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モニカ・セッテルンド(ゼタールンド)は、スウェーデンの国民的女優&ヴォーカリストだ。そのモニカがビル・エヴァンスと共演した「WALTZ FOR DEBBY」は、「モニカのワルツ」としても有名だ。スウェーデン語で歌っているが、これがまた心地よい。北海道人であるぼくも、同じ北国ということでなんとなく親近感がある。いま販売されている「WALTZ FOR DEBBY」のCDには、ボーナストラックとしてエヴァンスの弾き語り「Santa Clause Is Coming to Town」が収録されているが、いつも暗そうな顔をしているエヴァンスのイメージとは違って、ひょうきんエヴァンスという感じだ。
昨年死去したイーディー・ゴーメの「BLAME IT ON THE BOSSA NOVA」は、日本でも「恋はボサノヴァ」としてヒットしたタイトル曲をはじめ、ボサノヴァのスタンダードナンバーを収録したアルバムだ。ジャズスタンダードナンバーの「The Gift」も、元はボサノヴァの曲で、このアルバムで聴くことができる。とにかく軽快で心地よい。夏の午後、これを聴きながらうたた寝なんて、実に幸せな気分になる。
アストラッド・ジルベルトが本国ブラジルではあまり活動しなかったのに対し、エリス・レジーナはブラジルで最も人気のある女性ヴォーカリストだった。そのエリスがアントニオ・カルロス・ジョビンと共演したのが「ELIS & TOM」だ。1曲目の「Águas de Março(三月の雨)」でエリスが笑いながらジョビンとデュエットを続けるところは、ブラジルらしく底抜けに明るいという感じだ。エリスは晩年コカイン中毒となり、36歳で亡くなったので、活動期間は長くない。しかし、最近もドキュメンタリー映画が制作されるなど、今なお絶大な人気を誇っているようだ。
アメリカの天文学者カール・セーガンが監修し、世界60カ国以上で放送されたテレビシリーズ「コスモス(COSMOS)」は、科学ドキュメンタリーとしては異例の大ヒットだったそうだ。本書「COSMOS」は、テレビシリーズとほぼ同時に刊行され、これまた科学書としては異例のベストセラーとなったそうだ。ぼくが一時天文学者をめざしたのは、まちがいなくこの本とこの番組の影響だ。宇宙論はその後めざましい発展を遂げたが、セーガンの主張は今でも色褪せることはない。われわれが宇宙の中でいかに貴重な存在か、しかしわれわれは決して孤独ではないというセーガンの主張は、セーガン原作、ジョディ・フォスター主演の映画「コンタクト」にも貫かれている。
ボサノヴァの創生期、アントニオ・カルロス・ジョビンとジョアン・ジルベルト、スタン・ゲッツが制作した「GETS/GILBERTO」に、当時ジョアンの妻だったアストラッド・ジルベルトが参加、ボサノヴァのスタンダードナンバー「イパネマの娘」を歌った。これが成功したことにより、アストラッドはプロとして活動することになる。アストラッドはここから立て続けに「The Astrud Gilberto Album」などのアルバムを発表、ボサノヴァの女王に登りつめていく。ボサノヴァが聴きたくなったらまずはこれを聴かなきゃ。
ブロッサム・ディアリーは、ほかのジャズヴォーカリストとはちょっと違う。ハスキーヴォイスでクールに歌うのが一般的な女性ジャズヴォーカリスト像だが、ブロッサムのウィスパーヴォイスは、キュート、スウィート、コケティッシュだ。なにせブロッサム(花)・ディアリー(親愛なる人)という名前が本名なのだから、名は体を表すとはこのことだろう。代表作「Blossom Dearie」をはじめ、とにかく聴いていると幸せな気分になるのがブロッサムだ。
ペギー・リーは、20世紀前半に一世を風靡したスウィングジャズの大御所ベニー・グッドマンのバンドの出身だ。「Black Coffee」は、そのペギーの代表作だ。ペギーは歌うだけでなく、作詞作曲もやっていて、ディズニー映画の曲も手がけた。このアルバムには収録されていないが、映画「カサブランカ」で使われた「As Time Goes by」も歌っている。多くのシンガーがこの曲を歌っているが、ぼく自身はペギーの歌が一番好きだ。
ヘレン・メリルのハスキーヴォイスは、誰が名付けたかはわからぬが、「ニューヨークのため息」と呼ばれる。何とも絶妙なネーミングだ。代表作「helen merrill」は、トランペッターのクリフォード・ブラウンが参加していて、「You’d Be So Nice to Come Home to」では、ヘレンのハスキーヴォイスとブラウニーの透き通ったトランペットが味わえる。編曲を手がけるのは若かりし頃のクインシー・ジョーンズだ。ヘレンは日本に住んだこともあり、来日回数も多い。いまだ健在だ。
50㎜標準レンズによるぎょしゃ座。50㎜レンズだとぎょしゃ座がちょうどすっぽり収まる。散開星団M38、M36、M37が天の川に沿って並んでいる。その右には、まがたま星雲などの赤い散光星雲も見える。撮影に使用したのはキャノンEF50㎜F1.8レンズだが、周辺にいくにつれ星がゆがんでいる。これはもう、どんなレンズでも大なり小なり持っている弱点だが、カメラレンズの場合は絞ることによってゆがみを小さくすることができる。ただ、あまり絞ると露出時間を増やさなければならないし、そうするとガイドミスが発生しやすくなるというジレンマがある。よく言われるのは、2〜3段階絞るくらいがいいということだ。
2014年1月5日撮影 キャノンEOS60Da+キャノンEF50㎜、露出180秒
美貌のジャズヴォーカリスト ジュリー・ロンドンは、もともとは女優としてデビューしたが、最初はパッとしなかったそうだ。結婚→出産→離婚などもあってジャズヴォーカリストとなり、「Julie is her name」がヒット、その後再び映画にも出演するようになる。ジュリーは声量があまりなかったので、それが結果として「スモーキーヴォイス」と呼ばれる歌い方になったそうだ。代表曲「Cry Me a River」は、ゾクゾクするような名曲だ。
アニタ・オデイ、ジューン・クリスティと並ぶ白人女性ジャズヴォーカリスト御三家の一人、クリス・コナーもまた、クール&ハスキーだ。クリスの代表作「CHRIS CONNOR Sings Lullabys of Birdland」では、ジャズスタンダードナンバーの「バードランドの子守歌」を聴くことができる。この歌はサラ・ヴォーンも歌っているので、聴き比べてみるのもいい。
オリオン座大星雲M42を5分露出で撮影した。中心部はつぶれているが、淡い部分までくっきり写っている。ヘンリー・ドレイパーが初めてオリオン座大星雲の写真を撮影したのは1880年だったが、30㎝屈折望遠鏡で51分の露出時間をかけても、最も明るい部分しか捉えられなかった。それが今では、6㎝の望遠鏡、わずか5分の露出時間でここまで写る。もちろん今はモノクロではなくカラーだ。オリオン座は学術的にも重要な星座であり、関連本もいろいろ刊行されている。中でも、恒星社厚生閣の「オリオン星雲ー星が生まれるところ」はおすすめだ。日本人として初めてスペースシャトルで船外活動を行った宇宙飛行士の土井隆雄氏が監修している。
2014年1月5日撮影 キャノンEOS60Da+ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG、露出301秒
アニタ・オデイ、クリス・コナーと並ぶ白人女性ジャズヴォーカリスト御三家の一人ジューン・クリスティもまた、クール&ハスキーだ。代表作「SOMETHING COOL」は当時かなりヒットしたそうで、ジャズスタンダードナンバーとして有名な「朝日のようにさわやかに」などが収録されている。ジューンは抜群の歌唱力を誇っていたが、アルコール中毒のため活動期間はあまり長くはなかった。ジャズミュージシャンには破滅型の人生を送る人が多いが、彼女もそういうタイプと言えるかも知れない。
エラ・フィッツジェラルド、カーメン・マクレエ、サラ・ヴォーンが黒人女性ジャズヴォーカリスト御三家とすれば、アニタ・オデイ、ジューン・クリスティ、クリス・コナーは白人女性ジャズヴォーカリスト御三家ということになるだろうか。この3人はジャズピアニストのスタン・ケントン率いるバンドの出身で、クール&ハスキーな歌い方が特長だ。代表作「ANITA SINGS THE MOST」でアニタは、オスカー・ピーターソンのピアノともども、すごいスピードで歌いまくる。
パティ・ペイジによって世界的に大ヒットした「テネシーワルツ」は、テネシー州の州歌となり、日本でもたくさんカバーされた。このアルバムには、その「テネシーワルツ」を含むスタンダード曲が収録されている。アメリカのゴールデンエイジと呼ばれる1950年代の雰囲気が濃厚に感じられるアルバムだ。ペイジは1940年代後半から活躍し、21世紀になっても新作を発表するなど、半世紀以上も活動を続けたが、2013年の正月、85歳で死去した。
「レディ・デイ」ビリー・ホリデイの人生は、壮絶だったそうだ。当時の黒人ジャズミュージシャンはみな人種差別と戦わざるを得ない運命にあったが、ホリデイは、病気になった父が人種差別のせいで治療を拒否され、死亡するという経験をしたそうだ。ホリデイの代表曲「奇妙な果実」は、ホリデイの魂の叫びと言っていい。この曲は、とてもBGMとしては聴けない、重い重い曲だ。「Lady in Satin」は、麻薬やアルコール中毒で身も心もボロボロになった晩年の作品だ。このアルバムを録音した翌年、ホリデイは44年間の生涯の幕を閉じる。
かつてテレビ版「宇宙大作戦」と劇場版「スター・トレックⅡ カーンの逆襲」に登場した優性人類カーンが、超人的な力を駆使して宇宙艦隊への復讐を仕掛けるのが「スター・トレック イントゥ・ダークネス」だ。「スター・トレック」シリーズでは、ときどき惑星連邦幹部が裏切り行為を働くことがあり、本作でも実は宇宙艦隊のマーカス提督が真の黒幕だったりする。したがってカーンは、悪役ではあるのだが、その言動には一定の正当性があり、単なる悪者でもない。カーンを演じたベネディクト・カンバーバッチは、カークやスポックといった主役を食ってしまうほどの迫真の演技だ。また、本作のところどころにはオリジナルシリーズのオマージュとも言うべき設定やセリフがあり、トレッキーならニヤリとすることだろう。カークとキャロル・マーカスの関係がどうなっていくかも、トレッキーなら周知の事実だろう。というか、主人公の目の前に美女が現れたらそりゃあ答は明白か。
ピカード艦長らが活躍する「新スター・トレック」シリーズ終了後、テレビシリーズは「ディープ・スペース・ナイン」→「ヴォイジャー」→「エンタープライズ」と進んでいくが、カークらオリジナルメンバーでまったく別の時間軸のストーリーということで制作されたのがJ.J.エイブラムス監督の映画「スター・トレック」だ。主要メンバーはカーク(クリス・パイン)、スポック(ザカリー・クイント)、マッコイ(カール・アーバン)、ウフーラ(ゾーイ・サルダナ)、スコット(サイモン・ペグ)、スールー(ジョン・チョー)、チェコフ(アントン・イェルチン)ということで同じだが、俳優陣は当然一新されている。そして、未来からタイムトラベルでやってきたスポックを、レナード・ニモイが演じている。カークとスポックは後に深い信頼と友情で結ばれるが、本作ではまだそこまでの関係になってない。なってないどころか、スポックがカークを宇宙に放り出すなど、けっこうムチャクチャやってる。そのおかげでカークは未来のスポックに出会うのだが。
ピカード艦長ら「新スター・トレック」のメンバーによる劇場版の最終作が「スター・トレックⅩ ネメシス」だ。惑星連邦やクリンゴンと対立する軍事国家ロミュランの双子星レムスでクーデターが発生、シンゾンという地球人がロミュランの長官に就任する。シンゾンは、なんとピカード艦長のクローンだった。しかし、シンゾンは体はピカードのクローンであっても、心はまったく違う。シンゾンの真の狙いは地球滅亡だった。シンゾンを演じるのは「ダークナイト ライジング」でベインを演じたトム・ハーディーだ。エンタープライズ号は、アンドロイドのデータの捨て身の活躍もあってシンゾンの野望を粉砕、ここに「新スター・トレック」の物語は幕を閉じる。
バクーという牧歌的な惑星を舞台に、バクーを追放されたソーナ人と彼らに騙された惑星連邦幹部の陰謀を暴くエンタープライズ号の活躍を描くのが「スター・トレックⅨ 叛乱」だ。バクー人は中世のような生活を送っているが、実は高度な科学技術力を有しており、惑星の輪から降り注ぐ放射線の影響で何百年も若さを保ち続けているのだった。科学技術力で自らの寿命を延ばそうとするソーナ人と、科学技術が幸せにはつながらないと悟って結果として不老不死を手に入れたバクー人が、対照的に描かれている。それにしても、バクー人女性のアニージに老いらくの恋をした?ピカード艦長が、マンボで踊り出すのはおもしろい。アニージの年齢が300歳以上だと知ってびっくりしてたけど。
北斗七星のすぐ近く、りょうけん座に子持ち銀河M51と呼ばれる銀河がある。きれいな渦巻銀河に伴銀河がくっついていることから、そのように名付けられた。地球から見るとちょうど真上(真下?)から見ていることになるので、渦巻の形がよくわかる。ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が写した写真は実に見事で、HST写真集なんかには必ずといっていいほど登場している。ミニボーグ60EDではほんの小さな画像にしかならないが、それでも渦巻がきれいに写ったのにはわれながら感動した。なにしろアンドロメダ銀河の10倍以上も遠いところにあるのだ。
2014年1月5日撮影 キャノンEOS60Da+ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG、露出180秒
テレビドラマ「新スター・トレック」で惑星連邦最大の脅威として登場したボーグが、再び地球に侵攻、エンタープライズ号が時空を超えてボーグとの戦いに挑むのが「スター・トレックⅧ ファースト・コンタクト」だ。ボーグは圧倒的な科学技術力を誇り、他の星の知的生命体を同化することでさらに進化を遂げていく。ボーグに同化された生命体はサイボーグ化され、個人としての意識を失い、集合体としての単一の意識を持つことになる。かつて惑星連邦がボーグの侵攻を受けた際には、ピカード艦長が同化され、多大な犠牲を出すことになってしまった。エンタープライズ号のクルーは、ボーグが過去にタイムトラベルして地球を同化してしまったため、歴史を元に戻すべくタイムトラベルを敢行する。そして、人類初のワープ飛行と、人類とバルカン人とのファースト・コンタクトを見届けるのだった。
カーク、スポックらが活躍した時代から1世紀後、テレビドラマ「新スター・トレック」のレギュラーメンバーによる劇場版第1作が「スター・トレックⅦ ジェネレーションズ」だ。U.S.S.エンタープライズ号を率いるのはパトリック・スチュワート演じるジャン=リュック・ピカード艦長、ライカー副長やラ=フォージ、アンドロイドのデータ、クリンゴン人のウォーフなどが脇を固めている。物語は、カーク(ウィリアム・シャトナー)が新しいエンタープライズ号の処女航海中に謎のエネルギーリボンが出現、消息を絶つところから始まる。新旧2人のエンタープライズ号の艦長が、時の流れを超えてともに危機に立ち向かい、カークが英雄的な死を遂げるのが見所だ。それにしても、パトリック・スチュワートの英語は発音がすばらしい。
冬の大三角の一角であり、全天一明るい恒星(太陽を除く)でもあるシリウスのすぐそばに、散開星団M41がある。双眼鏡ならシリウスと同じ視野に入るので、すぐに見つけられるだろう。散開星団ではほぼ同時にたくさんの恒星ができるので、年齢はほぼ同じである。しかし、恒星の寿命は質量による(質量が大きいほど寿命は短い)ので、時間が経つと散開星団の中には赤色巨星が増えてくる。M41の中にもちらほら赤色巨星がある。これに対し、誕生してからあまり時間が経ってないプレアデス星団には青白い星が多い。さらに時間が経つと、散開星団はだんだんばらけ、ついには散り散りになってしまう。
2014年1月5日撮影 キャノンEOS60Da+ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG、露出181秒
ロバート・ダウニーJr&ジュード・ロウのコンビによる映画「シャーロック・ホームズ」の続編。ホームズの宿敵モリアーティ教授との戦いを描く。前作よりさらにハデなアクション満載だ。スウェーデンのヒット作「ミレニアム」シリーズでリスベット・サランデルを演じたノオミ・ラパスが、ジプシーの占い師として重要な役割を演じる。これに対して、アイリーン・アドラーはあっけなく殺されてしまったようで、ちょっと気の毒だ。モリアーティ教授はスイス・ライヘンバッハの和平会議で要人を暗殺し、世界大戦を勃発させようと企んでいて、ホームズがこれを間一髪のところで阻止する。クライマックスシーンはライヘンバッハの滝でのホームズとモリアーティ教授の戦いだ。当然、ホームズは原作どおり生還するので心配ご無用だ。
コナン・ドイルの原作と同じ19世紀末を舞台に、大胆に設定を変更してホームズ譚をアクション映画に仕立て上げたのが2009年の映画「シャーロック・ホームズ」だ。ホームズを演じるのは「アイアンマン」ロバート・ダウニーJr、ワトソンを演じるのはジュード・ロウ、悪役のブラックウッド卿を演じるマーク・ストロングは「裏切りのサーカス」にも出演している。最初からオカルト映画のようなおどろおどろしいムードが続くが、ブラックウッド卿の魔術(トリック)をホームズが見破っていく展開は見物だ。ホームズの宿敵モリアーティ教授も登場しており、続編につながるようになっている。
イギリスBBC制作、ベネディクト・カンバーバッチ主演の「SHERLOCK シャーロック」は、シャーロック・ホームズが21世紀を舞台に活躍するテレビドラマだ。イギリスでは大ヒットしたようだが、ホームズの熱烈なファン「シャーロキアン」もびっくりのおもしろさだ。ホームズと言えばやはり今は亡きジェレミー・ブレットを思い浮かべる人が多いだろうが、21世紀のホームズとなるとカンバーバッチみたいな男の方が似合うのかもしれない。ジョン・ワトソンをはじめマイクロフト・ホームズやジム・モリアーティ、アイリーン・アドラー、レストレード警部、ハドソン夫人などおなじみのメンバーも、原作とはちょっと違う、21世紀型となって登場している。2010年にシリーズ1・3話、2012年にシリーズ2・3話が放送され、イギリスでは今まさにシリーズ3を放送しているところだ。
クラシックを聴き始めようと思ったとき、CDショップでまず戸惑ったのが、たくさんあるけどどれから聴けばいいんだ?ということだった。まあ初心者はコンピレーションアルバムを選べばいいだろうし、カラヤンという名前はクラシックどシロートのぼくでも知っていたので、まずはこれにした。有名曲が多いので、クラシック入門用にはいいと思う。ついで、クラシック解説本を物色していたら、ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんの本がおもしろそうだったので、これに出てくる有名盤から買いそろえていった。なんかでも、高嶋ちさ子さんってかなり激しい性格のようで、東京新聞で連載中の「子育て日記」を読んでもけっこうすごい。
ルービンシュタインによるショパン名曲集。ショパンというと、病弱で若くしてこの世を去った悲劇の音楽家であり、フランスの女流作家ジョルジュ・サンドとの愛の遍歴も有名だ。楽器が演奏できるというのはかっこいいもので、実際に間近で見るとおお〜っと感心してしまう。かつて、知人女性の結婚パーティーで、新郎がショパンの幻想即興曲を弾いたときは本当にたまげた。ぼくも前からヤマハ音楽教室にでも通おうかなと思っているが、ピアノもいいし、トランペットもいいし、サックスもいいし、ヴァイオリンやチェロもいいし・・・というわけで、いまだに実現していない。まあ聴く方専門だね。
チェロの音域というのは人の声に近いそうだ。低く落ち着いた音というのは、聴いていて安らぎを覚えるのだろう。テレビの女性アナウンサーを見ていても、そういう声の持ち主というのは非常に聴きやすい。ニュース速報!などという場合は、別のタイプの方がいいのかもしれないが。バッハの無伴奏チェロ組曲は、チェロの分野を代表的する曲だ。まあとにかく音楽の父バッハである。膨大な曲があり、とても全部は聴ききれない。「G線上のアリア」のように、元の曲を編曲して有名になったものもある。この曲を好きな人は多いだろうが、ぼくも大好きである。自分の葬儀には是非この曲をかけてもらおう。あと、フランク・シナトラの「My Way」も。
ドヴォルザークの代表作交響曲第9番《新世界より》は、チェコ出身のドヴォルザークが、ニューヨークに招かれてまもなく作曲した曲だ。第2楽章は日本でも「家路」として有名だし、第4楽章の勇壮な主題も有名だろう。ドヴォルザークは熱心な鉄道ファンだったそうで、よく汽車を見に出かけていたそうだ。現代に生きていたら、「撮り鉄(録り鉄)」になっていたのはまちがいない。
ぎょしゃ座は冬の天の川のまっただ中にあり、オリオン座を筆頭とする他の冬の星座にも引けを取らないほど星雲星団が多い。この写真に写っている2つの散光星雲は、IC405とIC410という番号がついていて、IC405はその形から「まがたま星雲」と呼ばれている。全体としては赤い星雲だが、まがたま星雲を輝かせている明るい星のすぐそばは青く輝いていて、この写真でもそれがわかる。この中心星は、もともとはオリオン座の星々と同じところで誕生した可能性があるそうだ。なお、この日は雪の上に三脚を置いたせいか、またはモータードライブのギアの噛み合わせが悪かったせいか、赤道儀の追尾精度が悪く、拡大するとわかるが、星が点像ではなくまがたまのようになってしまった。
2014年1月2日撮影 キャノンEOS60Da+ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG、露出301秒
天才メンデルスゾーンの美しいヴァイオリン協奏曲(通称メンコン)を、これまた天才アンネ=ゾフィ・ムターが巨匠カラヤンと組んで演奏したアルバム。ムターはこのときまだ10代だったのかな。いやはやすごい。ムターはルックスも抜群なので、ヴァイオリンの女王などとも言われている。実際ぼくもジャケット写真に惹かれて何枚かムターのアルバムを買ってしまった。まあそういう買い方もたまにはあるだろう。
何度も登場しているおうし座のプレアデス星団M45(すばる)。「プレアデス」という名前は、ギリシャ神話に登場するプレイアデス7姉妹が由来となっている。プレアデス星団の主要な9つの星には、プレイアデス7姉妹の名前と、両親の名前がつけられている。この写真でいうと、ほぼ中央左寄りの星が四女のアルキオネ、そこから反時計回りにガスがかかっている七女のメローペ、次女のエレクトラ、長女のマイア、エレクトラとマイアの間のちょっと外にあるのが五女のケラエノ、そこから反時計回りに三女のタイゲタ、六女のアステローペとなっている。アルキオネの左の2つの星が両親、アトラスとプレイオネだ。こんなふうに名前が付けられるということは、大昔から目立っていたということで、冬の星空の中でもひときわ輝く存在だ。
2013年12月31日撮影 キャノンEOS60Da+ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG、露出180秒
ベートーヴェン・交響曲第5番《運命》といえば、これはもう知らない人がいない超有名曲だろう。とはいえ、ぼくも長年第1楽章しか聴いたことがなかった。というか、交響曲が第4楽章まであるのを知ったのは割と最近、クラシックを聴き始めてからだったりする。最初の「ダ・ダ・ダ・ダーン」という4つの音について、ベートーヴェンは「このように運命はドアをたたく」と述べたそうだ。まさに運命的な運命のドアのたたき方だ。交響曲第6番《田園》は、第5楽章まであって、ベートーヴェン自身により「田舎に着いた時の晴れ晴れとした気分の目覚め」などと標題がつけられている。ベートーヴェンは田舎が好きだったそうで、同じ田舎好きのぼくとしては共感できる。
星雲星団銀河には、メシエカタログやNGCカタログなどの番号で呼ばれるものと、特別に名前で呼ばれるものがある。20世紀になって写真術が発達してからは、望遠鏡による眼視ではぼんやりとしかわからない形もはっきりとわかるようになったので、ときどき変てこな名前の星雲も登場する。モンキー星雲は、その名のとおり猿の横顔に見えることから名付けられた。この写真でそれがわかるだろうか。モンキー星雲はオリオン座にあるが、それよりもふたご座の散開星団M35の近くと言った方がいいだろう。100㎜程度の望遠レンズなら同じ構図に収まる。双眼鏡でも何となくわかるということだが、ちょっと難しいかも。
2013年12月30日撮影 キャノンEOS60Da+ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG、露出301秒
こちらはヨハン・シュトラウスとは別の家系のリヒャルト・シュトラウスの代表曲。ニーチェの同名の著書からインスピレーションを得て作曲したそうだ。これも映画「2001年宇宙の旅」で使われている。「2001年宇宙の旅」の冒頭の長いシーンは、解説がないのでわかりにくいかもしれないが、約400万年前のアフリカで、謎の物体モノリスによって、1匹のヒトザルが人類への進化の第一歩を踏み出すという壮大な話だ。生命の誕生から人類の登場まで、実に気の遠くなるような時間がかかっているのだ。この分野のことに興味があれば是非、リチャード・ドーキンスの「祖先の物語ードーキンスの生命史」を読むことをおすすめする。
NHK Eテレでウィーン・フィル ニューイヤーコンサートを生中継していた。このコンサートでは、シュトラウスのワルツやポルカが演奏されるそうだ。シュトラウスといってもヨハン・シュトラウスだけで3人いて、しかもリヒャルト・シュトラウスという別の家系の人までいるから、ややこしいが、とにかくすごい音楽一家だ。ヨハン・シュトラウス(2世)の代表曲は何と言っても「美しく青きドナウ」だろう。映画「2001年宇宙の旅」では、リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」とともに非常に印象的に使われている。それにしても、ウィーン・フィル ニューイヤーコンサートって華やかだなぁ。
おうし座のかに星雲は、M1という番号が振られている。これは、18世紀のフランスの彗星観測者シャルル・メシエが、彗星と紛らわしい天体をカタログにまとめたもので、メシエカタログと呼ばれている。かに星雲はメシエカタログの栄えある一番というわけだ。このほかによく使われるものには、NGCやICなどがある。昔、望遠鏡で観測したら、かにの足みたいだということでこう名付けられたが、日本では「佐渡島星雲」と呼んだ方がいいかもしれない。かに星雲は1054年に出現した超新星の残骸で、今も猛スピードで広がっている。現在、元素の周期表には118の元素が記載されているが、このうち水素とヘリウム、リチウムはビッグバンで生成され、それより重い元素は恒星内部での核融合か超新星爆発で合成されたと考えられている。これらの元素は、超新星爆発によって宇宙空間にばらまかれ、次世代の星の材料となる。人間の体の中にあるいろいろな元素も、こうしてできたのだ。
2013年12月30日撮影 キャノンEOS60Da+ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG、露出301秒
イギリスの作家H・G・ウェルズの「宇宙戦争」は、SF小説の古典的名作だ。オーソン・ウェルズによりアメリカでラジオドラマとして放送された際には、本当に火星人が地球に来襲したと勘違いした聴衆により、パニックが発生したという都市伝説まで残っている。当然映画化され、1953年の「宇宙戦争」は今でもSF映画の古典的作品として扱われている。これをスティーヴン・スピルバーグがリメイクしたのがトム・クルーズ主演の「宇宙戦争」だ。なにせ半世紀ぶりにリメイクされた映画のため、特撮技術は比較にならないほど進歩している。クルーズ演じる主人公は、いつものかっこいい役柄ではなく、ダメ親父もいいところだ。火星人の攻撃にまったくなすすべもなく、とにかくひたすら逃げ回る。結局、火星人が地球の微生物にやられ、全滅することによって地球は救われる。ウェルズのSF小説は後世に多大な影響を与えており、代表作「タイムマシン」も2度映画化されている。