寒い国から帰ったスパイ
イギリスの作家ジョン・ル・カレ原作の小説「寒い国から帰ってきたスパイ」は、東西冷戦真っ盛りの東ドイツを舞台に、イギリス秘密情報部(MI6)と東ドイツ情報部が二重スパイをめぐる狐と狸の化かし合いを繰り広げる傑作スパイ小説だ。本作は1965年、「寒い国から帰ったスパイ」としてリチャード・バートン主演で映画化されているが、モノクロ映画ということもあって、いかにも冷戦期という雰囲気が味わえる。MI6のトップである管理官(コントロール)とジョージ・スマイリーは、同じル・カレ原作の「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」(映画「裏切りのサーカス」原作)にもそのまま登場するが、今回はMI6のベルリンの責任者アレック・リーマスが主人公だ。リーマスはコントロールから密命を受け、東ドイツ情報部の幹部であるムントを失脚させようとするが、ムントの逆襲によりリーマスの作戦は失敗に終わる。と思ったら、リーマスの作戦失敗も計画の一部だった。まあスパイの世界というのは非情なもので、この世界にどっぷりつかっていたリーマスもそれはわかっていたはずだが、最後の最後でそんな人生から逃れたくなったのだろうか。この頃すでに映画007シリーズでMI6のMを演じていたバーナード・リーが、リーマスに殴られる気の毒な商店主役で出演しているが、もっといい役を演じさせればよかったのに。
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