« 2015年2月 | トップページ | 2015年4月 »
ポータブル赤道儀と呼ばれるものはフィルムカメラ時代からあったが、デジタルカメラの性能が大きく向上した近年、さまざまなポータブル赤道儀が登場してきた。なにしろフィルム時代なら数十分もかかった露出時間が、わずか数分程度ですむのだから、ナノ・トラッカーみたいな超お手軽赤道儀でも撮影できてしまう。天文ガイド編集部編「ポータブル赤道儀で星空写真を撮ろう!」は、これから星空写真を撮ってみようかなという人の入門書としていいだろう。現在市販されているポータブル赤道儀全機種が紹介されているほか、三脚や微動雲台なども取り上げられているので、機材についてはこの1冊で十分だ。撮影テクニックや画像処理は何度かやれば身につく。最大の問題は、光害のないいい撮影場所を見つけることだが、今の日本ではこれが一番難しい。
リーアム・ニーソン主演の映画「アンノウン」は、なかなか手に汗握るストーリーだ。米国の植物学者マーティン・ハリス博士(ニーソン)は、学会に出席するため、妻と一緒にベルリンを訪問する。しかし、ホテルに入るところで空港にブリーフケースを忘れたことに気づき、ハリスは一人空港へとUターンする。ハリスが乗ったタクシーは運悪く交通事故を起こし、数日間生死の境をさまよう。目が覚めたハリスはホテルに向かうが、妻は自分を知らないと言い張り、しかもそこには自分とは別のマーティン・ハリスがいた。ほとんど狂人扱いされ、自信が揺らぐハリスだったが、命を狙われたことで真相に迫っていくことになる。最後は記憶を取り戻し、大惨事を防ぐのだが、記憶を取り戻す一方で人間性が変わってしまうというのはどうなんだろうか。そこのところはなかなか興味深い問題だ。
映画「96時間/リベンジ(TAKEN 2)」は、凄腕元CIAエージェントのブライアン・ミルズ(リーアム・ニーソン)が、一人娘キムを守るため、またしても世界最強の父親ぶりを見せつけるアクション映画だ。前作「96時間」でキムを拉致したアルバニア系犯罪組織は、メンバーを殺された復讐として、イスタンブールで観光を楽しむブライアン一家の拉致を企む。元妻レノーアが捕まり、ブライアンも抵抗をやめて拘束されるが、隠し持ったケータイでキムに連絡し、冷静に行動するよう指示を出す。持参していた手榴弾を爆発させ、爆発音が伝わるまでの時間をカウントして自分の監禁場所を絞り込んでいくなど、さすが凄腕元CIAエージェントだ。キムの助けにより武器を得たブライアンは、ここから大反撃を開始する。犯人どもをちぎっては投げちぎっては投げで、相変わらずめちゃくちゃ強い。これだけ強い父親が一家に一人いれば、さぞかし安心な家庭だろう。しかし、こんな父親がいるからひどいトラブルに巻き込まれるのかもしれない。続編ではブライアン一家をさらなる災難が襲うようだ。
ジェダイ・マスター クワイ=ガン・ジンを演じたリーアム・ニーソンが凄腕元CIAエージェントを演じる映画「96時間(TAKEN)」は、ちょっとバカバカしいがスピード感あふれるアクション映画だ。主人公ブライアン・ミルズは、離婚した妻レノーアと一緒に暮らす17歳の一人娘キムを溺愛し、キムの気を惹くことばかり考えている、親バカ丸出しの愛すべき父親だ。お年頃のキムは、親友のアマンダと2人でパリに旅行したいとせがむが、心配性のブライアンはなかなかウンと言わない。レノーアに促されてようやく旅行を許可するブライアンだったが、キムたちはパリ到着後あっという間に拉致されてしまう。まさに絶望的な状況だが、ブライアンは元CIAエージェントとしての経験を活かし、ものすごいスピードで犯人に迫っていく。ジェダイ・マスターだけあって?めちゃくちゃ強いし、娘を救うためならどんな手でも使うしで、そのハチャメチャぶりが痛快だ。レノーアを演じるファムケ・ヤンセンは007「ゴールデンアイ」で悪女ゼニア・オナトップを演じていたが、本作では割と普通の母親を演じている。
アルベルト・アインシュタインは、ちょっとユーモラスなルックスもあって、人気ナンバーワンの物理学者だろう。若い頃は大学受験に失敗したり、必ずしもエリート人生まっしぐらではなかったため、伝記ものもたくさん書かれている。日系アメリカ人の物理学者ミチオ・カクが書いた「アインシュタイン よじれた宇宙の遺産」もそんな本の一冊で、アインシュタインの生涯と業績をわかりやすく解説している。晩年のアインシュタインは重力と電磁気力を統一する統一場理論の研究に没頭したが、これは時代が早すぎた。しかし、いまや統一場理論こそが、宇宙の究極理論として物理学界の最大の関心事になっている。アインシュタインの遺産は今なお輝きを増しているのだ。
アルベルト・アインシュタインが特殊相対性理論を発表してちょうど100年後、「世界物理年」となった2005年には関連本がいろいろ出た。日本の物理学者 佐藤勝彦が書いた「アインシュタインが考えた宇宙」もその一つだ。一般相対性理論の方程式からは膨張宇宙やブラックホールなどといった奇想天外な解が導かれたが、アインシュタインでさえそんなものは実在しないと考えていた。それが観測技術の向上とともに実際に観測されるようになり、人類の宇宙観は大きく変わることになった。著者の佐藤勝彦は、宇宙開闢(かいびゃく)の瞬間、宇宙は指数関数的な急膨張を起こしたというインフレーション宇宙論の提唱者で、この分野では第一人者だ。
ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの代表作「ソラリスの陽のもとに」を映画化したものとしては、旧ソ連のアンドレイ・タルコフスキー監督「惑星ソラリス」が有名だが、2002年にもスティーブン・ソダーバーグ監督、ジョージ・クルーニー主演で映画化されている。ソダーバーグ版「ソラリス」もストーリーはだいたい同じだ。地球から遠く離れた惑星ソラリスの上空を回るソラリス・ステーションで、人間の理解を超えた不思議な現象が起こり、精神科医のクリス・ケルヴィン(クルーニー)が救出に向かうが、ケルヴィン自身もまた自殺した妻が現れるという現象に遭遇する。タルコフスキー版から30年も経っているので、撮影技術は段違いに進歩している。
3月18日未明、北海道でオーロラが観測された。このところ太陽活動が活発化していて、太陽から放出されたプラズマ粒子が地球に到達し、磁気嵐が発生したことから、通常はオーロラが見られない低緯度地方で観測することに成功した。なよろ市立天文台きたすばるで撮影した写真には、赤い光が広がる様子がとらえられている。名寄で撮影できたということは、ぼくの田舎でも撮影できたのだろうな。オーロラと大小マゼラン銀河は死ぬまでに一度は見ておきたいもんだ。
アルベルト・アインシュタインが特殊相対性理論を発表した1905年は「奇跡の年」と呼ばれ、100年後の2005年は「世界物理年」となったので、いろいろ関連本が出た。その一つ、日本の天文学者 福江純の「100歳になった相対性理論」は、相対性理論がどのようなものか、どのようにこの奇想天外な理論が実証されてきたのか、そして相対性理論によって人類の宇宙観がどのように変わったのかなどがわかりやすく解説されている。アインシュタインの人気のせいか、物理学の中でも相対性理論の人気は絶大?で、いまだに「相対性理論は間違っている!」という人たちがたくさんいるほどだ。ちなみに、アインシュタインがもう一つの相対性理論、一般相対性理論を発表したのは1915年で、今年が一般相対性理論誕生100周年になる。
007ファンとスター・ウォーズファンにはおなじみ、ユアン・マクレガーとピアース・ブロスナンが共演する映画「ゴーストライター」は、秘密兵器もフォースも登場しないが、おもしろい映画だ。イギリスのアダム・ラング元首相(ブロスナン)の自叙伝を執筆することになったゴーストライター(マクレガー)が、国際的陰謀に巻き込まれていくというストーリーだが、原作者のロバート・ハリスは政治評論家でもあり、トニー・ブレア元首相を意識して書いたんだろうなという感じだ。登場人物すべてがあやしいのだが、ゴーストライターはちょっと無邪気すぎで、何度も危ない目にあってしまう。ラストでは、本当のゴーストライターが誰なのかが判明するが、この映画でもバックにいるのは超大国の超有名情報機関だ。
土星の衛星エンケラドゥスの地下海に、生命が生息できる環境があるという研究成果を、東大などの研究グループが発表した。NASAの探査機カッシーニの観測により、エンケラドゥスの内部には液体の地下海があり、そこで岩石と海水が90℃以上の高温で反応し、その結果生成されるナノシリカという微粒子が放出されていることが判明したのだ。地球上の生命も、海底熱水噴出口で誕生したと考えられていて、今でもそういう環境に生息する微生物が生き残っている。もちろん直ちにエンケラドゥスに生命がいるという結論になるわけではないが、少なくとも地球以外に生命が存在できる環境があることが初めて実証されたわけで、大きな成果だ。アーサー・C・クラークの映画「2001年宇宙の旅』シリーズの小説版「2061年宇宙の旅」では、かつての木星である恒星ルシファーの熱により氷河が融けた衛星エウロパの海で、進化した生物が生息するシーンが描かれているが、いつかそのようなシーンが本当に見られるかもしれない。
NASAの探査機ドーンが準惑星ケレス(セレス)に到達した。ケレスは火星軌道と木星軌道の間を回る小惑星第1号として発見されたが、10年前くらいに惑星の定義が見直され、今は準惑星に分類されている。これからしばらくケレスを観測し、観測データを地球に送ってくるが、ケレスはいったいどんな素顔を見せてくれるのか、楽しみだ。
火星には昔から生物がいるのではないかと言われてきた。19世紀後半には、イタリアの天文学者 スキアパレッリが火星を観測し、火星表面に複雑な線状の模様があることを発見したが、誤訳もあり、火星には運河があるという誤解が広まった。運河あれば当然火星人がいるだろうということで、イギリスの作家H・G・ウェルズは、火星人が地球に攻めてくるという内容の「宇宙戦争」を書き、ラジオドラマで放送した際にはパニックが発生するというオチまでついた。その火星にかつて、全表面積の19%を占める広大な海があったという研究成果をNASAが発表した。地球から見た火星は赤いが、海があった頃の火星はどのような色に見えたのだろうか。
アフリカのエチオピアで発掘された化石が、最古のホモ属の化石とみられるという研究成果が発表された。現生人類(ホモ・サピエンス)の祖先は500〜700万年前にチンパンジー・ボノボの祖先と枝分かれし、アウストラロピテクス(猿人)が出現、さらに進んで200〜300万年前に最初のホモ属が出現したと考えられているが、今回発掘された化石は280万年前の地層にあった。そこからまた長い年月をかけて多くの種が現れては消えていくが、10万年前、70億人を超える現代人すべての直接の祖先であるホモ・サピエンスがアフリカから世界へと広がっていった。今回の研究成果が人類史の謎を埋めるピースとなればおもしろい。
レナード・ニモイが死去した。ニモイは「スター・トレック(宇宙大作戦)」シリーズのミスター・スポックとしておなじみだが、「スパイ大作戦」にも変装のプロ パリス役で登場する。「スター・トレック」では、ウィリアム・シャトナー演じるジェームズ・T・カークとスポックらU.S.S.エンタープライズ号のクルーとのやりとりが見どころの一つだったが、実際の人間関係はいろいろ問題があったようだ。2001年に制作されたシャトナーとニモイの対談集「MIND MELD」では、そのあたりのことも含めて「スター・トレック」の制作秘話が語られる。ニモイはつい最近も「スター・トレック イントゥ ダークネス」に出演したが、これが最後のスポック役となった。ニモイの「Live long and prosper(長寿と繁栄を)」ももう見られない。