宇宙が始まる前には何があったのか?
アメリカの物理学者ローレンス・クラウスが書いた「宇宙が始まる前には何があったのか?」の原題は「A UNIVERSE FROM NOTHING」、すなわち「無から生じた宇宙」だ。トンデモ話のようだが、宇宙は無から生じた、というのが現代宇宙論なのだ。正確に言うと、宇宙の始まりは「無」だが、そこには「ゆらぎ」(無と有の間をゆらいでいる状態)があって、そこからトンネル効果で宇宙が生まれ、インフレーションと呼ばれる急膨張を経てビッグバンが起きた、というシナリオだ。クラウスは1990年代半ば、宇宙の全エネルギーの68%を占めるダークエネルギーの発見に重要な貢献をしたが、これが意味するのは、宇宙の膨張が加速し、いずれはわれわれの銀河系の外の宇宙は見えなくなるということだ。われわれは、観測できる希有な時代に生きているのだ。とは言っても、そうなるのは2兆年後なので、天体写真の趣味は当分やめなくてもだいじょうぶだ。
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