ニュートリノで探る宇宙と素粒子
2005年のノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章による初の単著が「ニュートリノで探る宇宙と素粒子」だ。この世で最も大きいものである宇宙と、最も小さいものである素粒子は、実は非常に深い関係にある。素粒子物理学は20世紀に入ってから大きな発展を遂げていくが、その成果は「標準模型」という形にまとめられている。その中の一つであるニュートリノは、もともとは原子核の崩壊という現象からその存在が予言された。電荷を持たず、質量もゼロかごくわずかということで、人間の体も地球もほとんどそのまま通り抜けてしまう、幽霊のような素粒子だ。実際にニュートリノの存在が確認されたのは20世紀半ばで、1987年には小柴昌俊らカミオカンデのグループが、超新星からのニュートリノを初めて検出することに成功した。本書は、ぼくもこれから読むところだが、ニュートリノ研究をリードしてきた梶田が、自らの研究成果であるニュートリノ質量の発見をはじめ、ニュートリノの基礎理論から最新の発見までをわかりやすく解説している。「純粋科学は人類の知の地平線を拡大するようなもの」という梶田の名言とともに味わってみたい本だ。
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