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スイス・レマン湖畔のリゾート地「モントルー」は、毎年夏に開催されるジャズフェスティバルで有名だ。ビル・エヴァンスは1968年、このモントルージャズフェスティバルに出演、その演奏は「BILL EVANS At The Montreux Jazz Festival」という名のアルバムになった。ジャケット写真はシヨン城。1960年代後半のエヴァンスの代表作だ。
ニューヨークのジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」からは「Waltz for Debby」というビル・エヴァンスの最高傑作が生まれているが、エヴァンスは1967年にもここでライブ演奏している。しかし、このライブ演奏が「CALFORNIA HERE I COME」というアルバム名で発表されたのは、エヴァンスの死後となってしまった。
1966年録音の「Intermodulation」は、「UNDERCURRENT」以来2度目のビル・エヴァンスとジム・ホール、ピアノとギターのデュオによるアルバムだ。クールな「UNDERCURRENT」に対し、「Intermodulation」はゆったりしたムードが漂う。
ニューヨーク・タウンホールでのビル・エヴァンス初のコンサートは、1966年に開催され、ライブ盤「Bill Evans at Town Hall」として発表された。同じライブでも、ジャズクラブとはまた違った雰囲気だ。コンサート直前に亡くなった父親に捧げるソロ組曲も演奏している。
ビル・エヴァンスが1965年に録音した「trio’ 65」は、「Israel」や「How My Heart Sings」など、これまで他のアルバムに収録した曲を新しいアレンジで演奏しているアルバムだ。全体的にアップテンポで、いつもとちょっと違う、小気味いいエヴァンスのピアノが聴けるアルバムだ。そういうわけで、エヴァンスファンの間でもけっこう人気が高いようだ。
アントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルトとともにボサノヴァブームをもたらしたスタン・ゲッツとビル・エヴァンスは1964年、「STAN GETZ & BILL EVANS」で共演を果たす。しかしこのアルバム、なぜかすぐには発売されず、発売されたのは10年も経った後だった。ゲッツとエヴァンスはこの後もライブで共演しているが、この2人でボサノヴァを演奏したらどんなものになっていただろうか。興味のあるところだ。
1963年録音のビル・エヴァンス「CONVERSATIONS WITH MYSELF(自己との対話)」は、エヴァンス初のソロアルバムにして三重録音という実験的なアルバムだ。エヴァンスはこの後も同様のアルバムを制作したり、アコースティックピアノとエレクトリックピアノのオーバーダビングまでやってるそうだ。エヴァンスの野心的な試みは、他の名盤を差し置いてグラミー賞に輝くという結果をもたらした。
ビル・エヴァンスが1962年に録音した「EMPATHY」は、それまでの「リバーサイド」レーベルではなく、「ヴァーヴ」レーベルで発売したアルバムの第1号だ。このほか、ジャズのレーベルとして有名なのものとして、「ブルーノート」、「プレスティッジ」、「インパルス」、「アトランティック」などがある。「Danny Boy」はもともとアイルランドの歌で、ビング・クロスビーも歌っている。
名演ぞろいのビル・エヴァンスの1962年のアルバムの中でも、「INTERPLAY」はちょっと異色だ。いつものピアノトリオ(ピアノ、ベース、ドラムス)に加え、フレディ・ハバードのテナーサックスとジム・ホールのギターが加わり、クインテット構成になっている。「You and the Night and the Music(あなたと夜と音楽と)」はこれまでにも何度か録音されているが、これが決定版だろう。
「Moon Beams」と同時に生まれた「How my heart sings!」は、とにかくタイトル曲がいい。この曲は1965年録音の「trio’ 65」でも演奏されているが、これも名演だ。ピアノというのはもともと美しい音色を出す楽器だが、エヴァンスの手にかかるといっそう美しく愛らしい。「Waltz for Debby」に勝るとも劣らぬできばえだ。
1962年録音の「Moon Beams」と「How my heart sings!」は、同じ日にせっせと録音した曲を2枚のアルバムにしたものだ。「Moon Beams」の方は静かでスローだが、「How my heart sings!」は軽やかで小気味よい。アルバムタイトルの元となった「Polka Dots and Moonbeams」は、月夜の晩のダンスパーティーで、水玉模様のドレスの女の子と運命の出会いをしたというロマンチックな曲だ。
ビル・エヴァンスとジム・ホールによる「UNDERCURRENT」は、ピアノとギターによるジャズの決定版だろう。ジャズギターというのはとにかくクールだ。チェット・ベイカーの歌で有名な「My Funny Valentine」も、エヴァンスとホールが演奏するとガラッと雰囲気が変わる。1962年はエヴァンスがアルバム制作に精力的に取り組んだ年で、このあとも立て続けに「Moon Beams」などを録音していく。
「宇宙から恐怖がやってくる!」なんていかにもSFホラー小説、といったタイトルだが、アメリカの天文学者フィリップ・プレイトが書いたまっとうな科学書だ。昨年2月15日、ロシアのチェリャビンスクに隕石が落下したが、実は地球はいろんな脅威にさらされている。小惑星や彗星が衝突するかも知れない、大規模な太陽フレアが発生するかも知れない、近くで超新星爆発があるかも知れない、ガンマ線バーストを浴びるかも知れない、ブラックホールが近くを通るかも知れない・・・。残念ながら、こうした宇宙規模の脅威に対し、人類はほとんど無力だ。でも、いつかはそういうことも起きるかもしれないが、そんなに頻繁に起きることでもないので、ご安心を。むしろ、人類が戦争で自滅する可能性の方が高いかも知れない。そんなことにならないようにしないと。
ビル・エヴァンスのというより、モダンジャズの名盤中の名盤「Waltz for Debby」は、ニューヨークのジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」の喧噪の中で生まれた。ワハハという笑い声が響く中、とにかく美しいジャズが演奏される。おしゃべりに夢中でちゃんと演奏を聴いてなかったお客さんたち、後にレコードを聴いて後悔しただろうな。目の前に宝物があったのに気づかなかったなんて。
1961年6月25日、ニューヨークのジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」で行われたビル・エヴァンス・トリオのライブは、2枚のアルバムとなって発売された。それが「Sunday at the Village Vanguard」と「Waltz for Debby」だ。当時エヴァンスはスコット・ラファロ(ベース)、ポール・モチアン(ドラムス)と組んでいたが、ラファロはこのライブの11日後に自動車事故で死去してしまう。
アメリカの物理学者リサ・ランドールは、ジョディ・フォスター似の美人物理学者ということで日本でも話題になったが、本書「ワープする宇宙」は、見えない異次元の存在について語った本だ。「ワープ」という言葉は、宇宙戦艦ヤマトやスター・トレックでいう超光速航行ではなく、「歪んだ」という本来の意味で使っている。すなわち、歪曲して目に見えない異次元があるという話だ。超弦理論では10または11次元時空が必要となるが、現実の世界は4次元時空であり、余剰次元は非常に小さく折り込まれている(コンパクト化)と考えられている。電線を近くで見ると円筒形だが、遠くから見ると直線に見えるというのがそれだ。600ページを超える本だが、前半は現代物理学の歴史と全体像をわかりやすく解説している。
1959年の「PORTRAIT IN JAZZ」から2年、ビル・エヴァンスは第1期黄金時代とも言える充実した時期を迎える。1961年の「Explorations」はその皮切りになったアルバムで、「PORTRAIT IN JAZZ」、「Explorations」とそれに続く2枚のライブアルバムは、当時のレコードレーベルの名を取ってエヴァンスのリバーサイド4部作と呼ばれている。とにかくエヴァンスのピアノが冴えわたっている。とりわけ「Israel」は名演だ。
アメリカの物理学者レオナルド・サスキンドは、ブラックホールに吸い込まれた量子の情報が失われるかどうかという問題をめぐってスティーヴン・ホーキングと激しい論争(ブラックホール戦争)を繰り広げたアメリカの物理学者だ。なんていうと2人は仲が悪いように聞こえるだろうが、これはサスキンドのユーモアだ。戦いはサスキンドが勝利したが、そのサスキンドが、超弦理論をはじめとする最先端の物理学を駆使して導き出したのが「ランドスケープ」という概念であり、それを解説したのが本書「宇宙のランドスケープ」だ。ブラックホールの研究からは、「ホログラフィック原理」というものまで出てきた。最先端の宇宙論は、SFよりもはるかに驚くべきものになっているのだ。
1959年という年は、モダンジャズの歴史上特筆すべき年の一つだろう。マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンスらによる「Kind of Blue」、デイブ・ブルーベックの「TIME OUT」、そしてビル・エヴァンスの「PORTRAIT IN JAZZ」といった名盤がこの年に録音された。何はともあれ、ステレオとモノラルの2曲が収録されている「Autumn Leaves(枯葉)」を聴いてみて。
アメリカの物理学者ブライアン・グリーンが書いた本書「エレガントな宇宙」は、超弦理論(超ひも理論)という最先端の素粒子論に関するけっこう分厚い本であるにもかかわらず、ベストセラーになったそうだ。グリーン自身が積極的にマスメディアに登場するなど、一般向けの啓蒙活動をしているということもあるだろう。宇宙の膨張が発見されたことにより、宇宙創成の瞬間は宇宙がごくごく小さかったということがわかり、非常に大きな世界の物理学と非常に小さな世界の物理学が直結することになった。したがって、超弦理論のような素粒子論は、宇宙論とは切っても切れない関係になったのだ。グリーンは同名のテレビドキュメンタリーにも出演していて、YouTubeにもアップされている。
1947年の映画「GREEN DOLPHIN STREET(大地は怒る)」のテーマ曲を含む1959年録音のアルバムは、なぜかエヴァンスが死去するちょっと前まで発売されなかった。エヴァンスは同じ日にチェット・ベイカーのアルバム「CHET」の録音にも参加しているが、「You and the Night and the Music」はまったく違う演奏で両方のアルバムに収録されている。
ビル・エヴァンスは短期間だがマイルス・デイヴィスのバンドに入っていた。1958年録音の「EVERYBODY DIGS BILL EVANS」は、そういう関係もあって、マイルスのサインが入っている。「NEW JAZZ CONCEPTIONS」がまったく売れなかったそうなので、マイルスが「このアルバムはいいですよ〜」とジャケットで推薦してるのだ。ジャズジャイアンツにもこういう時代があったんだな。
ビル・エヴァンスは1929年、アメリカニュージャージー州で生まれ、1980年に51歳で死去した。モダンジャズを代表するジャズジャイアンツの1人だ。幼い頃から音楽教育を受けていて、クラシックにも造詣が深かったようだ。そのエヴァンスの初リーダーアルバムが1956年録音の「NEW JAZZ CONCEPTIONS」だ。エヴァンスによる新しいコンセプトのジャズがこのアルバムからスタートする。
「SHERLOCK」シリーズ2第3話のタイトルは「The Reichenbach Fall」、いよいよライヘンバッハの対決である。シャーロキアンなら、「ふむふむ、ホームズは滝から落ちたと見せかけて、実は落ちないんだな」と思うかもしれないが、シャーロックは聖バーソロミュー病院の屋上から実際に飛び降りる。ジョンとハドソン夫人が墓参りをしたとき、遠くでシャーロックがそれを見守っているが、それまでは「ホントに死んだ?」と思わせる演出だ。しかし、何度か見直すと、伏線らしきものがいろいろあることに気づく。まず、誘拐された少女がシャーロックを見たとき、泣き叫ぶシーンだ。これは、犯人がシャーロックのそっくりさんだったということだろう。ということは、シャーロックの身替わりになる者がいるということだ。それから、シャーロックがジョンに、正確にその場所にいろと言うのもあやしい。ジョンのいる場所は、どうやら死角になるようだ。そして、シャーロック?の死体にジョンが駆け寄ろうとしたとき、自転車に突き飛ばされて意識朦朧となること。死体のそばにいたトラックらしきものが去って行ったし。そうそう、その前に、聖バーソロミュー病院の法医学者モリーに、シャーロックが「君が必要だ」と言ってたなぁ。死体の工作とかのことだろう。この謎は、シリーズ3を待つしかない。イギリスでは先月放送されたので、早くブルーレイ発売してくれないかな。
20世紀初め、アインシュタインは2つの相対性理論を打ち立てる。1905年に発表した特殊相対性理論と1915年に発表した一般相対性理論だ。一般相対性理論は、重力は時空の歪みであるという話だが、この理論は、アインシュタインの想像を超えるとんでもないものが存在する可能性を予言した。それがブラックホールだ。ブラックホールは光を出さないため、直接見ることができないが、観測技術の進歩により、現在では多くのブラックホールの存在が確認されている。本書「ブラックホールと時空の歪み」は、アメリカの物理学者キップ・ソーンが一般向けに書いた本だが、500ページを超える大作だ。しかし、驚くのはまだ早い。ソーンらが3人で書いた「重力理論」という専門書は1300ページもある。ほとんどブラックホール並みの本だ。
「SHERLOCK」シリーズ2第2話「The Hounds of Baskerville」は、正典でも人気の「バスカヴィル家の犬」の現代版だ。ロンドンから遠く離れたダートムアの荒地を舞台に火を吐く魔犬が登場するホラー映画さながらの設定だが、軍の秘密実験施設が出てくるあたり、何となく先が予想できそうな感じだ。シャーロックは、兄マイクロフトからいつのまにか盗み取ったIDカードで、警戒厳重な軍の秘密実験施設に潜入する。マイクロフトは正典でも「イギリス政府そのもの」と言われていたが、「SHERLOCK」でも重要な仕事をしているようだ。たぶんMI6のトップかなんかだろう。そういえば、007映画でも、MI6のトップは「M」だ。正典では、シャーロックとマイクロフトは普通の兄弟という関係だが、「SHERLOCK」では仲が悪い。これまでにいろいろとあったようだ。マイクロフトがモリアーティを尋問した際、シャーロックの身の上話を聞かせてしまったせいで、第3話ではシャーロックが大ピンチに陥ってしまう。シャーロック以上の頭脳を持つ割には、失態が多いような気がする。まあしかし、マイクロフトもだんだんシャーロックを陰ながらアシストしそうな感じになってきたようだ。
「SHERLOCK」シリーズ2第1話「A Scandal in Belgravia」のベルグレービアというのは、バッキンガム宮殿のことをいうそうだ。正典ではボヘミア王がスキャンダルの主だったが、なんと今回のスキャンダルの主はバッキンガム宮殿の高貴なお方だ。いいのかな〜。もちろん、正典でホームズが敬意を込めて「The woman(あの女性)」と呼ぶただ一人の女性、アイリーン・アドラーが登場、シャーロックを翻弄する活躍を見せる。正典のアドラーはあまり悪女という感じではないが、本作「SHERLOCK」やロバート・ダウニーJr.主演の「シャーロック・ホームズ」に登場するアドラーは、思い切り悪女だ。しかし、本作のアドラーは、なんとシャーロックに恋をしてしまったようだ。機密情報満載のアドラーのケータイのパスワードが「I AM 『SHER』 LOCKED」であることをシャーロックが見破るシーンは、メロドラマっぽい。それにしても、シャーロックがマイクロフトの発した「コヴェントリー」とか「ボンドエア」という断片的な言葉だけで秘密作戦の存在を見破ってしまうのは、シャーロックがすごいというより、マイクロフトが不注意だったという気がする。シャーロックには、何も見せるな・言うな・聞かせるな、じゃないと。
「SHERLOCK」シリーズ1第3話「The Great Game」では、いよいよモリアーティがその姿を現し、シャーロックと直接対決する。シャーロックとジョンが共同生活を始めてからしばらく経って、ジョンのブログによってシャーロックの活躍が世間にも広がり始めていた。しかし、シャーロックはというと、事件がなくあまりにも退屈なので、部屋でピストルをぶっ放す始末。このあたりは正典(ドイルの原作)からの引用がたくさんあって、シャーロキアンならニヤッとするところだろう。モリアーティはシャーロックにピンク色のケータイを送り、制限時間内に解けなければ人質を殺すというゲームを仕掛けるのだが、大胆不敵にもシャーロックの前に一度姿を現していた。しかし、相手を一目見ただけで何でも見抜いてしまうシャーロックにしては、モリアーティを単なるゲイとしか認識できなかったのは大失態だろう。というより、モリアーティの方が上手だったということか。正典ではモリアーティが姿を現したのはわずかだったが、「SHERLOCK」では出番が多いので、しばらくはドラマを盛り上げてくれるだろう。ところで、シャーロックのコートは、チェ・ゲバラやユアン・マクレガーも着たベルスタッフの特注品だそうだ。レプリカを売り出したらヒットするだろうなぁ。
NASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)は、地球を回る軌道に2.4mの望遠鏡を打ち上げるという、人類史上初の壮大なプロジェクトだ。地上では大気が邪魔になるので、どんなに巨大な望遠鏡でも解像力には限界があるが、宇宙空間ではそれがない。打ち上げ直後は主鏡が歪んでいることが発覚したが、「コンタクトレンズ」を入れる修理ミッションが成功し、人類が初めて目にする驚異の画像が続々送信されることになった。HSTに名付けられたハッブルとは、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブルのことだ。ハッブルはカリフォルニアにあるウィルソン山天文台の2.5m望遠鏡でたくさんの銀河を観測し、それらが銀河系の外にあることや、宇宙が膨張していることを発見した。その成果をまとめたのが本書「銀河の世界」だ。
「SHERLOCK」シリーズ1第2話「The Blind Banker」は、差別用語と判断したからだろうか、邦題は「死を呼ぶ暗号」となっている。暗号解読はホームズの得意とするところで、「踊る人形」では見事な腕前を見せ、犯人逮捕に結びつける。本作では、中国の犯罪組織「Black Lotus」が登場、組織を裏切った3人が殺される。しかし、「Black Lotus」も真の首謀者ではなかった。クモの巣の真ん中にクモと同じように座り、無数の糸を操るだけで犯罪を実行する男、ジム・モリアーティこそ真の首謀者だった。モリアーティは、ドイルの原作(シャーロキアンは「正典」と呼ぶ)では、高齢で背が高くやせている元数学教授という設定だったが、「SHERLOCK」ではまったく違う設定になっている。シャーロックがコンサルタント探偵なら、モリアーティはコンサルタント犯罪者なのだ。このモリアーティ、エキセントリックな性格はシャーロックに勝るとも劣らない。モリアーティは第3話「The Great Game」でいよいよその姿を現す。なお、日本で発売されているブルーレイ版は、英語字幕がない。イギリス版は英語字幕があるので、これで見るとシャーロックの猛スピードのセリフがわかる。とにかく、よくもまああんなに早口でしゃべれるもんだ。
イギリスBBCの人気番組「SHERLOCK」は、21世紀のロンドンを舞台に、ベネディクト・カンバーバッチ演じるシャーロック・ホームズの活躍を描いたドラマだ。シリーズ1の3話が2010年に、シリーズ2の3話が2012年に放送され、シリーズ3の3話が先月放送されたばかりだ。脚本を書いたマーク・ゲイティス(マイクロフト・ホームズ役でも出演)らは相当なシャーロキアンらしく、コナン・ドイルの原作の設定やセリフをかなり取り入れている。シリーズ1第1話「A Study in Pink」は、もちろん原作の「緋色の研究(A Study in Scarlet」から採ったものだ。アフガニスタンで負傷して帰国したジョン・ワトソン(マーティン・フリーマン)がシャーロックと出会い、ベーカー街221Bでルームメイトとして暮らし始める。とそのとき、ロンドンでは同じ毒物を飲んで自殺するという連続自殺?事件が立て続けに起こるが、シャーロックはこれを連続殺人事件と見破るのだ。舞台が現代なので、シャーロックもジョンも、スマホ、パソコン、GPS、インターネット、ブログなどIT技術を駆使している。
ダイアナ・クラールは、エルヴィス・コステロ夫人でもあるが、コステロというと、バート・バカラックとともに映画「オースティン・パワーズ」にカメオ出演していたのを思い出す。ダイアナのアルバム「THE LOOK OF LOVE」のタイトル曲は、そのバート・バカラックの代表作で、1967年の映画「カジノロワイヤル」の主題歌としてダスティ・スプリングフィールドが歌ったほか、日本では「恋の面影」としても知られている。
ナタリー・コールの「UNFORGETTABLE WITH LOVE」は、父ナット・キング・コールへのトリビュートアルバムだ。ナット・キング・コールの代表曲がズラリとそろっているが、「Unforttable」では、父と娘の時間を超えたデュエットが実現している。ナタリーにとっては、15歳のときに亡くなった父とのデュエットというのは特別なことだったろう。とても微笑ましい曲だ。
20世紀前半、天文学者の間では定常宇宙論vs膨張宇宙論の論争が繰り広げられていた。この論争に終止符を打つ決定打となったのは、エドウィン・ハッブルによる膨張宇宙の発見だった。ロシア生まれのアメリカの物理学者ジョージ・ガモフは、宇宙のはじめは火の玉のような超高温・超高密度状態にあって、これが膨張して現在の宇宙になったという、ビッグバン理論に貢献した天文学者だ。ガモフは一般向けの本もたくさん書いていて、「不思議の国のトムキンス」では、光の速さが時速20㎞ならどうなるかなどという想像のもとに、相対性理論がわかりやすく解説されている。本書「不思議宇宙のトムキンス」は、1940年の初版から60年を経た新版だ。
ホリー・コールの声は、モノクロームヴォイスとも呼ばれているそうだ。代表作「BLAME IT ON MY YOUTH」に収録された曲とジャケット写真は、そんな雰囲気をよく伝えている。特に印象的なのが、1987年の映画「バグダッド・カフェ」で流れた「Calling You」のカヴァーだ。また、このアルバムには収録されてないが、ホリーが歌う「Blame It on My Youth」や「My Foolish Heart」もすごくいい。静かな夜を過ごしたければ、ホリーの曲をどうぞ。