シャーロック・ホームズの事件簿
「シャーロック・ホームズ」シリーズ最後の短編集「シャーロック・ホームズの事件簿」の冒頭でコナン・ドイルは、すでに峠を越した人気テナー歌手が、熱烈なファンがいるために、引き際の最後の挨拶を何度となく繰り返しはするものの、いつまで経ってもぐずぐずと引退できないでいるのと同様の状況にホームズが陥っているのではないかという危惧を表明し、いよいよホームズとはお別れだという宣告をする。「緋色の習作(研究)」を発表したのが1887年、最後に発表された「ショスコム荘」が1927年なので、10年の空白期間もあったが、ドイルは40年にわたってホームズを書き続けたことになる。本作にはこのほか、「マザリンの宝石」「トール橋」「這う男」「サセックスの吸血鬼」「三人ガリデブ」「高名な依頼人」「三破風館」「白面の兵士」「ライオンのたてがみ」「隠居絵具屋」「覆面の下宿人」を加えた12作品が収録されている。
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