宇宙を創るダークマター
この宇宙には星など通常の物質よりはるかに多い謎の物質が存在しているのではないかという疑問は、20世紀前半には呈示されていた。銀河団の運動や銀河系の中の恒星の運動を観測すると、目に見える通常の物質だけでは説明がつかないような観測結果が得られたのだ。スイスの天文学者フリッツ・ツヴィッキーは、目に見えないが重力は及ぼす謎の物質をダークマターと名付け、以来多くの科学者がその正体を追ってきた。最近の研究では、宇宙を構成するのは通常の物質5%、ダークマター26%、そしてこれまた謎のダークエネルギー69%であるということがわかってきた。アメリカの女性物理学者キャサリン・フリースが書いた「宇宙を創るダークマター」は、ダークマター探しの第一人者であるフリースが、宇宙論の最前線を語る本だ。フリースは学生時代、2年近く東京に滞在し、バーテンダーもしたそうだ。そうした経験からか、本書の原題は「THE COSMIC COCKTAIL」となっていて、冒頭にはそのレシピも紹介されている。しかも、マドラーでかき混ぜずにシェイクするということだから、まさにボンド流「Shaken, not stirred」だ。
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