戦争の日本史4 平将門の乱
吉川弘文館の「戦争の日本史」シリーズ第4巻は、10世紀中頃に坂東(いまの関東地方)で発生した平将門の乱を取り上げている。著者の川尻秋生は千葉県立中央博物館の学芸員を務めていたことがあるそうで、将門の乱を描いた「将門記」だけでなく、これまであまり登場しなかった他の史料にも注目し、興味深い説を展開している。その一つは、将門の叔父 良文にまつわる話だ。良文は、他のおじたちと違って将門に同情的で、最後は将門に助力しなかったものの、将門と敵対することはなかったという説が多かったように思う。しかし、川尻は、良文がいち早く将門敗死の第一報を伝えたということがある史料の中に記されていて、良文も合戦に参加していたという見方をしている。この結果、将門の領地を良文が受け継ぎ、一大勢力を築いたというのだ。この良文の子孫から千葉氏や上総氏が出て、源頼朝を助け鎌倉幕府の成立につながっていくのだから、将門の乱の意義はやはり大きかったのだろう。
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