科学の発見
アメリカの物理学者スティーヴン・ワインバーグは、「宇宙創成はじめの三分間」など一般向けの本でも有名な現代物理学界の大御所だ。そのワインバーグの最新刊「科学の発見」は、テキサス大学での講義を元にしたものだが、アメリカでは刊行直後に論争を巻き起こし、最近は日本の新聞の書評でもよく取り上げられている。本書が批判されたのは、現在の基準で過去を裁くのは禁じ手だという趣旨からで、確かに科学的方法が確立する前の時代の「科学」や「科学者」を断罪してもしょうがないような気はする。にもかかわらず、なぜワインバーグはわざわざこの本を書いたのか。ワインバーグは、年を経るにつれて科学史に対する関心が深まったそうで、科学史上のヒーローたちの過ちを研究しているうちに、現代科学の発見がどれほど困難だったかを再認識したという。科学にとって歴史の転換点となったのは、16〜17世紀、天文学が舞台だった。望遠鏡が発明されたこともあって、太陽系の謎がついに解明されたのだ。望遠鏡で木星を見ると、木星の回りを4つの衛星が回っているのが見えるが、注意深い観測により、惑星の運動を正しく説明する法則が発見されたのだ。現在、木星の4つの衛星は「ガリレオ衛星」、惑星の運動法則は「ケプラーの法則」と呼ばれている。その1世代後にニュートンが登場、科学革命はクライマックスを迎える。
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