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彗星界のスーパースター、ハレー彗星は太陽の回りを約75年で回る周期彗星で、紀元前から観測されている。イギリスの天文学者エドモンド・ハレーは、アイザック・ニュートンと同じ17〜18世紀に生きた人物だが、過去の彗星の軌道を調べ、約75年の周期で太陽を回る大彗星の存在を指摘した。そして1758年、ハレーの予言どおり、この大彗星が出現したのだった。残念ながらこのときハレーはすでに死去していたが、この大彗星は「ハレー彗星」と呼ばれることになった。ハレー彗星は1910年にも地球に近づき、大騒ぎとなったが、1986年春に帰ってきたときは地球との位置関係が悪く、あまり明るくならなかった。当時九十九里海岸まで見に行ったが、残念ながら雄大な姿を見ることはできなかった。次回は2061年だ。
AstroArts 思い出の彗星フォトコンテスト「ハレー彗星」
クリストファー・ノーラン監督による新「バットマン」シリーズ第1作である。幼い頃、両親を目の前で強盗に殺されたブルース・ウェインが、いかにしてバットマンになるかが描かれる。ゴッサム・シティを出て世界各地を放浪するブルース(クリスチャン・ベール)は、ヘンリー・デュカードという男によってヒマラヤに導かれ、ラーズ・アル・グール率いる「影の同盟」で厳しい修行を積む。そして、「影の同盟」と決裂したブルースはゴッサム・シティに戻り、悪と戦うため、試行錯誤しながらバットマンへの変身を果たしていく。しかし、そのバットマンの前に立ちふさがるのが、デュカード率いる「影の同盟」だった。デュカードこそ真のラーズ・アル・グールだったのだ。デュカードを演じるのはリーアム・ニーソン、そしてラーズ・アル・グール(影武者)を演じるのは渡辺謙だ。ウェイン家の忠実な執事アルフレッドはマイケル・ケイン、ゴッサム市警のゴードンはゲイリー・オールドマン、ウェイン・エンタープライズ応用科学部のフォックスはモーガン・フリーマンが演じている。豪華俳優陣だ。1989年の「バットマン」もおもしろかったが、21世紀の映画だけあって特撮技術が進化しており、非常に迫力のある映画となっている。
1976年春に美しい姿を見せたウェスト彗星は、デンマークの天文学者ウェスト氏がチリの天文台で発見した。近日点通過(太陽最接近)後はマイナス2等級の明るさになったほか、核が4個に分裂したため、無数の筋が見える美しい姿になった。池谷・関彗星、ベネット彗星、ウェスト彗星の3つは、ぼくがまだ天文少年になる前のことなので、見た記憶はない。残念。
AstroArts 思い出の彗星フォトコンテスト「ウェスト彗星」
「バットマン フォーエヴァー」の続編、「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」で、1989年の「バットマン」から続くシリーズはいったん一区切りとなる。スーパーヴィランのMr.フリーズにアーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウェイン=バットマンにジョージ・クルーニーという豪華キャストだったが、評価はボロボロだったそうだ。バットマンの宿敵ベインも登場するが、本作では単なるポイズン・アイビーの手下で、見せ場はほとんどない。Mr.フリーズは悪役なのだが、実は不治の病の妻の治療方法を確立したいと願望しており、最後は改心する。同じ病にかかって危篤に陥ったアルフレッドが、Mr.フリーズが開発した薬で快復し、めでたしめでたしとなる。ポイズン・アイビーによって仲間割れしたバットマンとロビンも仲直りし、めでたしめでたしとなる。本作公開の8年後、クリストファー・ノーラン監督の「バットマン ビギンズ」により、新たなシリーズが始まることになる。
1970年春に明るくなったベネット彗星は、南アフリカのベネット氏が発見した彗星だ。地球最接近時には金星並のマイナス3等級になり、その後も1年くらい観測できたそうだ。尾はそんなに伸びなかったが、とにかく明るく、20世紀で最も明るくなった彗星の一つだ。
AstroArts あの人が選ぶ思い出の彗星 藤井旭さん「ベネット彗星」
「バットマン リターンズ」の続編「バットマン フォーエヴァー」では、監督が替わり、ブルース・ウェイン=バットマンもヴァル・キルマーに替わった。本作では、バットマンの宿敵トゥーフェイスとリドラーに加え、バットマンのパートナー、ロビンも初登場する。トゥーフェイスはもともとは地方検事のハーヴェイ・デントだったが、ギャングのボスの公判中に硫酸を浴びせられ、顔の半分が焼けただれると同時に精神に異常を来し、バットマンを執拗につけ狙っていた。ハーヴェイ・デントは前々作「バットマン」にも出ていたが、これはトゥーフェイスになる前のことだ。本作でトゥーフェイスを演じたのはトミー・リー・ジョーンズだが、「メン・イン・ブラック」の無口なエージェントKとは別人のように笑いまくり、しゃべりまくりだ。リドラーを演じたのは主にコメディ映画に出ているジム・キャリーだが、キャリーはダーティーハリー5ではドラッグ中毒のロック歌手を演じていた。ブルースがバットマンとの二重人格に悩み、相談する女性精神科医はニコール・キッドマンが演じているが、ブルースが惹かれるのは当然だろう。息をのむ美しさだ。
太陽・太陽圏観測衛星SOHOの広視野コロナグラフLASCOの視野にアイソン彗星が現れた。いよいよだ。
1965年秋に雄大な姿を見せた池谷・関彗星は、2人の日本人コメット・ハンター、池谷薫氏と関勉氏が発見した彗星だ。池谷・関彗星は、太陽をかすめるような軌道を通る彗星「サングレーザー」のうち、クロイツ群と呼ばれる一群の彗星の一つだった。近日点通過(太陽最接近)時には満月よりも明るくなったそうだ。もちろん太陽のすぐそばでの話だが。近日点通過後は明け方の空に雄大な尾を見せた。アイソン彗星もサングレーザーなので、池谷・関彗星のようになるといいなぁと思う。
AstroArts あの人が選ぶ思い出の彗星 関勉さん「池谷・関彗星」
秋葉原の天文ショップ、スターベースに行ったら、ミニボーグ60ED対物レンズがあった。このところずっと買おうかなと思っていたものなのだが、メーカー在庫がなく、11月下旬とかいう入荷を待っていた。スターベースで売ってたものは、まだ売れ残っていたものなのだろう。スターベースにはたまに行くが、見落としてたんだな。というわけで、早速購入。アイソン彗星の撮影に使うかどうかはわからない(広角レンズじゃないと収まらないくらい長い尾を引くと期待)が、これまでの主力機ミニボーグ45EDⅡより強力なので、星雲星団銀河の撮影に活躍してもらおう。一般的に、望遠鏡は口径が大きく、F(焦点距離f/口径)が小さいほど写真撮影に向いている。ただし、当然価格は高くなるが。カメラレンズも同じで、例えばキャノンのEFレンズの場合、同じf50㎜でもF1.8が12,600円なのに対し、F1.4が58,275円、F1.2が194,250円とすんごく高くなる。
45EDⅡと60EDとの比較
口径 焦点距離f F レデューサー0.85×DG使用時
45㎜ f325㎜ F7.2 f276㎜ F6.1
60㎜ f350㎜ F5.8 f298㎜ F5
「バットマン」の続編「バットマン リターンズ」では、引き続きマイケルキートンがブルース・ウェイン=バットマンを演じている。本作では、スーパーヴィランとしてペンギンが登場、ペンギンと手を結びゴッサム・シティを支配しようと企むマックス・シュレックをクリストファー・ウォーケンが演じている。さらには、セリーナ・カイル=キャットウーマンが登場、バットマンと戦う一方でお互いに惹かれ合っていく。ペンギンは奇形児として生まれたため、実の両親によって下水道に捨てられ、ペンギンに育てられるという不幸な生い立ちを背負っていた。そういうキャラクター設定もあり、全体を通じておどろおどろしい、暗〜いムードが続く。ティム・バートン監督お得意の奇人変人キャラクター大集合という感じだ。
国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の若田光一宇宙飛行士が、宇宙からアイソン彗星を捉えた。12月4日のNHKスペシャルでISSから生中継をするそうなので、必見だ。
アイソン彗星がどういうふうに見えるか、12月7日早朝を例にとってみよう。以下、実際の時刻は数分ずれているかもしれないが、だいたいこんな感じだと思えばいい。東京での日の出は6:36だ。その前に薄明(はくめい)というのがある。薄明には、戸外での作業に差し支えない程度の明るさで1等星が見える市民薄明(または常用薄明)、海上で水平線が認められる状態で多くの星が見えるようになる航海薄明、空はほとんど完全に暗くなり肉眼で6等星まで見え天文観測ができる天文薄明の3種類がある。日の出前はこれが逆の順番で起きる。12月7日の天文薄明開始時は5:06だ。薄明の継続時間は緯度や季節によって異なるが、日本だとだいたい1時間30分くらいだ。このうち、天文薄明が30分、航海薄明が30分、市民薄明が30分だと思えばいい。となると、空が白み始めるのは5:30くらいだ。一方、アイソン彗星は4:56にほぼ真東の方向から昇ってくる。したがって勝負は5時からのわずか30分だが、その前に尾が先に昇っているはずなので、これも見逃さないようにしたい。尾は左上に伸びているはずだが、長さがどの程度のものかはまだわからない。太陽最接近後には太陽観測衛星による観測などである程度の目星はついているだろう。
国立天文台アイソン彗星情報
天文ガイドアイソン彗星情報
AstroArtsアイソン彗星情報
ティム・バートン監督による1989年の映画「バットマン」は、悪がはびこるゴッサム・シティに夜な夜な姿を現し、悪漢どもに対し私刑を執行していく正体不明のヒーロー、バットマンの活躍を描く。バットマンというキャラクターが登場したのは1939年と古く、コミックやテレビドラマ、映画などたくさんの作品が制作されているので、キャラクター設定もほぼ固まっている。バットマンの正体は、ゴッサムの大企業ウェイン・エンタープライズの筆頭株主であるブルース・ウェインだ。ブルースは幼い頃に両親を目の前で強盗に射殺され、悪と戦うため世界各地で修行を積み、バットマンに変身した。ウェイン家には忠実な執事アルフレッドがいて、ブルースの身の回りの世話からバットマンの装備の製作・メンテナンスまで担当している。本作ではブルース・ウェイン=バットマン役としてマイケル・キートンが出演、本作から「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」までアルフレッド役としてマイケル・ガフが出演している。スーパーヴィラン(悪役)として登場するのは、バットマンの宿敵ジョーカーだ。ジョーカー役のジャック・ニコルソンはまさにはまり役という感じだ。その他、ブルースと恋仲になる女性カメラマンをキム・ベイシンガーが、地方検事ハーヴェイ・デントをビリー・ディー・ウィリアムズが演じている。
アイソン彗星がどんどん太陽に近づいている。今は明け方の低空に見られるが。あと数日もすれば太陽に近すぎて見るのが難しくなる。まあしかし、今は21世紀だ。科学技術の進歩のおかげで、眼視では困難な太陽をかすめるアイソン彗星の姿を、人工衛星搭載のカメラで見ることができる。27日頃から12月1日頃にかけて、欧州宇宙機関(ESA)とNASAが打ち上げた太陽・太陽圏観測衛星SOHOの広視野コロナグラフLASCOの視野にアイソン彗星が捉えられるので、必見だ。SOHOはこれまでに2000個もの彗星を発見しており、太陽をかすめる彗星「サングレーザー」が、実はかなり多いことがわかっている。このうちサイズが大きく、太陽や地球との位置関係で見やすいものが、コメット・ハンターによって発見されることになるわけだ。
今から50年前の1963年11月22日、アメリカ合衆国第35代大統領ジョン・フィッツジェラルド・ケネディがテキサス州ダラスで暗殺された。オリバー・ストーン監督、ケヴィン・コスナー主演の「JFK」は、大統領暗殺の真相に迫ろうとする圧倒的迫力の映画だ。おそらくは何らかの陰謀があったのだろうが、真相はさておき、アメリカ政府は証拠物件の公開を事件から76年後の2039年まで制限している。すでに多くの証拠が紛失したと言われているが、それでも76年後には公開するというのだから、何だかんだ言っても「自由と民主主義の国」だ。特定秘密とか称して政府に都合の悪い情報を永遠に公開しなくてもすむような法律をつくろうとする国が、果たして本当に「自由と民主主義の国」と言えるのだろうか?
今朝、早起きしてアイソン彗星を探したが、都心からだとまだよくわからない。8×36双眼鏡で見えたかな?という感じだ。もうちょっと本格的に双眼鏡で星を見るならば、口径40㎜以上、できれば50㎜クラスの双眼鏡がほしい。これはもう製造してないが、タカハシのアストロノーマー7×50だ。30年以上オーバーホールなしで使っている。このクラスになるとかなり重いので、手持ちで長時間見るのはつらい。三脚に固定して見ると疲れないし、星がピタッと止まるのですばらしくよく見える。その他、今ほしいなぁ〜と思っているのが五藤テレスコープのスタークルーズ842(8×42)だが、大人気ですぐに完売してしまった。いずれにしても、いいものを買うと一生使える。
本家イーオン・プロダクションズの007シリーズではない、007番外編のコメディ映画が1967年公開の「カジノ・ロワイヤル」だ。ストーリーはハチャメチャで、なんだかよくわからない。しかし、まず音楽がいい。手がけたのはバート・バカラックだ。バカラックの代表曲の一つ「The Look of Love」は実はこの映画の主題歌だ。それに、デヴィッド・ニーヴンやオーソン・ウェルズ、ピーター・セラーズやウディ・アレンなど俳優陣も豪華だ。本家007「ドクター・ノオ」のハニー・ライダーを演じたウルスラ・アンドレスもヴェスパー・リンド役で出演している。本作が後に、007のパロディ映画「オースティン・パワーズ」につながっていくと言っていいだろう。
アイソン彗星を観測するには、双眼鏡がいい。太陽最接近前後は肉眼でも見えると予想されているが、薄明の中、しかも超低空なので、双眼鏡があるとないとでは大違いだ。双眼鏡はピンからキリまでいろいろあるが、天文ショップで売っているものならばだいたいOKだ。ぼくは双眼鏡を3台持っているが、これは一番お手軽なニコン モナーク8×36だ。8×36というのは、倍率8倍で口径36㎜という意味だ。軽いので持ち運びも楽だし、何より手持ちでもそんなに疲れない。ただ、口径36㎜だと天体観測用にはちょっと力不足なので、40㎜クラスのほうがいいことはいい。
本家イーオン・プロダクションズがロジャー・ムーアの「オクトパシー」を公開した1983年、ショーン・コネリーをカムバックさせて制作された007番外編が「ネバーセイ・ネバーアゲイン」だ。ストーリーは「サンダーボール作戦」と同じであり、こちらもなかなかおもしろい。ドミノを演じるのはキム・ベイシンガーで、本家007シリーズのボンドガールにも負けない美しさだ。また、ボンドに協力する(というか、足を引っ張る)マヌケなイギリス大使館員をMr.ビーンのローワン・アトキンソンが演じている。アトキンソンはこの映画に出演したからか、後に007のパロディ映画「ジョニー・イングリッシュ」でマヌケなスパイを演じている。ジョニー・イングリッシュが所属する組織は、MI7というそうだ。音楽はミシェル・ルグランが担当しており、なかなかおしゃれだ。
007第23作「スカイフォール」は、1995年公開の「ゴールデンアイ」以来Mを演じてきたジュディ・デンチにとって、最後のボンド映画となった。MI6は、各国のテロ組織に潜入するNATO工作員のリストを奪われ、犯人を追うボンドを誤射して犯人を取り逃がすという大失態を犯す。しかも、Mの目の前でMI6本部が爆破され、殉職者まで出してしまう。イギリス政府の情報国防委員会のギャレス・マロリー(レイフ・ファインズ)からは勇退を勧告され、議会の公聴会でも「アナタたちスパイなんてもう時代遅れなんじゃない?」とばかりに女性大臣の厳しい追及を受けたりする(イギリス版事業仕分けか)。しかし、当然そんなことに屈するMではない。本作の敵は、Mのかつての部下、ラウル・シルヴァという男だ。かなり有能な部下だったようだが、Mに切り捨てられたことを恨み、復讐に執念を燃やしていた。しかし、最後はMに一緒に死のうと言うあたり、なかなか理解しがたい屈折した性格になってしまったようだ。ボンドとMはボンドの生家、スカイフォールでシルヴァと戦うが、ボンドの生家や生い立ちが映画の中で明らかになるのは初めてだ。Mの死後、MI6でのシーンは長年のファンには感涙ものだ。ナオミ・ハリス演じるイヴがマネーペニーであったことが判明し、マロリーが新たなMに就任する。Mの部屋のインテリアやドアの雰囲気も、バーナード・リーがMを演じていた当時とそっくりだ。一方、デジタル時代になったためか、Qはいかにもという感じの若者になって復活する。次回作が楽しみだ。
まもなく太陽最接近を迎えるアイソン彗星だが、別の彗星が明るくなっている。オーストラリアのコメットハンター、ラブジョイ氏が今年9月に発見したラブジョイ彗星だ。ラブジョイ氏が2011年に発見した同名の彗星は、残念ながら北半球では見られなかったが、太陽をかすめるように通り過ぎ、大彗星となった。このように太陽をかすめる彗星は「サングレーザー」と呼ばれ、1965年の池谷・関彗星などクロイツ群の彗星が有名だ。クロイツ群はもともと一つの大彗星だったが、分裂して小さな彗星がたくさんできたと考えられている。なので軌道はほとんど同じだ。今回のラブジョイ彗星は、金星軌道のちょっと外側くらいまでしか太陽に接近しないため、あまり明るくなることはないと予想されているが、それでも肉眼で見えるくらいにはなるから、アイソン彗星とともに楽しめるだろう。アイソン彗星よりもずっと見やすい位置にあるので、アイソン彗星撮影の練習にもなる。
ペアスロープが一時「TOKYO LOOP SEVEN 318」というブランド名でライディングウェアを作っていたとき、スタジアムジャンパーもラインアップされていた。これはSー7Aアームレザースタジアムというモデルで、レザージャケットと比べると非常に着やすいので、街着にも使える。ブランド名の由来は、東京都道318号環状7号線からきている。ぼくも環7沿いに住んでいたので、環7というのはちょっと地元意識がある。さらに昔は、山手通り沿いに住んでいたこともあるが、山手通りは東京都道317号線だ。中原理恵の「東京ららばい」には、「午前6時の山の手通り」という歌詞があるが、これはどの辺だったんだろうか。
007シリーズ第22作「慰めの報酬」は、前作「カジノ・ロワイヤル」のラストで逮捕したミスター・ホワイトを連行するところから始まる。このカーチェイスはなかなか派手だ。アストン・マーチンDBSが見るも無惨にボロボロになる。MI6の秘密基地でMとともにミスター・ホワイトを尋問するボンドだが、なんとMのボディガードが裏切り、取り逃がしてしまう。Mのボディガードとして手下を潜入させるあたり、謎の犯罪組織の力はなかなかのようだ。しかし、今回の敵ドミニク・グリーンはちょっと小物って感じだが。ボンドに協力するボリビアの女スパイ、カミーユは、オルガ・キュリレンコが演じた。カミーユは、ボリビアでクーデターを企むメドラーノ将軍に目の前で家族を殺され、復讐のためグリーンに近づいていたのだ。カミーユの復讐に協力し、グリーンを捕らえ、謎の組織の情報を聞き出したボンドは、「カジノ・ロワイヤル」でヴェスパーを騙し、裏切り者に転落させた張本人をみつけ、逮捕する。ヴェスパーを死に追いやった憎き男であっても、冷静に仕事に徹するあたり、ボンドは真のプロフェッショナルになったということだろう。グリーンと戦うホテルはチリのアタカマ砂漠というところにあり、ここには日本をはじめ世界各国の天文台が建設されている。一度は南半球の星空を見てみたいものだ。
すばる望遠鏡がアイソン彗星の姿を捉えた。
クシタニのサーパスメッシュジャケットは、一般的な黒いレザーと比べて表面の温度上昇を約70%に抑えられるクールシステムレザーとやらを使ったフルメッシュレザージャケットだ。走り出すと確かに風通しはいい。しかし、本州の猛暑の中では、いくらメッシュジャケットを着たところで、暑いものは暑い。そもそも最近は、猛暑の7〜9月はほとんどバイクに乗らなくなった。というわけで、すっかり出番がなくなった不幸なジャケットだ。
007シリーズ第21作「カジノ・ロワイヤル」からはいよいよ第6代目ジェームズ・ボンド=ダニエル・クレイグが登場する。「カジノ・ロワイヤル」はもともとイアン・フレミングの小説007シリーズの第1作であり、1967年にも映画されたことがあった。冒頭ではMI6の裏切り者を始末し、00(ダブルオー)要員として「殺しの許可証」を得るまでの経緯が手短に描かれている。体を張ったシーンが多く、洗練されたブロスナン=ボンドに対し、無骨なクレイグ=ボンドという印象だ。Mは引き続きジュディ・デンチが演じ、若くてまだちょっと未熟なボンドを厳しく指導する。マネーペニーやQはまだ登場しない。謎の犯罪組織のメンバーとの戦いが始まるが、どのくらいの力を持っている組織なのかはまだわからない。ボンドが本気になる(そして裏切られる)イギリス財務省のヴェスパー・リンドは、フランスの女優エヴァ・グリーンが演じている。ボンドを裏切った代償として自ら死を選ぶシーンは悲しい。ヴェスパーの死を乗り越え、ブリオーニのスーツに身を包んだボンドは、一回りも二回りも成長したように見える。それにしても、ボンドの協力者なのに、裏切り者と思われてMI6の拷問を受けるルネ・マティスは気の毒に。スパイの世界は非情だ。
007シリーズ第20作「ダイ・アナザー・デイ」は、ピアース・ブロスナンがボンドを演じた最後の作品だ。北朝鮮が舞台となり、しかも北朝鮮の将軍の息子が悪者とあって、北朝鮮政府が抗議する事態となったそうだ。本作でボンドは、北朝鮮に潜入するも正体がばれ、14ヶ月もの間拷問を受ける。捕虜交換によって解放されたボンドを待ち受けていたのは、MI6の冷たい視線だ。ボンドが拷問によって機密情報をゲロしたと見ていたのだ。身内によって軟禁されそうになったボンドは、仮死状態になったと見せかけて脱走する。香港に上陸したボンドは14ヶ月ぶりに髪を切り、ヒゲを剃るが、とても拷問を受け続けていたとは思えないほど元気だったりする。久しぶりのボランジェもおいしかったろう。それにしても、北朝鮮人が遺伝子組み換え手術でイギリス人に変身するとは、大胆な設定だ。「007は二度死ぬ」でボンドが日本人に化けたのとは隔世の感がある。ボンドに協力するCIAの女スパイはハル・ベリーが、MI6の女スパイのはずが敵に寝返った裏切り者はロザムンド・パイクが演じた。パイクはMr.ビーンことローワン・アトキンソン主演の007パロディ映画「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬」にも出演している。
ここにきてアイソン彗星が急増光しているようだ。望遠レンズや望遠鏡を使ってアイソン彗星を撮影するなら、思い切って頭部をクローズアップするのもいい。アイソン彗星は近日点通過前後に核が分裂する可能性があるので、複雑な構造になるかもしれない。うまく写すことができれば、学術的にも貴重な資料となる。ただ、この時期は彗星の動きが速いので、露出時間を短くするか、彗星本体を追尾するかしなければならない。これくらいマニアックな撮影となると、みなそれぞれ独自の方法を確立しているだろうから、ぼくがあれこれ口を出すこともないが。とにかく、きっと誰かがすばらしい写真を撮影してくれるだろう。
タカハシ スペースボーイ赤道儀+ミニボーグ45EDⅡ+キャノンEOS60Da
007シリーズ第19作「ワールド・イズ・ノット・イナフ」は、ボンド・ガールとしてソフィー・マルソーという大物女優が出演し、しかもマルソー演じるエレクトラ・キングがボンドに容赦なく殺されるという点で、ちょっとシリアスな内容だ。タイトルの「THE WORLD IS NOT ENOUGH」はボンド家の家訓で、「世界だけでは不十分」といった意味だ。何とも欲張りな家系である。石油王キング卿の一人娘エレクトラは、かつてテロリストのレナードに誘拐され、なんとか脱出して生還したのだが、実際にはストックホルム・シンドローム(犯罪被害者が犯人に好意を抱くこと)に陥り、レナードと恋人になっていたのだ。そうとは知らないボンドは、エレクトラを本気で好きになりかける。ついに本性を現したエレクトラは、Mをおびき寄せて監禁し、ボンドを中世の拷問道具で責めたてる。このあたりのマルソーはこわー、という感じだ。昔、「フランスの薬師丸ひろ子」なんて言われたはずなんだけどなぁ。拷問道具から脱出し、エレクトラに銃を向けたボンドは、エレクトラの挑発をよそに、あっけなく射殺してしまう。得意のジョークもなく、実にクールだ。第2作「ロシアより愛をこめて」以来Qを演じたデスモンド・リュウェリンは本作で引退、本作公開直後に交通事故で死去した。
ポータブル赤道儀を使ってアイソン彗星を狙うなら、夜中のうちにしっかり極軸を合わせておく必要がある。微動雲台があると効率的だ。極軸望遠鏡があるモデルの場合、マニュアルをよく読んで事前に練習しておく。極軸望遠鏡がない場合は、正確な極軸合わせはまずムリなので、広角レンズを使うか、露出時間を短時間にするしかない。極軸が合ったと思っても、撮影のたびにチェックしておく。ただし、アイソン彗星を撮影できる時間はごく短時間なので、実際にはいちいちそんなことをやってるヒマはない。不幸にも極軸合わせがうまくいってないときは、広角レンズに交換するか、露出時間を短時間にするか、固定撮影に切り替える。カメラの設定は固定撮影とあまり変わらないが、せっかく赤道儀を使うのだから、記録画質はJPEG+RAWにする。RAW撮影をマスターするとこれまた劇的にきれいな写真が得られる。せっせと画像処理を勉強しよう。それから、長時間カメラを外気にさらすと、レンズに夜露がつくので、その対策が必要だ。昔はカイロをレンズにくくりつけたりしたものだが、今はレンズに巻き付けるヒーターがあるので便利だ。
微動雲台
KーASTEC 極軸高度・方位調整装置XY50
タカハシ AZ微動ステージ
トミーテック 片持ちフォーク式赤道儀(微動雲台)
レンズヒーター
横田富美夫氏の夜露防止ヒーター
ジムケンドリック ヒーター(別途コントローラーあり)
007シリーズ第18作「トゥモロー・ネバー・ダイ」では、ボンドがロシア国境の山岳地で開催された武器取引マーケットに潜入、1人で商品の武器を破壊しまくり、商品の戦闘機を奪取して空中戦の腕前まで披露する。ボンドの敵はイギリスと中国の間に戦争を起こそうと企むメディア王エリオット・カーヴァーだ。カーヴァーは単にニュースを報道するのには飽き足らず、自らニュースを作り出そうと、密かにステルス艦を建造していたのだ。ボンドと協力してカーヴァーを追う中国の女スパイ、ウェイ・リンは、最近アウンサンスーチーを演じたミシェール・ヨーだ。「私を愛したスパイ」のトリプルXことアマソワにしろリンにしろ、ボンド映画に登場する女スパイはときにボンドを出し抜くこともある。本作も前作同様アクションシーン満載で、BMWのR1200Cを使ったバイクアクションは特にすごい。モトクロッサーじゃなくクルーザーなのに、平気で空を飛んでいく。ボンドの元恋人でカーヴァーの妻パリスを演じたテリー・ハッチャーは、声がすごくかわいいのだが、撮影中はブロスナンをストーカーしてたそうだ。
アイソン彗星を機にデジタル一眼レフカメラで本格的な天体写真撮影を始めたいのなら、赤道儀を導入するといい。赤道儀があれば、劇的にきれいな写真が得られる。広角〜標準レンズならポータブル赤道儀でもOKだ。望遠鏡による星雲星団銀河のクローズアップ写真の撮影をめざす場合も、最初は広角〜標準レンズから始めるといい。ポータブル赤道儀としては次のようなものがある。ポータブル赤道儀といえども、三脚はしっかりしたものが必要だ。
サイトロンジャパン ナノ・トラッカー
ビクセン ポラリエ
ケンコー スカイメモRS
タカハシ スカイパトロール
トーストテクノロジー TPー2
ユニテック SWATー200
007シリーズ第17作「ゴールデンアイ」からはボンド役としてピアース・ブロスナンが登場する。前作「消されたライセンス」公開後、冷戦が終結しソ連も消滅したため、ボンドの敵はもっぱらテロリストたちになる。MI6のトップ、Mは女性となり、ジュディ・デンチが務めることになった。デンチは昨年公開の第23作「スカイフォール」で殉職するまで、ブロスナンとダニエル・クレイグの2代のボンドを厳しく指導する。ブロスナン=ボンド初登場ということもあってか、サンクトペテルブルク市内(実際はセットだそうだが)を戦車で走り回るなど、アクションシーンはなかなか派手だ。元006で現在は犯罪組織ヤヌスのトップ、アレック・トレヴェルヤンと最後に戦う場所は、映画「コンタクト」にも登場するプエルトリコのアレシボ天文台だ。新時代のボンド映画ということで、ボンドのスーツもロンドンのサヴィル・ロウからイタリアのブリオーニに替わった。ボンド・カーは、プライベート用としてアストンマーチンDB5が登場するが、任務用としてはBMWのZ3ロードスターが使われている。ブロスナン=ボンドは、とにかく涼しい顔をしながら無茶するなぁという感じだ。
デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラがあれば、是非ともアイソン彗星の撮影に挑戦してみるといい。カメラ以外に必要なものは、三脚とレリーズ(リモートスイッチ・リモートコントローラー)だ。基本的な撮影方法はコンパクトデジタルカメラの場合と同じだが、デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラには長時間露光(バルブ)撮影というモードがあり、これを選ぶ。絞りは開放にする。ピント合わせは、オートフォーカスではなくマニュアルフォーカスとし、明るい星で合わせるか、遠くの景色で合わせる。実際にやってみると、これがなかなか難しい。ライブビューが使えれば、明るい星を拡大できるのでラクだ。露出時間は、星を点像に写すため下表を目安にするといい。これ以上の露出時間だと地球の自転により星が円弧状に写ってしまう。それはそれで趣はあるが、アイソン彗星を撮影できる時間はごく限られているので、撮影枚数を稼ぐためにも露出時間は必要最低限がいい。なお、JPEGではなくRAWで撮影すればもっといいのだが、画像処理の勉強が必要になる。
レンズの焦点距離 露出時間
24㎜ 29秒
35㎜ 13秒
50㎜ 9秒
※イメージセンサーがAPSーCサイズの場合
整理すると
○カメラは三脚に固定
○撮影モードは長時間露光(バルブ)、露出時間は上表参照
○ISO感度は最高
○記録画素数は最高
○絞りは開放
○レンズは広角〜標準
○ピント合わせはマニュアルにして明るい星か遠くの景色で
○シャッターはレリーズ使用
007シリーズ第16作「消されたライセンス」では、ボンドが中南米の麻薬王サンチェスと対決する。ボンドはCIAのフェリックス・ライターの結婚式に出席するためフロリダのキーウェストに向かうが、サンチェスがアメリカ領内に姿を現したため、新郎のライターとともにサンチェス逮捕に向かう。セスナで逃げるサンチェスをヘリで釣り上げるシーンは傑作だ。ボンドとライターが教会に向かってスカイダイビングするのもかっこいい。とここまでは幸せいっぱいのライターだが、味方の裏切りによって新妻が殺されたり、自らの足をサメに食いちぎられたりと、不幸な目に遭うことになる。ボンドといえば、これはMI6の任務ではないということでサンチェスへの報復を止められ、MにMI6を辞職すると宣言、「殺しの許可証」を剥奪される。このシーンはヘミングウェイ・ハウスで撮影され、ヘミングウェイのネコたちもたくさん出てくる。サンチェスの手下ダリオを演じた若きベニチオ・デル・トロは、その後アカデミー助演男優賞を受賞し、「チェ 28歳の革命/39歳 別れの手紙」では革命家チェ・ゲバラを演じている。
アイソン彗星を撮影するためには、デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラが必要だが、それらがない場合、コンパクトデジタルカメラで挑戦してみるといい。次のとおり撮影すれば、うまくいく可能性がある。まず、時期は11月29日の近日点通過後、12月上旬の明け方だ。アイソン彗星は日の出前、東から昇るので、東の空が開けている場所を選ぶ。もちろん街明かりが少ないところじゃないと写すのは難しい。カメラは三脚に固定する。撮影モードはオートではなく、長時間露光ができるモードにする。例えば、キャノンIXY410Fだと、長秒時撮影というモードがあり、最長15秒までの長時間露光ができるので、シャッタースピードを15秒にする(ただし空が明るくなってきたら短くしていく)。ISO感度は一番高い数字(IXY410Fだと3200)に、記録画素数は最高にしておく。レンズはあまりズームアップしない方がいい。問題はピント合わせだが、遠くの風景を入れ、そこにピントを合わせるようにする。シャッターを押すときは、ぶれないようにそうっと。セルフタイマーを使うとよりいい。画質が悪いときはISO感度を1600とか800に下げるといい。うまく撮れれば一生の思い出になるだろう。
整理すると
○カメラは三脚に固定
○撮影モードは長時間露光、シャッタースピードは最長
○ISO感度は最高
○記録画素数は最高
○レンズはあまりズームアップしない
○ピント合わせは遠くの景色で
○シャッターはそうっと。セルフタイマーを使うとよりいい
007シリーズ第15作「リビング・デイライツ」からは、ティモシー・ダルトンがボンドを演じる。ダルトンは過去にも2度ボンド役をオファーされたが断ったことがあり、これが3度目のオファーだったという。次作「消されたライセンス」の後しばらくボンド映画が制作されなかったため、ダルトンが出演したのは2作のみにとどまったが、故ダイアナ妃が「最もリアルなジェームズ・ボンド」と述べるなど、ダルトン=ボンドは評価が高い。本作では、旧ソ連のコスコフ将軍から亡命の申し出があり、チェコスロバキアに潜入したボンドが亡命を手引きするなど、東西冷戦時代の雰囲気が色濃く漂う。ソ連のアフガニスタン基地が描かれ、これに抵抗するゲリラ組織ムジャーヒディーンも登場する。ウサマ・ビン・ラーディンもムジャーヒディーン出身だったそうだ。本作公開4年後にはソ連は消滅するので、こういう雰囲気のボンド映画はこれが最後だ。ボンド・ガールのマリアム・ダボは、気の強そうなこれまでのボンド・ガールたちとはちょっと違ったかわいこちゃん系だ。ダボが演じるチェリスト、カーラ・ミロヴィが演奏する曲は、モーツァルトの交響曲第40番とチャイコフスキーのロココ風の主題による変奏曲だ。
007シリーズ第14作「美しき獲物たち」は、ロジャー・ムーアがボンドを演じた最後の作品だ。ムーアは当時57歳になっていて、さすがにアクションシーンはもう限界という感じだった。マネーペニーを演じるロイス・マックスウェルもムーアと一緒に降板した。原題「A VIEW TO A KILL」でいうところの「VIEW」は、飛行船から見たサンフランシスコの風景のことを指している。サンフランシスコの地下で核爆発を起こし、シリコンバレーを水没させてマイクロチップ市場を独占しようと企む実業家マックス・ゾリンを演じたのは、「バットマン リターンズ」にも出演したクリストファー・ウォーケンだ。ウォーケンはエキセントリックな役を演じさせたらピカ一という感じだ。エッフェル塔からパラシュートで飛び降りたり、サンフランシスコの坂道を消防車が疾走したり、ゴールデンゲートブリッジの柱の上で格闘したり、アクションシーンはなかなかすごい。ほとんどがスタントマンだったそうだが。サンフランシスコという街は、「ダーティーハリー」の舞台でもあるが、映画向きだなぁと思う。デュラン・デュランの主題歌もクールだ。
これもペアスロープの製品、Rー77ツアラーコートだ。とにかくガッチリ作ってあり、自立するくらいだ。ライナーを装着すると真冬でもOKだ。10月に道東を走ったときはこれを着ていった。CB1100にも似合うが、BMWのGSアドベンチャーのようなアドベンチャー系バイクにはよく似合うだろう。
007シリーズ第13作「オクトパシー」では、謎の女性サーカス団を率いる女首領オクトパシーがボンドに味方する。オクトパシーの父親はイギリス情報部員だったが、祖国を裏切り行方をくらましていた。それをボンドが捕らえたのだが、24時間の猶予を与えたため、オクトパシーの父は生き恥をさらさずに自決することができたというのだ。オクトパシーはインドの謎の富豪カマル・カーンと宝石の密輸をしていたのだが、カーンと旧ソ連のオルロフ将軍はこれを利用し、米軍基地で核兵器を爆発させようと企んでいた。ロジャー・ムーア時代のボンド映画は、冒頭でボンドが一仕事するのだが、このアクションシーンがなかなかすごい。本作では、ボンドが中南米の某国の将軍に変装して基地に侵入するのだが、バレて捕まってしまう。しかし、うまく切り抜け、トラックに隠してあったアクロスターという超小型ジェット機に乗り、敵のミサイルを航空機の格納庫に自爆させて目的を達する。ガス欠になったアクロスターを道路に着陸させ、ガソリンスタンドで「満タンね」というボンドが実にしゃれている。最後のシーンでは、小型ジェット機の屋根に張り付いたボンドとカーンの手下が空中で格闘する。いつもながら撮影は大変だったろう。
最近のライダースジャケット(繊維製品)は、高機能素材が使われているため、着心地もいいしちょっとした雨ならレインスーツ不要だ。多くのライディングウェアをライナップしているゴールドウインなどは、ほとんどが繊維ジャケットだ。実際ぼくもちょっとした街乗りや雨が予想されるツーリングでは繊維ジャケットを着る。しかし、いくら着心地がちょっと悪かろうと、やはりレザージャケットはライダー永遠の定番だ。これはペアスロープのSTPー90スウィングジャックというモデルだ。ペアスロープは環七の夫婦坂にあって、以前は近くに住んでいたのでよく寄っていた。スティーブ・マックイーンや高倉健さんが着ていたバラクータのG9ジャケットと同じ形で、一つの普遍的なモデルと言っていいだろう。どんなバイクにでも似合うが、CB1100とは抜群の相性だ。
007シリーズ第12作「ユア・アイズ・オンリー」は、特撮が多かった前作「ムーンレイカー」とは打って変わり、体を張ったアクションシーンが見物だ。原題「For Your Eyes Only」は、「厳秘」とか「極秘」とか、「複写禁止」とかいう意味だ。ボンドが受け取る指令書にも書いてある。第1作「ドクター・ノオ」からMを演じてきたバーナード・リーが死去したため、本作では休暇中ということになっている。ボンド・ガールはフランス出身のキャロル・ブーケで、シリーズ屈指の美しさだ。冒頭でボンドは亡き妻トレーシーの墓参りをするが、迎えに来たヘリコプターに空中で閉じ込められる。罠を仕掛けたのはネコを抱いて車イスに乗ったハゲ頭の男だった。危ういところを切り抜けたボンドは、謎の男を煙突の中に落下させるのだった。どうやらこれは当時映画化権をめぐる争いがあったため、スペクターとブロフェルドを名前を出さずに葬り去るという意味があったようだ。ロジャー・ムーアはそろそろ老いが目立つようになってきたが、ボンド・ガールやロケ地の美しさもあって、映像美が印象に残る作品だ。
ボンド映画では、エンドロールの最後に「JAMES BOND WILL RETURN in ○○○(次回作)」と流れるのがお約束だった。第10作「私を愛したスパイ」では、次回作は「FOR YOUR EYES ONLY」と流れたのだが、ちょうどその頃「スター・ウォーズ」や「未知との遭遇」が大ヒットしたため、繰り上がったのが第11作「ムーンレイカー」だ。本作では、実際に2年後に初飛行するスペースシャトルが登場、ボンドが宇宙へと飛び出す。ストーリーは、スペースシャトル「ムーンレイカー」を製造するヒューゴ・ドラックス社が、宇宙から殺人ガスを落下させて人類を滅ぼし、選ばれたエリートたちだけで新世界を創造しようと企んでいて、ボンドがその野望を阻止するというものだ。冒頭のシーンでボンドは、飛行機から突き落とされ、先に脱出していたパイロットから空中でパラシュートを奪うが、これはもうすごいとしか言いようがない。「私を愛したスパイ」でのアルプスでのダイビングと並ぶ屈指のシーンだろう。他の映画のパロディもたくさん出てきて、エンターテインメント系ボンド映画の一つの頂点と言えるだろう。
007シリーズ第10作「私を愛したスパイ」は、ムーア=ボンドのキャラクターが確立した作品にして最もムーア=ボンドらしい作品だろう。この時代は東西冷戦からデタント(緊張緩和)の時代に入っていたので、ともに潜水艦を謎の組織に奪われたイギリスとソ連が、協力して真相解明に乗り出すという話だ。KGBの女スパイ、トリプルX(アニヤ・アマソワ)を演じたのは歴代ボンド・ガールの中でも屈指の美しさを誇るバーバラ・バックで、彼女は後にリンゴ・スターと結婚した。ボンドとアニヤはいい雰囲気になるのだが、アニヤの恋人(これもKGBのスパイ)を殺したのがボンドだったことがわかり、任務終了後はボンドを殺すと宣言して非常に気まずい雰囲気になる。英ソの潜水艦を強奪したのはストロンバーグという男で、彼は核ミサイルで米ソを攻撃し、世界を征服しようとしていた。潜水艇に変身するロータス・エスプリなど秘密兵器もテンコ盛りだ。アルプスの断崖からスキーでダイビング、そしてユニオンジャックのパラシュートという冒頭のシーンは実にかっこいい。タイトル曲「Nobody Does It Better」も秀逸だ。
007シリーズ第9作「黄金銃を持つ男」は、ボンド最大の強敵フランシスコ・スカラマンガとの対決を描く。スカラマンガは万年筆、ライター、シガレットケース、カフスボタンを組み立ててつくる黄金銃を持つ殺し屋で、銃の腕前はボンドより上だ。しかし、素顔は謎で、乳首が3つあるということしか知られていない(何でそんなことが知られてるのかわからんが)。演じるのは原作者イアン・フレミングのいとこでもあるクリストファー・リーだ。大物起用のためか、スカラマンガには黄金銃のほかクルマに装着して空を飛ぶジェットエンジン付きの翼も用意されるなど、MI6を上回る秘密兵器が登場する。スカラマンガの愛人アンダースを演じたモード・アダムスは、第13作「オクトパシー」ではメインのボンド・ガールを演じる。ムーア・ボンドはアンダースをビンタして締め上げるなど、ちょっと女性に暴力的だ。
007シリーズ第8作「死ぬのは奴らだ」では、ボンド役としてロジャー・ムーアが初登場する。カリブ海のサン・モニークという島国を舞台に、ちょっとホラー映画っぽいストーリーが展開する。サン・モニークのカナンガ大統領が実は犯罪王ミスター・ビッグで、カナンガによって3人の英国情報部員が殺されたことから、ボンドが事件の真相を追う。ムーア=ボンドはコネリー=ボンドよりユーモラスな部分が増えたが、ムーア=ボンドのキャラクターが確立するのはまだ先という感じだ。コネリー=ボンドとの違いを出すため、バーボンやボランジェを飲んだり、ワルサーPPKではなくS&WのM29を使ったりもしている。タイトル曲はポール・マッカトニー&ウイングスが歌っていて、大ヒットした。それにしても、カナンガのお抱え占い師ソリテールをたぶらかすため、タロットカードでイカサマをするというのはちょっとボンドらしくないような気もするが。ちなみに、原題「LIVE AND LET DIE」は、「live and let live(自分も生き他も生かす)」をもじっている。自分は生き他は死なせるから、死ぬのは奴らだ、となる。
007シリーズ第7作「ダイヤモンドは永遠に」では、ショーン・コネリーがボンド役に復帰する。ボンドは妻トレーシーを殺したスペクターNo.ブロフェルドを追い、ついにブロフェルドを倒す(が、倒したのは替え玉だったことが後に判明する)。ボンドはダイヤモンドの密輸事件の捜査につき、運び屋を倒してすり替わる。運び屋の死体に隠したダイヤモンドとともにラスヴェガスに渡ったボンドを待ち構えていたのは、死んだはずのブロフェルドだった。ブロフェルドは、大量のダイヤモンドを搭載した人工衛星を打ち上げ、強力なレーザー光線で世界征服を企んでいたのだ。ブロフェルドは、整形手術でしょっちゅう顔を変えるだけでなく、何人も替え玉を用意しているようだ。ペルシャ猫まで替え玉がいるのも笑える。ブロフェルドを演じるのは、「007は二度死ぬ」にも出演したチャールズ・グレイ。グレイは、グラナダTVの「シャーロック・ホームズの冒険」でマイクロフト・ホームズを演じている。ショーン・コネリーは本作で本家イーオン・プロダクションの007シリーズを降板するが、後に本家シリーズとは別の「ネバーセイ・ネバーアゲイン」に出演することになる。
最近の予想によると、アイソン彗星は当初期待されていた満月並みのマイナス10等級までは明るくならない感じだが、それでも金星並みにはなるだろうという話だ。ただ、太陽からある程度離れないと見えないし、太陽から離れると暗くなるので、東京など大都会でははっきり見えるかどうかわからない。というわけで、やはり光害のない場所を求めて遠征するしかない。ぼくの場合は、12月上旬は北海道で観測するつもりだが、そんなにしょっちゅう帰るわけにもいかないので、東京周辺でも撮影地を探さなきゃと思っている。今のところ目をつけているのが、九十九里浜だ。アイソン彗星は夜明け前の東の空に姿を現すので、東側が開け、市街地がないところがいい。となると、太平洋側の海沿いということになる。先日、東浪見(とらみ)海岸と太東崎を下見してきたが、実際に夜間に下見しないとわからない。この写真は今年3月、日没後の西の空に見えたパンスターズ彗星だ。埼玉県ときがわ町の堂平天文台で撮影した。
2013年3月16日撮影 キャノンEOS60Da+ミニボーグ45EDⅡ+レデューサー0.85×DG、露出5秒
007シリーズ第6作「女王陛下の007」は、ショーン・コネリーに替わってオーストラリア出身のジョージ・レーゼンビーがボンドを演じた唯一の作品だ。「007は二度死ぬ」がやや荒唐無稽なストーリーとなったため、「女王陛下の007」はシリアスなストーリー展開となっている。ボンドは取り逃がしたスペクターNo.1ブロフェルドを追うが、そのうちトレーシーという美しい女性と知り合いになる。トレーシーは犯罪組織ユニオン・コルスのボス、ドラコの一人娘だった。最初はドラコからブロフェルドの情報を得るためにトレーシーに近づくが、そのうち本気になってしまい、MI6をやめてもいいから結婚しようと言うボンドだった。ボンドは殺人ウィルスを世界中にばらまくというスペクターの計画を知り、これを粉砕してめでたくトレーシーと結婚するが、新婚旅行に出かけた直後にブロフェルドの襲撃を受ける。ブロフェルドのクルマが去った後にボンドが見たのは、額に銃弾を受けて絶命したトレーシーの姿だった。劇中流れるルイ・アームストロングの「We Have All the Time in the World」は、非常に印象深い。ブロフェルドを演じるのは「刑事コジャック」のテリー・サヴァラスだ。
007シリーズ第5作「007は二度死ぬ」は日本が舞台だ。東西冷戦時代、米ソは競って人工衛星を打ち上げるが、スペクターの宇宙船に捕獲されてしまう。米ソはお互いに相手の犯行だと決めつけ、あわや第3次世界大戦開戦という危機を迎えるが、ボンドの活躍により真犯人がスペクターであることが明らかになり、スペクターの秘密基地も破壊される。その秘密基地があるのが日本だ。当時日本各地で大々的にロケを行い、東京や姫路城、九州の新燃岳(しんもえだけ)などの風景がたくさん出てくる。ボンドガールは若林映子と浜美枝、日本の秘密警察のトップ、タイガー田中は丹波哲郎だ。スペクターNo.1エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドの顔も初めて明らかになる。演じるのは「大脱走」などにも出演したドナルド・プレザンスだ。日本人が見ると???というような変なシーンも多いが、笑い飛ばしながら見るのもおもしろい。ボンドは日本人に化け、スペクターの秘密基地の近くにある漁村の海女と偽装結婚するが、誰が見ても日本人に見えないのはご愛嬌だ。ショーン・コネリーは本作でいったんボンド役を降板する。
007シリーズ第4作「サンダーボール作戦」では、再びスペクターが敵となる。スペクターは、原爆2基を搭載したNATO空軍のヴァルカン爆撃機を乗っ取り、国際社会を脅迫するという壮大な計画を実行する。冒頭でスペクターの幹部会があって、No.1のブロフェルドが裏切り者の幹部を粛正する。原爆強奪計画を立案したNo.2のエミリオ・ラルゴは、No.2だけあって大物だ。粛正される幹部を見ても平然としている。一方、MI6側も事の重大性に鑑みて00要員を集め、作戦会議を開く。名付けて「サンダーボール作戦」だ。本作では水中シーンが多く、撮影は大変だったろうなと思う。ボンドガールはドミノ(クローディーヌ・オージェ)だが、スペクターNo.12の女殺し屋フォオナ(ルチアナ・パルッツィ)の方がインパクト大だ。「サンダーボール作戦」の原作は映画化権をめぐってトラブルになり、本家イーオン・プロダクションの007シリーズとは別に、1983年にショーン・コネリー主演でリメイクされたのが「ネバーセイ・ネバーアゲイン」だ。これもなかなかいい出来だ。音楽はミシェル・ルグランが担当している。
007シリーズ第3作「ゴールドフィンガー」でボンドは、スペクターではない新たな敵ゴールドフィンガーと戦う。ゴールドフィンガーは、アメリカ政府が保有する大量の金を保管するケンタッキーのフォート・ノックス陸軍基地の上空から殺人ガスをまき散らし、貯蔵庫に保管されている金を放射性物質で汚染させて金価格を高騰させ、莫大な利益を得ようというグランド・スラム計画を実行しようとしていた。しかし、壮大な計画を企む悪者でありながら、カードでケチなイカサマするという面もあり、大物なのか小物なのかよくわからない。Qブランチの秘密兵器は大活躍で、ボンドカーとしてアストンマーチンDB5が登場する。最新作「スカイフォール」でも登場したが、やはりボンドカーといえばDB5だ。とにかくゴールドフィンガーといいその召使いのオッド・ジョブといいプッシー・ガロア(オナー・ブラックマン)といい実に個性的なキャラクターがそろっていて、これぞボンド映画という感じだ。タイトル曲はシャーリー・バッシーが歌っていて、インパクト大だ。