高技術の結晶ということなので、これまでの双眼鏡とは段違いの超高性能機なんだろう。しかし、さすがにこれはちょっと手が出ないなぁ。
イギリスの物理学者スティーヴン・ホーキングの最新刊「ホーキング、ブラックホールを語る」は、BBCラジオの伝統ある「リース講義」でのブラックホールに関する講演をまとめた本だ。ホーキングもすでに75歳となり、研究者としてのキャリアも終わりに近づいているはずだが、昨年も論文を発表し、ブラックホールの正体について新たな仮説を提起した。それは、ブラックホールに吸い込まれた物質が持っていた情報が失われるのかどうかという問題だが、ホーキングの仮説では、情報はブラックホールの地平面で2次元ホログラムに変換されて保存されるという。ブラックホールの名付け親であるアメリカの物理学者ジョン・ホイーラーは、ブラックホールでは質量と回転状態と電荷だけしか情報が保存されないとして、「ブラックホールには毛がない」と表現したが、ホーキングは「ブラックホールには柔らかい毛がある」というのだ(もちろんこれは比喩であって、ここでいう「毛」とは、人の顔を特徴づける髪の毛のこと)。そして、ブラックホールから情報が戻ってくることもありうるという。すなわちホーキングは、ブラックホールはそれほど真っ黒ではない、永遠の牢獄ではなく、きっと出口がある、と結論づけている。まあ浮き世離れした話に聞こえるかもしれないが、ブラックホールに興味がない人にも、SF映画「インターステラー」はおもしろいのでお勧めしたい。
2001年発売のケンウッドTHーF7は、THー79よりも小型の144/430MHzデュアルバンドトランシーバーだ。THー79はちょっと無骨な感じだったが、本機はディスプレイも見やすくなり、とても洗練された製品になったと思う。ぼくは本機よりもアイコムICーT90の方を先に買ったが、トラブルがあってツーリングには使えなくなったので、その後このTHーF7を導入した。いまでもまったくトラブルはなく、まだまだ何年でも使えそうだ。と思っていたら、THーD74というもっと進化した製品が出てるんだなぁ。いまはGPS内蔵か。まあしかし、バイク仲間も高齢化し、ツーリングに行く機会も減ったので、もう無線機を使うこともほとんどないかも。
バイク仲間とツーリングに出かける際、無線機があると便利だ。信号待ちとかでバラバラになっても、はぐれないですむ。ぼくの場合、ハンディトランシーバーを使っているが、アンテナは付属のアンテナではなく、GIVIのトップケースに基台を張り付けて長いアンテナを立てている。最初に買ったのは1994年モデルのケンウッドTHー79で、144/430MHzデュアルバンドトランシーバーだ。さすがに古いので、数年前にディスプレイが何も表示されなくなったが、修理に出したら復活した。でも、もうパーツがないらしく、次は修理不能ということだった。まあディスプレイが表示されなくても、テンキーで周波数を入力すればいいのだが。ニカドバッテリーは一度だけ交換したが、まだ使えそうだ。20年以上使えるのだから、いい製品だということだろう。
熱力学は、マクロな視点から熱に関する現象を説明する理論だが、これを原子や分子といったミクロな視点から説明しようというのが統計力学だ。目に見えるようなサイズの物質には膨大な数の原子や分子が含まれているため、数学の確立・統計の手法が必要となる。ぼくが大学生のときは、まず熱力学をやって、その後に原島鮮「熱力学・統計力学」を教科書に指定されたが、実際に統計力学までは進まなかったと思う(単に授業に出てなかっただけかも)。統計力学を理解するには量子力学を理解しなければならず、このあたりになるとホントに難しい。
流体力学は、流体(気体や液体)の性質や流体中での物体の運動を研究する分野だ。ぼくが大学生のときは、教養課程ではなく、工学部に進んでから授業があった。教科書はこの分野の第一人者である今井功「流体力学(前編)」だったが、この本は前編しかない。後編を刊行する前に著者が死去してしまったのだ。とはいえ、前編だけでも400ページ以上あり、簡単に読める本ではない。流体力学は航空工学や船舶海洋工学には必須だ。流体力学にまつわるミニ知識を一つ。映画やテレビの特撮で、ミニチュア模型を使って例えば海のシーンを撮影する際、そのままではリアリティは保てない。しかし、「レイノルズ数」という数値を同じにすると、リアリティのあるシーンを撮影することができるのだ。
ひかりTVで映画「野生の証明」をやっていたので久しぶりに観た。当時、角川映画第2弾として大々的に宣伝していたので、ぼくも映画館まで観に行った。高倉健主演だが、これが薬師丸ひろ子映画デビュー作であることは言うまでもない。町田義人が歌う主題歌「戦士の休息」のレコードも買ったっけ。健さん演じる味沢岳史は、自衛隊特殊工作隊の優秀な隊員だったが、特殊工作隊というのは、反体制的な日本人を監視する特殊部隊だった。当時は、まだあさま山荘事件の記憶も生々しかった時代だ。しかし、味沢は東北地方の山中で訓練中、寒村で発生した村人惨殺事件に関与したため、特殊工作隊を除隊する。その後、ただ一人生き残った長井頼子(薬師丸ひろ子)を引き取り、福島県羽代市という地方都市で保険外交員として普通の生活を送るが、羽代市は大場一成(三國連太郎)が牛耳る暗黒街だった。というわけで、味沢と頼子、新聞記者の越智美佐子(中野良子)以外はほとんど悪者なのだが、あらためて見直すと、日本を代表する豪華俳優陣がゾロゾロ出ていたんだなぁ。戦車やヘリコプターが登場する戦闘シーンはアメリカで撮影されたそうで、これは相当な制作費がかかっただろう。
映画「XーMEN」シリーズの「ウルヴァリン:SAMURAI」は、ウルヴァリンことローガンを主人公とするスピンオフ作品第2弾だ。カナダの山奥でひっそりと暮らすローガン(ヒュー・ジャックマン)だが、自らの手で殺した最愛の女性ジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン)の悪夢にうなされる日々が続いていた。そんなある日、ローガンの前に日本から来た謎の女性ユキオが現れる。ユキオは、かつてローガンが長崎で助けた青年将校 矢志田市朗の使者として、ローガンを日本に連れて行く任務を帯びていた。東京に着いたローガンは矢志田と面会するが、矢志田は病で死の床にいた。そして矢志田の死によって、日本を代表する大企業 矢志田産業の後継者争いが発生、ローガンも巻き込まれてしまう。というわけで、矢志田の長男 信玄(真田広之)とその娘 真理子、ヤクザや忍者が入り乱れた大乱戦が勃発する。日本人が見るとう〜んというシーンも多いが、映画なのでそこはあまり突っ込まないように。
平将門が本拠地を置いた現在の坂東市の坂東郷土館ミューズでは昨年秋、最新の研究成果を踏まえて作成した「坂東市本 将門記」の企画展を開催したそうだ。残念ながら気づかなかったが、企画展で展示された資料は冊子にまとめられ、いまも販売している。坂東郷土館ミューズは、旧岩井市と合併して坂東市となった旧猿島(さしま)町にあり、天体観測ドームも備えている。将門ファンで天文ファンのぼくにとっては実にうらやましい施設だ。
地球は磁気を帯びている。これを地磁気というが、その原因は地球内部の構造にある。地球内部は、地殻、マントル、外核、内核という構造になっているが、このうち外核は鉄やニッケルの液体でできていて、ここに電流が流れ、磁場を発生させていると考えられている。現在、S極は北極の近く、N極は南極の近くにあるが、ときどきこれが逆転したことが、いろいろな証拠によってわかっている。千葉県市原市には77万年前に地磁気逆転が起きたことを示す地層があり、その時代を「チバニアン」と名付けようという動きも出ている。映画「ザ・コア」は、地球の核の回転が停止し、地磁気がなくなったらどうなるかをテーマにした物語だ。実際、地磁気がなくなったら、太陽が放出する放射線が直接大気にぶつかるので、地球環境や生物にとって何らかの悪影響もあるだろう。映画の方は、1年後に地球が滅亡するという設定で、特殊車両で核まで突入し、核爆発で再回転させようというちょっとぶっ飛んだ話だ。
XーMENたちはいかにして誕生したのか。その誕生劇を描いたのが映画「XーMEN:ファースト・ジェネレーション」だ。後にXーMENのリーダーとなるチャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)は、少年時代、青い肌と変身能力を持つ少女レイヴン・ダークホルム(ミスティーク)と出会い、妹として迎え入れる。一方、ユダヤ人の少年エリック・レーンシャー(マグニートー)は、ナチス・ドイツの強制収容所で、金属を操る超能力を引き出されていた。そして成長したチャールズとエリックは、ミュータントの組織ヘルファイア・クラブを追う中でついに運命の出会いを果たす。チャールズはCIAの仕事で、エリックは母親の敵討ちのため、それぞれヘルファイア・クラブを追っていたのだ。2人は各地でミュータントを探し、自らのチームを結成、キューバ危機をきっかけに世界大戦を起こそうとするヘルファイア・クラブと戦うが、米ソはチャールズたちにも攻撃を加えてしまう。ここに親友であるチャールズとエリックは決別、別々の道を歩み始めるのだった。
力学の教科書の古典的名著と言えば、山内恭彦の「一般力学」ということになるだろう。ぼくが買ったのは大学を卒業してだいぶ経ってからだが、大学1年の時にいきなりこれを読んでも歯が立たなかっただろう。もちろん、いまもまだ読んでないが。昔の学生はこういう難しい本で勉強して、科学技術立国日本の基礎を築いていったんだと思うと頭が下がる。いまはもっとわかりやすい本もたくさん出ていて、学生としては助かるだろうが、わかりやすい本ばかりになるということは、昔よりレベルが下がっているということなのだろうか。
運動の法則を基礎として力学を体系化したのはアイザック・ニュートンだが、ニュートン力学はその後、数学の解析学の手法を利用した解析力学へと発展していく。したがって解析学をしっかり勉強しないとなかなかついていけないが、力学の法則を非常にきれいな方程式で記述することができる。とりわけ、最小作用の原理の発見により、力学のみならず他の分野の基礎法則をも統一的に説明することが可能となった。ぼくが大学生のときの教科書は小出昭一郎の「解析力学」、岩波書店の物理入門コース第2巻だった。小出は他にもたくさん教科書を書いていて、お世話になった学生も多いだろう。
「古典物理学」という言葉は、量子力学を含まない物理学、すなわち、20世紀初頭までに確立した力学や電磁気学、熱力学、相対性理論までのことを指している。これに対し、量子力学は、20世紀に入ってから登場した分野で、これを学び始めると本当に大学生になったなぁと感じる人も多いのではないか。ぼくが大学生のときの教科書は原島鮮の「初等量子力学」で、量子力学の基礎を非常にていねいに解説している。まあしかし、量子力学というのは絶対に理解、というか納得できない部分があり、かのアルベルト・アインシュタインでさえ「神はサイコロを振らない」と言って量子力学を嫌ったほどだ。
熱力学は「熱」という物理学上のエネルギーを扱う分野だ。昔は「熱」は物質であるという説が有力だったが、19世紀になって「熱」は物質ではなく、エネルギーの一種であると認識されるようになった。熱力学の法則には「エントロピー」という概念が登場するが、これはコンピュータなど情報科学の分野でも出てくる。ぼくが大学生のときの教科書は押田勇雄・藤城敏幸著「熱力学」で、自然科学書では歴史ある裳華房(しょうかぼう)の基礎物理学選書の1冊だ。
振動と波動は物理学の全般にわたって現れる重要な現象だ。そのため、大学1年か2年のときに、力学や電磁気学と並行して独立した講義があった。ぼくが大学生のときの教科書は寺沢徳雄の「振動と波動」という本で、岩波全書の1冊(いまは物理テキストシリーズ第7巻)だった。振動と波動を数式で表すと、必ず出てくるのが三角関数だ。三角関数のグラフを思い浮かべるとわかると思うが、振動と波動は周期的に同じような現象を繰り返すということだから、三角関数で表現できるのだ。さらに、三角関数は虚数iを使うと指数関数で表される。かの有名なオイラーの公式だが、実に神秘的だ。
力学と並ぶ物理学の重要分野が電磁気学だ。ぼくが大学生の時の教科書は砂川重信の「電磁気学」で、岩波全書の1冊(いまは物理テキストシリーズ第4巻)だった。砂川は「理論電磁気学」というもっと分厚い本も書いていて、こちらは名著と言われている。電磁気学はマクスウェルの方程式という4つのきれいな方程式にまとめられるが、最初にこれを天下り的に与えていろいろな現象を説明していく方法と、いろいろな現象を解明しながらマクスウェルの方程式を導いていく方法の2通りのやり方があるようだ。砂川「電磁気学」のほか、「ファインマン物理学Ⅲ電磁気学」も教科書か参考書に指定されたが、この2冊もやはりまるで似ていない。
理系の大学生が物理学で最初に学ぶのは力学だ。力学は中学・高校でもちょっとやってるはずだが、質点の力学から始まって仕事とエネルギー、剛体の力学、解析力学へと進んでいくのが一般的だろう。ぼくが大学生のときの教科書は阿部龍蔵の「力学」で、新訂版となった今も標準的テキストとして読まれているようだ。このほか、「ファインマン物理学Ⅰ力学」も教科書か参考書に指定されたが、こちらは非常に独創的な本で、読み比べていくと理解が深まるかもしれない。
天文書を読んでいるとときどきSFの話が出てくるのだが、ある本で「銀河ヒッチハイクガイド」が紹介されていた。原作はイギリスの小説で、世界的なベストセラーになり、2005年に制作された映画もヒットした。主人公アーサー・デント(マーティン・フリーマン)はごくごく平凡な男で、自宅は立ち退きを迫られていたが、強制的に取り壊されそうになったその日、事件は起きた。なんと、無数の巨大な宇宙船が現れ、銀河バイパス建設のため、地球を破壊するというのだ。そして実にあっさりと地球は破壊され、人類は滅亡する。しかし、アーサーは地球人に化けていた宇宙人の友人に助けられ、間一髪宇宙船をヒッチハイクして助かる。そこからは宇宙の奇人変人がぞろぞろ登場、大騒動が始まる。とにかく最初から最後までドタバタ劇が続くが、「究極の問い 生命 宇宙 そのすべての答え」を出すためにつくられたコンピュータ「ディープ・ソート」が出した答えが「42」だとか、ぶっ飛んだ話が満載だ。
コンパクトデジタルカメラのキャノンPowerShot G9 X Mark Ⅱには、星空モード以外にもおもしろい機能がある。その一つがタイムラプス動画だ。これは星空モードの星空タイムラプス動画と同じ仕組みで、風景写真などを一定間隔で連続撮影し、タイムラプス動画を作成する。タイムラプス動画は、パラパラマンガのようなものだが、かつてはタイマーを使って何十枚も撮影し、パソコンの画像処理ソフトで合成していた。それがいまでは、カメラの方で合成できる機種が増えているので、ホントにお手軽に撮影できるようになった。最近のiPhoneやiPod touchにもこの機能が搭載されているので、試してみるといいだろう。ただし、三脚かなんかで固定しなければならないが。
コンパクトデジタルカメラのキャノンPowerShot G9 X Mark Ⅱには、星空モードという機能が搭載されている。この星空モードは、①星空ポートレート、②星空夜景、③星空軌跡、④星空タイムラプス動画の4種類の写真を撮影することができる。このうち①星空ポートレートは、人と星空を一緒に撮影するもので、人をストロボ撮影した後、星空を2枚撮影、計3枚を合成する。②星空夜景は、星空と夜景を一緒に撮影するもので、カメラが星の光を強調する処理を行う。③星空軌跡は、星空を一定間隔で連続撮影し、星の軌跡を1枚の画像にするもので、デジタル一眼レフカメラでいう比較明合成にあたる。そして④星空タイムラプス動画は、星空を一定間隔で連続撮影し、タイムラプス動画を作成する。星空モードではさらに、星のピント合わせという機能があり、オートフォーカスでは難しいピント合わせをより正確に行うことができる。
アイザック・ニュートンが光をプリズムで7色に分解し、虹の正体を明らかにしたとき、詩人のジョン・キーツはニュートンを非難したという。「虹の持つ詩情を破壊した」と。虹という神秘的な現象の仕組みを科学が解明したことによって、虹の神秘性が失われてしまったという趣旨だろう。一方で、科学に対しては、役に立つかどうかという、実利的な面ばかりに注目する向きもある。イギリスの生物学者リチャード・ドーキンスはの書いた著書「虹の解体」は、科学に対するそのような見方を一刀両断にし、科学に対する純粋なセンス・オブ・ワンダー(畏敬の念)こそが、科学の最大の魅力であると説く本だ。テーマはドーキンスの本業である生物学・進化学のみならず、物理学や天文学にも及ぶ。本書の中でも言及されているが、ドーキンスは科学の啓蒙に努めたカール・セーガンに大きな影響を受けたようで、それがこの本を執筆する動機となったようだ。ライバルであるスティーヴン・ジェイ・グールドとの論争も見物だ。