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魚眼レンズ(フィッシュアイレンズ)は、独特の描写が特長だ。画角180°以上で円形に写る全周魚眼レンズのほか、対角線の画角が180°の対角線魚眼レンズというのもある。星野写真、特に天の川を撮影するときに、対角線魚眼レンズの威力は絶大だ。ぼくも星の写真を撮影するときは、必ずシグマ対角線魚眼レンズ15㎜を持参する。この対角線魚眼レンズ、星野写真ではわかりにくいが、普通に風景写真を撮影すると、周辺の風景がデフォルメされるパースペクティブ効果が強く現れる。例えばこの写真、真っ直ぐなはずの塔が大きく歪んでいる。これを利用するとおもしろい写真が撮影できるが、普通の超広角レンズとして使いたければ、今ならアプリケーションソフトである程度補正できる。星野写真を撮影するなら、1本持っていても損はないレンズだ。
高倉健主演の1981年の映画「駅 STATION」は、ぼくが見た健さんの映画の中では最高傑作だと思う。冒頭の銭函駅での妻 直子(いしだあゆみ)との別れのシーンがすばらしく、一気に物語に引き込まれていく。その後もすず子(烏丸せつこ)、桐子(倍賞千恵子)という女性が登場するが、みな本当に薄幸だ。ときどきかかる八代亜紀の「舟唄」が、映画の雰囲気を一層盛り上げる。英治の出身地 雄冬は今でこそ普通に陸路で行けるが、昔は道路がなく、船でしか行けなかった。増毛(ましけ)駅にはロケに使われた風待食堂もあるが、写真を撮ってこなかったのが残念だ。健さんが着ているMー65フィールドジャケットはもともとは米軍の戦闘服だが、今では定番のジャケットになっている。ぼくも冬にはこれを愛用している。気分は健さんだ。
20世紀物理学の2大理論、相対性理論と量子力学は、物理学を変えただけでなく、世の中をも変えてしまった。いまやこの2大理論のおかげでさまざまな技術が生み出され、世の中に便利な商品があふれている。しかしこの量子力学という理論は、人間の「常識」からすると何とも不思議なところがある。量子力学の基礎方程式であるシュレディンガー方程式には虚数iが登場するが、高校生のとき、なぜ実在しない虚数というものを考えるのか、非常に不思議だった。朝永振一郎の「量子力学と私」は、創生期から量子力学を専門としてきた朝永のエッセイ集だが、光子は(素粒子も)波動と粒子の二重性を持つという量子力学の最も不思議な性質を、「光子の裁判」という話で鮮やかに語っている。
ジョン・ル・カレ原作、フィリップ・シーモア・ホフマン主演の映画「誰よりも狙われた男」は、3.11テロ後の現代を舞台にしたスパイ映画だ。ホフマン演じるドイツのテロ対策チームのリーダー・バッハマンが、ハンブルグを舞台に、テロ組織につながる大物を釣り上げるため、1人の密入国者を餌に次々と関係者を巻き込んだ作戦を展開していく。同じル・カレ原作の映画「裏切りのサーカス」と同様、ハデなアクションシーンはないが、なかなか手に汗を握る展開が続く。ホフマンはM:Iー3での悪役の印象も強いし、ルックスもよくない(失礼)ので、単純明快なヒーローは似合わないだろうと思ってた。なので、最後にはたぶん誰かに裏切られ、失敗するんだろうなと。果たして最後には、某超大国の超有名情報機関に釣った獲物を横取りされる。今年2月、薬物の過剰摂取で急死したホフマンの最後の叫びが印象深い。
1976年のF1GPは、ニキ・ラウダとジェームス・ハントの激しい争いとなった。オーストリア出身のラウダは、フェラーリを駆って前年のチャンピオンに輝き、1976年も快調に勝利を重ねる。それを追うのがマクラーレンを駆るイギリス出身のハントだ。しかし、第10戦ドイツGP・ニュルブルクリンクサーキットでラウダは大クラッシュ、生死の境をさまようほどの重傷を負った。わずか6週間後、顔に大やけどを負った悲壮な姿でカムバックしたラウダは、最終戦日本GPまでポイントリーダーだったが、豪雨の富士スピードウェイの決勝レースを棄権、ハントが逆転チャンピオンに輝く。当時の日本はスーパーカーブームで、日本でのF1GP開催も大きな話題となった。映画「ラッシュ/プライドと友情」は、この年のハントとラウダの戦いを描いた伝記映画だ。ラウダは翌1977年に再びチャンピオンとなり、いったん引退するが、1984年にはマクラーレンで3度目のチャンピオンに輝く。ハントは1979年に引退、BBCの辛口解説者となるが、1993年に死去している。
国立天文台三鷹キャンパスの大赤道儀室に収納されているカール・ツァイス製65㎝屈折望遠鏡は、屈折望遠鏡としては日本で最大だ。天体望遠鏡には大きく分けて屈折式と反射式があるが、屈折式は大型化が難しく、大望遠鏡は反射式が主流だ。逆に、屈折式は取り扱いが楽なので、アマチュア向けに人気がある。国立天文台は1999年、ハワイに口径8.2mのすばる望遠鏡を建設したが、それをはるかに上回るTMT(30m望遠鏡)計画が進行中だ。