鏡の中の物理学
ぼくたちが毎日何気なく見ている鏡というものは、物理学の中でも重要な問題の中で登場する。対称性というのがそれで、鏡に映したときに物理法則が同じように見えるかどうかという問題を考える。例えば、鏡のこっち側で何か物体を動かすのと、鏡の中でそれが映っているのとでは、どちらも同じ運動法則に従っているように見える。まったく当たり前のような話で、何も問題はない。そこで、ちょっと想像力をたくましくして、「時間の鏡」というものを考えてみる。すなわち、普通の鏡が左右を逆にするのに対し、時間の前後を逆にするような鏡だ。この鏡の前でコップを落としてみよう。コップが落ちて割れると、破片が飛び散る。しかし、これを前後逆にすると、飛び散った破片が集まってコップになり、飛び上がっていくことになる。こんなことは実際には起こらないので、この現象は何かが違うということになる。朝永振一郎の「鏡の中の物理学」は、こうしたおもしろい話から始まって、量子力学の不思議な性質をわかりやすく解説した「光子の裁判」も収録している。
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