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シャーロック・ホームズを演じた俳優は数多いが、第2次世界大戦中のアメリカで人気を博したのがベイジル・ラスボーンだ。そのラスボーン主演のシャーロック・ホームズシリーズ第1作「バスカヴィル家の犬」では、ナイジェル・ブルース演じるジョン・ワトソンとともに、イギリス・ダートムーアの荒れ地を舞台にバスカヴィルの魔犬の謎を追う。残念ながら、1939年と古い作品なので、原作では火を吐く魔犬のところが、演じているのは普通の猛犬?だ。BGMもほとんどなく、静かな展開だが、白黒映画なのもあっておどろおどろしい雰囲気はよく出ている。ダートムーアは3億年前の石炭紀にできた花崗岩で覆われ、特徴のある岩石が多数転がっているほか、ストーン・サークルや新石器時代の遺跡もあることから、一度行ってみたい場所だ。
港区麻布台、ロシア大使館の裏にある日本経緯度原点は、かつて東京天文台(現国立天文台)があった場所だ。1888年(明治21年)、東京天文台がここに建設され、ドイツ製のレプソルド子午儀が設置された。子午儀というのは特殊な天体望遠鏡で、子午儀を使って星の南中時刻を観測することで、その土地の位置や時刻を正確に決めることができる。今なら人工衛星を使って地球の精密な測定ができるが、昔はこうしていたのだ。レプソルド子午儀は現在、三鷹の国立天文台で保存されていて、いつでも見学することができる。日本経緯度原点の数値は、だいたい東経139度44分28秒、北緯35度39分29秒だが、2011年の東北地方太平洋沖地震による地殻変動で27㎝も東に移動したそうだ。
ロバート・レッドフォードとブラッド・ピット主演の映画「スパイ・ゲーム」は、スパイは非情なゲームだという冷酷非情なCIAエージェントが、引退の日、自分のやり方に反発し去って行ったかつての部下を救うため、最後のゲームを仕掛けるというストーリーだ。ネイサン・ミュアー(レッドフォード)は引退の前日、トム・ビショップ(ピット)が中国で逮捕され、まもなく処刑される予定であることを知る。ミュアーはCIAの許可なく蘇州の刑務所に侵入し、そこに拘束されているイギリス人女性エリザベス・ハドレーを救出しようとしたのだ。ここから話は過去にさかのぼり、ミュアーとビショップのベトナムでの出会い、西ドイツでの仕事、レバノンでの仕事などが描かれる。しかし、目的達成のためには協力者を犠牲にするのもいとわないミュアーのやり方にビショップは反発し、レバノンでの仕事を最後に2人は袂を分かってしまう。そもそもハドレーが蘇州刑務所にいるのもミュアーのせいなのだが、それが後ろめたかったのか、あるいはビショップのことが本当に心配だったのか、ミュアーは全財産をなげうち、CIA長官になりすまして米軍特殊部隊にビショップを救出させるというとんでもないことまでやってしまう。まあハチャメチャと言えばハチャメチャなのだが、こんな凄腕エージェントを引退させるのももったいないなぁという感じだ。
ベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマン主演の「SHERLOCK」シリーズの映画「SHERLOCK 忌まわしき花嫁」は、現代ではなく、ヴィクトリア時代のロンドンが舞台だ。エミリア・リコレッティという女性がウエディング・ドレスをまとった姿で発狂し、銃を乱射した末に自らの頭を吹っ飛ばして自殺するのだが、その幽霊?がロンドンを徘徊し、夫を殺す。ホームズとワトソンは、その後も次々と起きる殺人事件の真相究明に挑むが、それは実に意外なものだった。しかも、このストーリーそのものが、シャーロックのマインド・パレス(精神の宮殿)の中の話だった。というわけで、テレビドラマ「SHERLOCK」シリーズ3からうまく話がつながるようになっている。「SHERLOCK」シリーズはコナン・ドイルの原作(正典)のオマージュが数多く取り入れられているが、本作でも「オレンジの種五つ」のプロットや「Elementary,my dear Watson(基本だよ、ワトソン君)」などの有名なセリフが使われている。マイクロフトも原作に近い肥満体で登場する。ちなみに、正典では、ホームズはワトソンと出会った当初、地動説を知らないと言うが、これはワトソンをからかっただけだと考えられていて、後には黄道傾斜度変化の原因について論ずることがある。
日本の物理学者・数学者 寺沢寛一の著書「自然科学者のための数学概論」は、「テラカンの数学概論」として有名な本だ。初版が昭和初期という歴史ある本で、数学者ではなく自然科学者のための、応用数学と言われる分野について解説している。高木貞治の「解析概論」もそうだが、かつては「関数」のことを「函数」と表記していたので、大学生になって初めてこれらの本を手に取ったときは?と思ったが、当然内容は難しい。しかし、非常に立派な本なので、長年にわたって本棚を飾ってもらっている。この本を読むのはまだまだ先、もっとやさしい本で勉強してからだが、いつになることやら。
素粒子の標準模型のうち、最後まで発見されなかったのがヒッグス粒子だ。ヒッグス粒子は自然界に存在する基本粒子の一つだが、他の基本粒子とはまったく違うタイプの粒子だ。他の基本粒子には、大きく分けて2つのタイプがある。一つは電子やクォークなどの物質粒子で、もう一つは物質粒子の間に働く力を運ぶ粒子だ。ヒッグス粒子は、空間を満たすヒッグス場から生まれるが、このヒッグス場が質量を生み出している。ヒッグス粒子を追う研究は、半世紀前から始まっているが、ヒッグス粒子発見のため建設されたのが欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)だ。LHCは2008年に完成し、運転を開始したが、9日後にトラブルが発生、復旧までには1年を要した。そして運転再開から2年後の2012年、ヒッグス粒子らしき新粒子がついに発見された。アメリカの物理学者ショーン・キャロルが書いた「ヒッグス」は、ヒッグス粒子を追い続けた物理学者たちのドラマと、ヒッグス粒子を超えたところに広がる新しい世界について述べた本だ。
ぼくの好きな映画のジャンルはかなり偏っていて、普段はアクション・SF映画ばかり観ているのだが、ひかりTVで「ローマの休日」をやっていたので、名作と言われているから一度くらいは観てみようと思い、鑑賞してみることにした。決してぼくの趣味に合うわけではないが、実際に観てみると確かに名作だなぁという感じだ。まず、何と言ってもオードリー・ヘップバーンが魅力的だ。王女という重い責任の立場から現実逃避し、普段は決して経験できないような楽しい休日を過ごし、そしてまた王女に戻っていくときの凜とした姿が美しい。白黒映画ながら、王女と新聞記者ジョー・ブラッドレー(グレゴリー・ペック)が走り回るローマの風景もいい。行方不明となった王女を探すため、母国の情報部員がいかにもという服装で歩き回るのもご愛敬だ。これもスパイ映画と言えばスパイ映画か?
賛美歌「アメイジング・グレイス」は、ぼくも好きな歌の一つだが、この歌がつくられた背景にどんな物語があったかは実は知らなかった。作詞者はイギリス人のジョン・ニュートンで、ニュートンは18世紀、黒人奴隷貿易で財をなした人物だそうだ。「アメイジング・グレイス」は、ニュートンが後に黒人奴隷貿易に携わったことを深く後悔し、牧師になったときに作詞したという。映画「アメイジング・グレイス」は、当時のイギリス議会で、黒人奴隷制廃止運動のリーダーだったウィリアム・ウィルバーフォースの生涯を描いた伝記映画だ。ウィルバーフォース(ヨアン・グリフィズ)の盟友ウィリアム・ピット首相を演じるベネディクト・カンバーバッチをはじめ、「裏切りのサーカス」や「ハリー・ポッター」、「007」俳優がぞろぞろ出演していて、いかにもイギリス映画だなぁという感じだ。
映画「ゴッドファーザー」は、イタリア系アメリカ人のドン・ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)ファミリーが抗争に巻き込まれ、悲劇に見舞われる中で、父親と同じ道には進まないと誓っていた三男のマイケル(アル・パチーノ)に代替わりしていく物語だ。イタリアで家族を殺され、単身でアメリカに渡ってファミリーを築き上げたドンに対し、長男ソニーは短気でちょっとバカっぽいし、次男フレドは弱虫で役立たずなので、物静かなマイケルがファミリーを守ることを決意するが、抗争の中でだんだんと頼もしく、しかし冷酷になっていく。ドンの子ども同然に育てられた弁護士トム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル)もファミリーを支え、脇を固める。物語の中で起きるエピソードは実際にあった話を元にしたものも多く、ドンに映画出演のための支援を要請する歌手ジョニーのエピソードは、フランク・シナトラのものだそうだ。ぼく自身、実は今まで観たことがなかったが、実際に観てみると、名作と言われるにふさわしい映画だと思った次第だ。
マサチューセッツ工科大学(MIT)とカリフォルニア工科大学(Caltech)によるLIGO計画のチームが、重力波を直接検出することに成功したと発表した。LIGOチームが観測したのは2つのブラックホールが合体するときに出た重力波で、13億年前に出たものだという。重力波は、アルベルト・アインシュタインが100年前に発見した一般相対性理論からその存在が予言されていたが、これまでは間接的な証拠しかなかった。UT Physicsシリーズの「一般相対論の世界を探る」は、重力波を中心にブラックホールなど一般相対性理論の特徴が顕著に現れるさまざまな宇宙現象を取り上げ、研究の最前線を紹介した本だ。
ハリソン・フォードとリーアム・ニーソン主演の映画「K−19」は、旧ソ連の原子力潜水艦K−19が1961年に起こした事故を元にした映画だ。ロシア(旧ソ連)の原子力潜水艦は、最近ではバレンツ海に沈没した「K−141クルスク」が有名だが、K−19は何度も深刻な事故を起こし、「未亡人製造艦」というニックネームをつけられたいわくつきの潜水艦だ。映画「K−19」では、カナダ沖を航行実験中に原子炉の冷却装置にトラブルが発生、大惨事となりかねない中で奮闘するアレクセイ・ボストリコフ艦長(フォード)やミハイル・ポレーニン副長(ニーソン)、乗組員たちの奮闘ぶりを描いている。潜水艦という密閉された空間の中で原子炉にトラブルが発生すると、こんなに恐ろしいことになるという映画だ。
マサチューセッツ工科大学(MIT)とカリフォルニア工科大学(Caltech)によるLIGO計画のチームが、重力波を検出したのではないかと話題になっている。まもなく記者会見があるので、ホントかどうか明らかになるだろう。重力波とは、アルベルト・アインシュタインの一般相対性理論から予言されているもので、質量を持った物体が存在すると時空にゆがみができ、この物体が運動をすると、時空のゆがみが光速で伝わっていくというものだ。これまでに間接的な証拠は得られているが、直接検出したことはない。日本でも、岐阜県飛騨市の神岡鉱山の地下深くに建設したKAGRA(大型低温重力波望遠鏡)によって、重力波を直接検出しようという計画がスタートしている。重力波を直接検出するには、超新星爆発など非常に劇的な現象が起きることが必要だ。おうし座にあるかに星雲は、1054年に超新星爆発したときの残骸であることがわかっているが、このときにも重力波が発生したはずだ。
2013年1月7日撮影 キャノンEOS60Da+ミニボーグ45EDⅡ+レデューサー0.85×DG、露出301秒
ニューヨーク近郊では、スリーピー・ホロウという伝説があるそうだ。開拓時代、ドイツからアメリカに渡ってきた騎士が、数多くの戦いに参戦して兵士を殺戮しまくったが、殺されて首を斬られた後に、首なし騎士として出没、森の中で人々の首を斬るという話だ。これをティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演で映画化したのが「スリーピー・ホロウ」だ。全体的にいかにもバートンというおどろおどろしい展開が続くが、映像はなかなかいい雰囲気だ。俳優陣は、「007」「スター・ウォーズ」「バットマン」「ハリー・ポッター」俳優がゾロゾロ出演していて、みな持ち味を出しているが、とりわけダース・シディアス(イアン・マクダーミド)、ダース・モール(レイ・パーク)、ダース・ティラナス(クリストファー・リー)といったシスの暗黒卿3人がそろって出演しているのもおもしろい。また、「スパイ大作戦」のローラン・ハンド役マーティン・ランドーも出演していて、健在ぶりを見せてくれている(冒頭であえなく殺されるが)。