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2014年8月

2014年8月31日 (日)

いて座の干潟星雲と三裂星雲

 われわれの銀河系の中心はいて座の方向、約3万光年の彼方にある。したがって夏の天の川の中でもいて座のあたりはとりわけ星が多い。そのいて座にある干潟星雲M8は、オリオン座大星雲M42と並ぶ星雲の横綱だ。肉眼でも見えるが、人間の目は暗いものは白黒にしか見えないので、このような鮮やかな赤い色まではわからない。M8までの距離は約3,900光年なので、銀河系中心部はまだずっと奥ということになる。M8のすぐそばには、三裂星雲M20がある。散光星雲の手前に暗黒星雲があるために、散光星雲が分割されているように見えるのだが、実際に写真に撮ると三裂ではなく四裂に見える。この2つの星雲は望遠鏡を使った写真撮影でも同一視野に入るため、人気の被写体だが、北海道ではあまり高く昇らないため、木に邪魔されて撮影時間が限られてしまう。
2014年8月28日撮影 キャノンEOS60Da+ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG、露出180秒

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2014年8月30日 (土)

ユルリ島

 根室にユルリ島という無人島がある。許可なく上陸することは禁止されていて、野生動物の楽園となっている。ここにはまた、かつてコンブ漁師によって運び込まれた馬が野生化して生きている。一時は30頭くらいまで増えたそうだが、今はもうメスしかいないそうなので、いずれ絶滅してしまうだろう。鳥類や魚類は空を飛んだり海を泳いだりしてどこにでも行けるが、大型動物にはそれができない。エクアドルにあるガラパゴス諸島には、独自の進化を遂げた固有種がたくさんいる。ビーグル号でここを訪れたイギリスの科学者チャールズ・ダーウィンがそういった動物たちを見て、後に進化論を提唱することになる。

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2014年8月29日 (金)

北アメリカ星雲とペリカン星雲

 北海道に帰省して1週間、ようやくいい天気になった。昨夜は雲一つない快晴で、夜半過ぎまできれいな星空を堪能することができた。はくちょう座は夏の天の川のただ中にあり、あちこちに星雲がある。とりわけ人気なのは写真のこの2つ、北アメリカ星雲とペリカン星雲だ。いずれも形を見れば名前の由来は明らかだろう。撮影を終えて帰るとき、夜間飛行のジェット機が音もなく通り過ぎていった。このあたりは北米航路に当たるのだ。FM番組ジェット・ストリームでの城達也氏の印象的なナレーションとテーマ曲 ミスター・ロンリーのメロディを思い出す。
2014年8月29日撮影 キャノンEOS60Da+ミニボーグ45EDⅡ+レデューサー0.85×DG、露出301秒

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根室車石

 根室の花咲港には、車石という岩石がある。1億4,500万年〜6,500万年前の白亜紀の時代、マグマが海水で冷やされてできたと考えられていて、放射状節理と呼ばれるめずらしい構造を見せている。通常、マグマが冷えて固まると、柱状節理と呼ばれる六角形状の割れ目ができることが多い。映画「未知との遭遇」の舞台となったアメリカ・ワイオミング州のデビルスタワーも代表的な柱状節理だ。白亜紀は温暖な気候だったが、突然に終わりを告げてしまう。メキシコのユカタン半島に小惑星が衝突し、地球全体の気温が低下、恐竜を含む生物の大量絶滅が起きたのだ。白亜紀の終わりを示す地層KーT(K/Pg)境界は、国内では浦幌町で見ることができる。

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2014年8月28日 (木)

知床五湖

 世界自然遺産 知床はまさに日本最後の秘境だ。半島を一周する道路はなく、ほとんど手つかずの自然が残る。根室海峡側(国後島側)は羅臼港からしばらく舗装路があるが、相泊温泉で「この先行き止まり」の標識とともに突然道がなくなる。天気がよければずっと国後島が見える。オホーツク海側は、海沿いに道路はなく、知床五湖で舗装路も終わる。オフロードバイクならその先のカムイワッカ湯の滝まで行けるが、CB1100なので行くのはパスした。知床五湖はその名のとおり一湖から五湖まで5つの湖があり、地上遊歩道と高架木道が整備されている。とにかく北海道のヒグマのうち3分の1は知床に集中していると言われているので、十分な注意が必要だ。知床五湖に行く途中、道端にエゾシカがいた。すぐそばにクルマが止まっても、人が近づいても、まったく逃げようとしない。野生動物なんだから、ちょっとは警戒しなさいよと言いたくなる。野生動物と人間は適度な距離を保たないと、不幸な結果になることもあるのだ(この写真はちょっと離れたところからズームアップ)。観光客が与えたソーセージ1本によって最後は人間に射殺されることになったメスグマ「ソーセージ」の悲しい物語が、知床財団のポスターとして掲示されていた。

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野付半島

 知床と根室の間にある野付半島は、日本最大の砂嘴(さし)だ。砂嘴は砂州(さす)と同じように潮の流れによって砂が堆積したものだが、風蓮湖(ふうれんこ)にある春国岱(しゅんくにたい)やサロマ湖のように対岸近くまで伸びたものを砂州、野付半島のように外海に突き出したものを砂嘴という。野付半島の一本道は片側が外海、反対側が野付湾だが、半島の幅が数十mしかないところもあり、走っていると不思議な感覚になる。海水で立ち枯れたトドマツ、ミズナラの林(トドワラ、ナラワラ)もあり、なかなか幻想的だ。外海の方向には国後島も見ることができる。

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2014年8月27日 (水)

風蓮湖

 根室の入口に風蓮湖(ふうれんこ)がある。風蓮湖は春国岱(しゅんくにたい)という砂州(さす)によってほぼ外海から仕切られた汽水湖(淡水と海水が混じり合う湖)だ。ここは野鳥の楽園で、日本で見ることのできる野鳥の半数以上、約300種が確認されているという。砂州というのは潮の流れによって砂が堆積してできたものだが、潮の流れが変われば流出することもある。風蓮湖と春国岱が今のような姿でいられるのは、地球の歴史から見れば、わずかな時間に過ぎないのかもしれない。

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2014年8月26日 (火)

重力機械(マシン)

 ブラックホールは一般相対性理論のアインシュタイン方程式から導かれる驚くべき解だ。最初に導き出したのはドイツの天文学者カール・シュヴァルツシルトで、なんと第1次世界大戦中に戦場で計算したそうだ。その後長く理論上の存在と考えられていたが、現実に存在することがわかったのは1970年代以降だ。ブラックホールは何もかも吸い込む天体だと考えられてきたが、観測技術が向上するにつれ、すさまじいエネルギーを放出していることもわかってきた。われわれの銀河系をはじめ、多くの銀河の中心には超巨大ブラックホールがあるが、ブラックホールがまわりの物質を吸い込むとともに、ものすごいジェットを噴き出しているのだ。イギリスの天文学者ケイレブ・シャーフが書いた「重力機械(マシン)」は、この宇宙で最も破壊的な天体であるブラックホールについて、最先端の知見を解説している。

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2014年8月25日 (月)

アインシュタインの望遠鏡

 ほぼ1世紀前、アルベルト・アインシュタインは一般相対性理論の論文を発表した。一般相対性理論は、物質があるとその周囲の時間と空間がゆがみ、それが重力として働くというふうに説明されるが、この理論の正しさが認識される決定的な出来事が1919年の日食だった。皆既日食の際、太陽のすぐそばにある星の位置を測定し、通常の位置と比較することによって、星の位置がわずかにずれていることを観測したのだ。これは、通常はまっすぐに進む光が、太陽のすぐそばの空間がゆがんでいるため、わずかに曲がってしまったことを意味していた。ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が登場して、はるか彼方の銀河が撮影されるようになると、レンズでゆがんだような像がたくさん捉えられるようになった。途中にある大質量銀河団が、いわば「重力レンズ」の働きをしているのだ。アメリカの女性天文学者エヴァリン・ゲイツが書いた「アインシュタインの望遠鏡」は、重力レンズを利用したダークマターの追跡など、天文学の最先端の話題を解説している。

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2014年8月24日 (日)

コンブとり

 今日は早朝からコンブとりの手伝い。小さなウニがついていたので、海に戻してやる。

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宇宙の扉をノックする

 素粒子がどのようにして質量を獲得したのかという問題は、イギリスの物理学者ピーター・ヒッグスが1964年に提唱したヒッグス機構によって説明される。ヒッグス機構には、ヒッグス粒子という素粒子の存在が予言されていたが、実際に観測するには巨大な実験施設が必要であり、長く仮説上の素粒子に過ぎなかった。しかし、ついにヒッグス粒子がその姿を垣間見せるときがやってきた。日本も参加している欧州原子核研究機構(CERN)が建設した世界最大の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)が稼働し、2013年になってヒッグス粒子の存在がほぼ確実視されることになったのだ。ヒッグス粒子の存在を予言して半世紀後、ヒッグスは2013年のノーベル物理学賞を受賞した。アメリカの女性物理学者リサ・ランドールの「宇宙の扉をノックする」は、ヒッグス粒子の発見前、2011年に書かれた(日本版が刊行されたのは2013年秋)本で、LHCをはじめとする最先端の研究について解説している。翻訳している間に劇的な進展があったということで、翻訳者もあせっただろうなぁ。

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2014年8月23日 (土)

撮影機材

 四半世紀前に買ったタカハシ スペースボーイ赤道儀をオーバーホールし、快適パーツもそろえ、撮影準備は整った。スペースボーイに搭載しているのはミニボーグ60ED+キャノンEOS60Da。スペースボーイは極軸体しか買わなかったため、ボーグの片持ちフォーク式赤道儀を微動雲台として使用している。ピント合わせがラクになるように、MMFー1マイクロフォーカス接眼部も導入した。問題は天気だが、週間天気予報では、晴れる日は1日もない。天体写真撮影には、雲一つない快晴がせめて数時間続くことが必要だ。去年もそうだったが、どうも最近の北海道の夏は天気が不安定で、天文ファンにとってはストレスがたまる。

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日本通運 走海バイク

 内地(北海道人は本州のことをそう呼ぶ)から北海道にバイクで行くには、いくつかの方法がある。まずはひたすら自走し、青森・函館、大間・函館、八戸・苫小牧、秋田・苫小牧などのフェリーに乗る。のんびりフェリーの旅を楽しむなら、大洗・苫小牧、仙台・苫小牧、新潟・小樽、新潟・苫小牧などもある。早く北海道に上陸したいなら、ANAのスカイツーリングというのがある。バイクを貨物カウンターに預け、バイクと一緒にフライトする。もう一つ、あらかじめバイクを別の方法で送ってしまい、自分は飛行機で北海道入りする。日本通運の走海バイクは、1週間くらい前に東京港若洲のコンテナ埠頭に持ち込めば、苫小牧港で受け取れるというサービスだ。日高地方に帰るにはちょうどいいので、もう何回も利用している。今年は走海バイクのHPがないが、電話で問い合わせたら例年どおりやっていた。利用者が少ないので、HPが削除されてしまったという。若洲でバイクを預けたら、対応してくれた人がなんと根室出身でしかもバイク乗りだった。苫小牧港での受け取り場所は、沼ノ端駅からタクシーで10分くらいだ。

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2014年8月22日 (金)

宇宙創世記

 観測技術の進歩により、宇宙論は1990年代から急速な発展を遂げる。それまでもエドウィン・ハッブルによる宇宙の膨張の発見や宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の発見があり、宇宙創成のシナリオとしてビッグバンモデルが有力視されていた。1991年になって、人工衛星COBEの観測によりCMBにわずかなゆらぎがあることが発見され、これが現在の宇宙の大規模構造の「種」になったということで、ビッグバン理論は確固たるものとなった。イギリスの天文学者ジョセフ・シルクが書いた「宇宙創世記」はその当時に書かれた本で、宇宙がどのように誕生して現在の姿になったかが描かれている。

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2014年8月21日 (木)

時間・空間・重力

 アメリカの物理学者ジョン・ホイーラーは、「ブラックホール」の名付け親であり、プリンストンの大学院生だったリチャード・ファインマンを指導したことでも有名だ。専門は一般相対性理論で、キップ・ソーンらと書いた教科書「重力理論」は、重力崩壊してブラックホールになりそうなくらい分厚い。この本はぼくもほしいのだが、まず読めそうにないこと、置き場所にも困ることから、買ってない。同じホイーラーの書いた「時間・空間・重力」は、けっこう立派な本で重いのだが、「重力理論」と比べるとはるかに軽いので、これならなんとかなる。一般相対性理論は、物質があるとその周囲の時間と空間がゆがみ、それが重力として働くというもので、ほぼ1世紀前にアルベルト・アインシュタインが完成させた。一般相対性理論は曲がった空間を記述するリーマン幾何学によって構築されているが、この本でホイーラーは、難しい数式を使わずに一般相対性理論のイメージを解説している。

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2014年8月20日 (水)

日本の山と渓谷3 日高連峰

 子どもの頃から遠くに日高山脈を見て育ったが、若い頃は山登りにまったく興味がなかった。小学生のとき、アポイ岳に登ったくらいだ。最近になり、ときどき日高山脈に登ってみたいなぁと思うようになったものの、初心者が登るような山ではないので、たぶん実現することはないだろう。しかし、そんな人間でも楽しめるものはある。「日本の山と渓谷3 日高連峰」のような写真集もあるし、インターネット上にも多くの写真がアップされている。プレートとプレートが衝突してめくれ上がってできたという成り立ちや、氷河によってできたカールなど、地球のダイナミックな息づかいが聞こえてきそうだ。

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2014年8月19日 (火)

日高路 やま 花 たび

 北海道新聞社の本「日高路 やま 花 たび」は、日高地方のガイドブックだ。日高地方は、この本が刊行された1998年当時は浦河町に日高支庁が置かれ、9町があったが、現在は日高振興局に改組され、合併で7町となっている。ほぼ南北を日高山脈が貫き、海岸線は太平洋に面して170㎞にも及ぶ。北海道の中では温暖な気候で、降雪も少ない。牧場が多く、サラブレッドのふるさととして競馬ファンには有名だ。夏休みはどうぞ日高地方へ。

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2014年8月18日 (月)

北海道自然100選紀行

 「北海道自然100選紀行」は、朝日新聞北海道支社報道部が1987年、北海道の自然100カ所を選定し、写真と紀行文で紹介した本だ。日高地方では襟裳岬や幌尻岳周辺、カムイエクウチカウシ、アポイ岳、旧日高種畜牧場、日勝峠が紹介されている。当時と比べて街の様子は変わってしまったところも多いが、自然の姿はほぼそのままだ。

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2014年8月17日 (日)

神宮外苑花火大会

 昨夜は神宮外苑花火大会だった。

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2014年8月16日 (土)

タイムラプス動画 撮影テクニック

 タイムラプス動画というのは、パラパラマンガのようなものだ。一定の間隔で撮影した静止画を何百枚と並べ、動画として編集すると、数時間の風景の移り変わりが数秒間、数分間に圧縮されて見える。日周運動でゆっくり動く星空というのはタイムラプス動画にはうってつけで、インターネット上にはたくさんの動画がアップされている。撮影方法は通常の天体写真撮影より簡単で、ほとんどカメラまかせだが、いい作品にするには事前のイメージづくりが大切だ。ぼくもこの夏はチャレンジしてみようと思い、月刊天文ガイドを刊行している誠文堂新光社の「タイムラプス動画 撮影テクニック」を読んで研究しているところだ。

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2014年8月15日 (金)

ゼロから学ぶ線形代数

 小島寛之の「ゼロから学ぶ線形代数」は、姉妹書の「ゼロから学ぶ微分積分」と同様、視覚的イメージを重視した本だ。線形代数とか行列というのはとにかく計算がめんどくさいのだが、この本を読むと、めんどくさい計算が実は何をやってるのかが視覚的にわかり、目からウロコだった。最後に特殊相対性理論の話が出てくるが、ローレンツ変換が線形代数によって説明されるところなんかは、ほぉ〜という感じだった。数学や物理を履修する大学生は、夏休みにこの2冊を読んでみるといいだろう。

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2014年8月14日 (木)

ゼロから学ぶ微分積分

 40歳を超えてから、物理学をもう一度勉強し直そうと思い、大学時代の教科書やら最近の専門書やらを読み始めるようになった。しかし、そのためにはどうしても数学の勉強もやり直さなければならず、大学1年生のときの教科書である「解析概論」と「線型代数入門」を読んでみようと思い立った。しかし、この2冊はなかなか難しい。というわけで、もっと視覚的なイメージをつかめる本を先に読んで、その後に本丸を攻略しようという作戦にした。小島寛之の「ゼロから学ぶ微分積分」は、そんなぼくにはぴったりの本だった。「ゼロから学ぶ」というより、「ゼロから学び直す」人にいいだろう。

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2014年8月13日 (水)

Flightradar24

 北海道のいつもの場所で天体写真を撮影していると、ときどき上空を飛行機が通過していく。新千歳空港発着便は西の地平線ギリギリに見えるが、ほぼ真上となると、旭川か帯広空港発着便かなぁと思っていた。しかし、Flightradar24という、世界各地の上空を飛んでいる飛行機がほぼリアルタイムで表示されるサイトを見ていて、ようやくどこ行きかがわかった。東京・ワシントン、東京・ニューヨーク便がちょうどうちの田舎の上空を通過するのだ。どちらも乗ったことがないが、もし乗る機会があれば、ぜひ上空から日高山脈を見てみたいものだ。とにかくこれは楽しいサイトだ。スマホ用アプリもある。

物理数学の直感的方法

 大学の数学は難しい。数式を追うだけではイメージがつかめず、結局のところ何をやっているかチンプンカンプンということもある。最近は視覚的イメージに訴えるようなわかりやすい解説書も出ているが、その走りは1987年に刊行された長沼伸一郎の「物理数学の直感的方法」だろう。この本を手にしたのは大学卒業後だったと思うが、学生時代、四苦八苦した数式のイメージが鮮やかに示されているのに驚いた。その後ロングセラーとなり、最近はブルーバックス版も出ていて、今でもたまに読んでいる。ぼくが大学1年生の時に刊行されていたら助かったんだけどなぁ。

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2014年8月12日 (火)

線型代数入門

 解析学の教科書が高木貞治の「解析概論」だったのに対し、線形代数学の教科書は日本の数学者齋藤正彦の「線型代数入門」だった。この本も「解析概論」同様、今でも売れているようで、書店に行くと目立つところに置いてあることが多い。しかし、どっちも難しい。学生時代は、結局のところ何をやってるのかよくわからなかった。今はもっと直感的でわかりやすい本があるので、そういう本でイメージをつかんでから本格的な本を読むといいだろう。なお、今年になってから、同じ著者による「線型代数学」(東京図書)が刊行された。これから線形代数を勉強するなら、こちらの方がいいかもしれない。

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2014年8月11日 (月)

解析概論

 ぼくが大学に入学したのはもう30年も前だが、大学生ともなると講義や教科書も格段に難しくなる。特に数学については、高校数学と大学数学のギャップは大きかった。当時、教養課程の1年生が数学で履修するのは「線形代数学」と「解析学」の2科目で、日本を代表する数学者高木貞治の「解析概論」が解析学の教科書に指定されていた。現在は数式組版ソフトLaTeXを使って組み直し、「定本 解析概論」として刊行されている。科学技術立国日本を支えてきた名著だ。

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2014年8月10日 (日)

相対論の正しい間違え方

 自然科学の分野にもトンデモ本というのはけっこうあるが、その中でも代表的なのが相対性理論に関するものだ。とにかく相対性理論は「常識」とは異なる点があるため、よく考えないといつの間にか「常識」によって勘違いしていることがある。日本の物理学者松田卓也らが書いた「相対論の正しい間違え方」は、相対性理論のよくある間違え方を整理し、解説したものだ。有名な「双子のパラドックス」についても詳しく取り上げられている。

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2014年8月 9日 (土)

数式いらず! 見える相対性理論

 相対性理論には特殊相対性理論と一般相対性理論があるが、特殊相対性理論に登場する数式はそんなに難しくない。数式じたいはそんなに難しくないが、その意味をよく考えないと頭が混乱し、落とし穴にはまってしまう。竹内建が書いた「数式いらず! 見える相対性理論」は、数式を使わず、時空図だけで特殊相対性理論を解説した本だ。数学や物理を勉強するとき、視覚的イメージを描くというのは非常に大切だが、大学の教科書なんかはそのあたりが不親切なものが多い。そういう点でこの本は目からウロコだった。

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2014年8月 8日 (金)

物理学はいかに創られたか

 アルベルト・アインシュタインは1879年、ドイツに生まれた。大学卒業後はスイスの特許庁に勤務するが、独学で数学や物理学を研究、1905年に特殊相対性理論の論文を発表する。この年アインシュタインは、量子論に関する論文も書き上げ、20世紀物理学の2大理論である相対性理論と量子力学に大きく貢献する。ナチスが政権を握るとアインシュタインはアメリカに永住、プリンストン高等研究所の教授に就任する。「物理学はいかに創られたか」はアインシュタインがその頃、弟子のレオポルト・インフェルトとともに書いた本で、一般向けに(当時の)現代物理学の全貌を解説している。この本を読んで物理学者になったという人も多く、この分野では古典的名著だ。アインシュタインは来日経験もあり、その際は各地で大騒ぎになったそうだ。ボサボサの髪型といい、舌を出した有名な写真といい、ルックスやキャラクターも非常に個性的で、一般社会にも大きな影響を残した人物だった。

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2014年8月 7日 (木)

立秋

 今日は立秋だ。立秋というのは「秋の気立つ」という意味で、この日以降秋の気配が出てくる=これ以上暑くはならないということだから、実際には暑さのピークということになる。数学でいうと関数の極値みたいなものだ。なので、「暦の上では秋なのに暑い」という言い方はおかしい。今日はまた、北海道では七夕の日でもある。本来の七夕は旧暦7月7日だが、現在の7月7日とは季節がずれているため、8月7日としたのだろう。ただ、これも厳密にいうとちょっとずれているので、旧暦7月7日に相当する日を伝統的七夕と称している。今年の伝統的七夕は8月2日だ。ちなみに、旧暦は月の満ち欠けをもとにしているので、日付を見ると月齢がすぐわかるというメリットがある。例えば、本能寺の変は6月2日だから、ほぼ新月に近く、夜は真っ暗だっただろう。暦についていろいろ知りたければ、国立天文台天文情報センター暦計算室HPが便利だ。

日経サイエンス

 日経サイエンスは日本の代表的な科学雑誌で、アメリカの科学雑誌サイエンティフィック・アメリカンとタイアップしている。毎月いろんな分野の記事が掲載されているが、ときどき同じ分野の記事をひとまとめにして別冊日経サイエンスというのを刊行している。天文学の分野では、196「宇宙の誕生と終焉」、187「宇宙を開く望遠鏡」、186「実在とは何か?」、180「時間とは何か?」、175「宇宙大航海」、167「見えてきた太陽系の起源と進化」、164「ニュートリノで輝く宇宙」、156「宇宙創世記」、149「時空の起源に迫る宇宙論」などの別冊がある。観測技術の進歩もあって、最先端物理学の分野はめざましい発展を続けているが、そういうものに触れたいならこれを読むのがいいだろう。

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2014年8月 6日 (水)

Newton(ニュートン)

 科学雑誌Newton(ニュートン)は1981年に創刊された。ぼくが高校生のときだが、創刊号は本屋まで買いに行った記憶がある。イラストや写真が多いので、高校生でも読めるというのがよかった。その後似たような雑誌がいくつか創刊されたが、Newtonは今でもこの分野の代表的存在として生き残っている。Newtonはときどき特定の分野を特集した別冊を出しているが、天文学はその中でも売れっ子の分野のようだ。とにかくすばらしいイラストや写真が満載なので、眺めるだけでもいい。日頃は難しいことばかり考えている天文学者も、もともと星を見るのが好きだったという人ばかりなのだ。

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2014年8月 5日 (火)

サイエンス・ファクション

 ノーベル賞を受賞したオランダの物理学者ヘーラルト・トホーフトが書いた「サイエンス・ファクション」は、SFに出てくる宇宙旅行やコンピュータ、ロボットなどについて、どこまで実現可能かということを科学的に検証した本だ。まず、当然のことながら、光の速さより速く移動することは決してできない。では、現実にロケットの速さはどこまで上げることができるのか。化学エネルギーではなく、原子力エネルギーを使えたとして、どんなに速くできたとしても光速の数%だろうというのがトホーフトの見立てだ。これでは、最も近い恒星まで行くとしても1000年以上はかかる。しかも、減速するのは容易ではない。そもそも、そんなに長く生き延びる人間なんていないだろう。しかし、太陽系内なら、それほど遠くない将来、人間が旅することができるようになるはずだ。

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2014年8月 4日 (月)

サイクリック宇宙論

 かつて宇宙はビッグバン→膨張→収縮→ビッグクランチというサイクルを永遠に繰り返すというサイクリック宇宙論が一部の科学者によって唱えられたが、最近新たなサイクリック宇宙論が登場している。われわれの宇宙は4次元時空のように見えるが、見えない次元があり、そこでわれわれの宇宙と別の宇宙が周期的に衝突→跳ね返り→膨張→衝突というサイクルを繰り返しているというのだ。その提唱者が本書「サイクリック宇宙論」を書いたポール・スタインハートとニール・トゥロックだ。これまたびっくり仰天の話だが、見えない次元というのは大勢の科学者が研究していて、いずれ観測によって確かめられる日がくるかもしれない。

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2014年8月 3日 (日)

対称性

 対称性(シンメトリー)とは物理学や数学によく出てくる概念で、ある変換を施しても不変であることをいう。正三角形は120°回転させると元の図形と重なる(回転対称)し、鏡に映った自分の顔は元の顔と鏡映対称となっている。物理学には、対称性がある場合何か保存される量があるという定理があり、発見者であるドイツの女性数学者エミー・ネーターの名を取ってネーターの定理と呼ばれている。アメリカの物理学者でノーベル賞受賞者でもあるレオン・レーダーマンが書いた「対称性」は、その対称性を中心に物理学を語った本だ。現代宇宙論では、宇宙の初期に自発的対称性の破れというものが起こり、その結果宇宙は今あるような姿になったと考えられており、対称性というのは重要なキーワードとなっている。

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2014年8月 2日 (土)

イケナイ宇宙学

 世の中には多くの書物があふれているが、いわゆる「トンデモ本」というのは科学の分野にもけっこうある。天文学の分野でとりわけ有名なのはイマヌエル・ヴェリコフスキーが書いた「衝突する宇宙」という本で、これは当時の科学界がまともに相手をしてしまったことから、大論争となった。まあそこまでいかなくても、SF映画の影響などもあって、間違った科学というのは世の中にたくさん流布している。アメリカの天文学者フィリップ・プレイトが書いた「イケナイ宇宙学(Bad Astronomy)」は、宇宙に関する間違い話を解説した本だ。プレイトは「スター・トレック」や「スター・ウォーズ」などの映画に登場するシーンについて、どこが間違っているのかも説明してくれるが、もともとSF映画やテレビが大好きで、子どもの頃からそういうのを見て真理を追究する目を養ったそうだ。

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2014年8月 1日 (金)

幸運な宇宙

 宇宙はなぜ生物が存在するのに適しているのか、どうしてわれわれが存在するのかという問題は、古くから多くの人間を悩ませてきた。実際、さまざまな物理法則や物理定数がちょっとでも違っていたら、生物はもちろん、恒星や銀河もできないのだ。したがって、物理法則は人間が存在するのにちょうどいいように微調整されていると考える人がいるのも不思議ではない。この考え方を人間原理という。また、最近では、宇宙を設計した設計者がいるという説(インテリジェント・デザイン説)や、無数の宇宙のうち生物の存在に適した宇宙にたまたま存在しているという説(多宇宙論)などもある。イギリスの物理学者ポール・デイヴィスが書いた「幸運な宇宙」は、最新宇宙論を紹介する中で、この問題をさまざまな角度から検証している。

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